肥前鹿島干潟の取り組み

うがみんしょーらん🌺
お久しぶりです。生物多様性ユースアンバサダー九州チームです。
気づけばもうすぐ12月…2020年が終わろうとしています。とっても早いですね💦

今週はラムサール条約登録地でもある佐賀県肥前鹿島干潟で活動をされている中村さんにインタビューをした内容をお伝えします!

まず初めに、有明海ってどこにあるか皆さんご存知ですか?佐賀県ってことは分かっても、どの辺かは分からない人が多いのでは?正解はこちらです↓

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有明海は、佐賀県・熊本県・長崎県・福岡県の4件に隣接する湾で、海苔の生産などで有名です。そんな有明海には、3つのラムサール条約登録地があり、豊かな生態系が残っています。今回は、ラムサール条約登録地の1つ佐賀県の肥前鹿島干潟についてお話しします。

まずは、ラムサール条約について。ラムサール条約は水鳥の生息地として重要な湿地と、湿地に生息する動植物の保全及び、ワイズユースを進めることを目的とした条約です。日本では現在までに、50箇所・148.002haが登録されています。
肥前鹿島干潟には、毎年秋から春にかけてシギ・チドリ類が40種ほど飛来しています。その中には、ズグロカモメやツクシガモなどをはじめとする絶滅危惧種もいます。越冬や他の地域へ行くための中継地として重要な役割を果たしていることから、肥前鹿島干潟は2015年6月にラムサール条約に登録されました。

肥前鹿島干潟のある鹿島市では、ラムサール条約登録以降、様々な活動が行われてきました。その中でも、特に力が入れられているのが、子供たちへの環境教育です。
鹿島の自然の繋がりを1年を通して体験できるプログラムが実施されており、私が小学生の頃にもこんなクラスがあったら、必ず地域の自然が大好きになるだろうなと思いました!

鹿島市内の全小学校で実施されているプログラム自体は、①水生生物調査 ②干潟の生き物観察 ③干潟の働きを勉強するための実験 ④干潟での野鳥観察の4つだそうです。とっても充実した内容だと思いませんか?これらは小学校3〜5年生のクラスを対象に行われていて、この他にも学校の枠を超えた取り組みとして、鹿島市こどもラムサール観察隊という希望者が参加できる活動もあるそうです。このような活動は、鹿島市が制作したオリジナルの教科書に沿って実施されています。そして、月1回「らむさーるだより」と呼ばれる干潟の自然や生き物などについて特集されたお便りが発行されています。私も少し拝見したのですが、可愛らしいイラストと共にマンガ形式で書かれていて、これなら毎月楽しく勉強できそうだなぁと感じました。

どうでしょうか?とっても羨ましいくらい充実した環境教育だと思いませんか?
しかし、鹿島市の環境教育は、最初からこのように充実していたわけではなかったようです。

今から50年くらい前までは、子供たちが夕飯のおかずに干潟で貝を採っているような風景が普通だったそうです。また、潮の満ち引きを上手く利用した伝統的な漁法が有明海にはたくさんあり、ムツゴロウをはじめとした干潟の生き物を採る漁師さんたちもたくさんいたと言います。しかし、それまでたくさん採れていた魚や貝の漁獲は、1992年頃0に近くなりました。また、食生活の変化からムツゴロウなどを食べる人が少なくなったり、漁師さんたちの高齢化などもあって、伝統漁業は衰退し消滅の危機とも言われるように。そして、地元の人たちの関心はだんだんと干潟から離れていくこととなりました。このような状況の中、2015年にラムサール条約登録が決定。すると、市外・県外から干潟を訪れる観光客が増加し、地元の方が観光客から「地元にこんな素敵な自然があっていいね」「貴重な生き物が沢山いて良い場所だね」このような言葉をかけられるようになったそうです。地元の方たちは、生まれてからそこに干潟があるのが当たり前というような環境で育ったため、観光客からこのような言葉を貰えたことで、干潟の価値を再認識でき誇りを持てるようになったそうです。そして、干潟の環境を守り伝えていく活動として、子供たちへの環境教育がスタートしました。


身近な自然環境は、身近すぎてその良さに気づけないものなのかもしれません。ラムサール条約の登録をきっかけに、大きく変化した鹿島市の取り組みは、他の地域でも参考になる事例だと感じました。まだまだ取り組みは始まったばかりで、成果が表れるのはこれからだとおっしゃっていました。数年後、成長した子供たちの手によって干潟がどのように保全されているのか今から楽しみですね!
今回ご紹介した、肥前鹿島干潟のことをもっと知りたいという方は、鹿島市役所ラムサール推進室のFBをご覧ください!

そして機会があれば是非、現地を訪れてみてくださいね!           最後まで読んでいただきありがとうございました!

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