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ワイヤレスイヤホンを壊しまくって分かったカスタマーエクスペリエンスの重要性


ブランドや製品の見え方は刻々と変わる

自慢ではないがここ数年でたくさんのワイヤレスイヤホンを買いまくってきた。主な理由は、故障、紛失、耳に合わないといったものであるが、一番多かったのはやはり故障だったように思える。

私はランニング中に使ったり、その延長でシャワーを浴びながら、風呂に入りながら等々、ハードに使うことが多いため、防水性が高い機種を使うことが多いのですが、その分値段が張ることが多い(1万-2万円程度)。そうなってくると故障した際のアフターサービスが重要となってくるのですが、そこで体験した2つのブランドの対応の違いについてを振り返りながら書き綴ってみたいと思います。おそらく日本のメーカーであったらもっと手厚いケアがあったかもしれないのですが、自分の好みとあったのが海外ブランドのものだったので、その点を考慮して聞いていただけると幸いです。

一つの目のイヤホンは、購入前にそこまで期待はしていなかったけど、コスパが良さそうなので、買ったブランド。二つ目は購入前からネット上のレビューで評価が高く、機能やデザインの先進性から憧れを持って購入したブランドになります。

両者の使用体験で感じたことは、刻々と変化するブランドへの愛着と嫌悪です。きっとこの変化がカスタマーエクスペリエンス(CX)そのものなのだろうし、マーケティングのお仕事もやらせてもらっている自分にとってもとても勉強になる体験だったので、当時の感情を思い返しながら共有していきたいと思います。
注意:私個人のライフスタイルや性格に起因した感情変化のため、一個人の意見として読んでいただけると幸いです。

性格が良くってどんどん好きになるパターン

もうこのタイトルで大体オチが見えてしまってますが、まーそういうお話ですw
一つの目のイヤホンはAnkerのSoudcoreです。購入時はランニングに使用することを想定して、前出の通り壊れても痛くないコスパ重視で選びました。防水性も高く、ランニング中に音楽やビジネス動画を流し聞きしても全然問題なく、これはメーカーはオススメしていなかったのですが、そのままランニング後のシャワー時も着用していました。多分これが良くなかったのすが、購入後半年くらいして、充電時のランプがつかなくなりました。(機能自体は問題なし)
さほど気にせず使っていたのものの、試しにメーカーのカスタマーサポートにメールで状況を伝えてみた所、現象の動画を送付すればすぐに交換してくれるとの回答を即日いただきました。
多分交換した方がコミニケーションコストが安いということもあるかと思いますが、とてつもない速さと判断力にびっくりしました。
そうしてメーカーに動画を送付してから1週間もしないうちに代替え機が届きまた、同じように使い始めたのでした。これに安心してしまった僕は、さらにハードに入浴時やら、大雨の日やら使い倒したのでした。なんというか、どんなワガママも聞いてくれる相棒を手にしたような感覚で、本当にこのブランドが好きになっていくのを実感したのでした。
普通だったら、これで終わる話ですが、防水の限度を超えて使った結果今度は本気で故障しました。
音が全く聞こえない。。。
さすがにこれはやり過ぎたと思いながら、ブランドが大好きになってしまった私は、ダメ元で再度サポートセンターに泣きついたのでしたw。メールには防水性の限度を超えた使用への後悔、今後の対策などをツラツラと語り、返信を待ったのでした。
数日は最初のランプがつかなかくなったイヤホンを使いながら望み薄の返信を待っていたところ、神のようなご連絡が。。
内容としては、今後についてはメーカー推奨の使用方法以外での故障については交換は難しいが、二台の故障したイヤホンを送ってくれれば、交換に応じるといったものでした!私は、今後はシャワーやお風呂、大雨時には使用しないと心に誓いながら、故障したイヤホンをメーカーに送付。そして、これも1週間しないうちに新品の代替え機が届いたのでした。
これまで私のワガママに耐え、それでも健気に寄り添ってくれるAnker兄弟に対してより一層のリスペクトを持ちながら、スマホの充電器やら、コードやらのAnker製品を買うことでメーカーさんにお返しをしてきたつもりです!
何気なく知り合ったイヤホンとそのメーカーのスタッフの皆様への感謝の気持ちはこの先ずーっと変わることはないでしょう。

