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帰省

帰省、と言っても同じ市内にある実家に帰っただけなのだけど。

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久しぶりに実家に帰った。
記憶の限りでは、最後に帰ったのは3月だったと思う。

大学生になって、家を出た。と言ってもずっと同じ市内には住んでいて、大学生の頃は1時間くらいのところに住んでいるから、割と頻繁に帰っていた。
2ヶ月に1度くらいは帰っていたと思う。

それから引っ越して、30分かからないくらいのところに住んでいるのだけど、そこに引っ越してきてから、実家には帰っていない。

記憶の限り最後に帰ったのは3月だったと思うから、4ヶ月ぶりか5ヶ月ぶりか、それくらい間が空いていたと思う。

大学生のころ、生活費は全部自分で賄っていたとは言え学費は全額両親が払ってくれていたから、完全に独立してから家に帰るのは初めてだった。

私以外の家族はみんなそこで暮らしていて、そこで寝たり起きたり飲んだり食べたり、それを繰り返している。

ほんの5年前までは私も同じようにそこで生きていたのだけど、そのはずなんだけど。

そこにはもう私の居場所はないような気がした。

なんとなく居心地が悪くなって、一泊もせずに一人暮らしの家に帰ってきてしまった。

ちょっと寂しくて、ちょっとうれしくて、難しかった。

難しかった。


***

街の外れの実家に向かう。少しずつ街が寂れていって賑やかさを失っていく一方で、緑の鮮やかさはどんどん近くなっていく。

子どものころは自力では出られなかった場所に帰ることは、自分が大人になったことを強く感じさせた。


ここだからできたこと、ここだからできなかったこと。


親が選んだこの場所が、私にどんな影響を与えたんだろうか。

たまたまこの親の元に生まれて(まあこの親じゃなかったら私は私じゃないのだろうけど)、親がたまたまこの場所を選んで、ただ私はそこで生きていた。

私の意思が全く反映されない事象が、今の私に大きく影響していると思うと、それが運命かとも思うけど、ぼんやりと苛立ったり。


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これからの人生は、住む場所を自分で決められるし、家族を持つも持たないも、増やすも増やさないも、全部自分で決められると思うと人生って最高かも。

毎日投稿続けています。その中に少しでも心に届く言葉があれば幸いです。