Anker Soundcore Life P2


あんなに好きだったのに性格を知って嫌いになるパターン

こちらもタイトルでネタバレしてしまいますが、少々お付き合いくださいませ。
ともあれ、我が心の友のAnkerを大切に使うため、私はランニング専用のワイヤレスイヤホンを探すことにしました。元々、前出のイヤホンは密閉性が高いのでランニング中周囲の音が遮断され、何度か車(特に無音の電気自動車)の接近に気づかず危ない目に遭っていました。そこで、周囲の音が取り込める骨伝導イヤホンで、シャワーや入浴時にも使える、かつ軽くて充電が長持ちする物を探していました。さらに、Anker兄弟との成功体験からアフターケアも需要な検討材料になったことは言うまでもありません。
そんな要素を検討していくと群を抜いて高評価を得ていたのが、After shokz(現:SHOKZ)のAeropex 骨伝導ワイヤレスヘッドホンでした。実際電気屋で物を見てみましたが、形状の割に軽い、ランニング中に首に掛けられる、水の侵入が完全に防げるデザインになっているなど、ランニングマンには完全なるアイテムでした。最終的には周りで使用している人のリアルな評価を聞いた後、すでに憧れの感情を抱きながら、少々高価(確か2万円弱)なSHOKZさんを購入したのですが、メーカーが謳う完全2年保証というのも大きな魅力でした。

そんなテンションが上がった状態で手にした商品を身につけるブランド体験はファッション感覚に似ていて、しばしAnker兄弟の存在を忘れw 毎日身につけ、時に友人にオススメしたりしていました。お仕事柄、消費者の気持ちは移ろい易いものというのは良く理解していたし、電気機器の購入における失敗や新たな出会いはこれまで経験してきたことなので、今となっては当たり前のことと感じるのですが、その局面局面に与えるブランド認知への思い込みって本当大きなパワーを持つんですよね。。

そこまで惚れ込んだSHOKZさんでしたが、1年ほど経ったある日、音量を上げるボタンが内部にめり込み、戻らない事態が発生しました。さらにこの音量を上げるボタンが、電源のオンオフを兼ねているもんだから、結果的に電源が入らなくってしまったんです。そんな時にAnker兄弟との経験をふと思い出しました。しかもしっかり2年保証と謳っていた!私は、早速SHOKZさんのカスタマーセンターにオンライン上で問い合わせをしてみたのですが、このオンラインの作りが極めてユーザビリティが低かったのを覚えています。やっとのこと、必要な情報(商品番号、故障事象、メールアドレス等)を入力して送信!したものの、ちゃんと送信されたのかも分からず、怖いので、同じ作業を3回ほど繰り返し返信を待つことにしました。その間私は、Anker兄弟との日々を懐かしむように過ごしていたのでした。

しかし、1ヶ月、2ヶ月待てども、SHOKZさんからの返信は来ませんでした。苛立ってfacebookに状況を呟いたら、他の人からは「すぐに返信が来ましたよ」とのコメントが。。私は、自分の問い合わせ方法が間違っていたのではと思い、再度同じ問い合わせを行ってみました。。。結果的に私の問合せ方法は間違っていませんでした。何故なら、しっかりと返信が来たからです。8ヶ月後に。。。

その頃には、私はSHOKZさんの裏切り行為を許すことができなくなっていましたね。あのHappyな日々はすべて偽りで、2年保証は誇大広告であると確信していた。何より、ライフスタイルの中に溶け込まなくてはならないむようなブランドが、消費者の8ヶ月という時間に対して想像力を持ち合わせていないことに対して、大いに失望したのでした。外資のメーカーあるあるですが、電話でのサポートを行っていないのも一つの要因ではありますが、こんな苛立ちを解放できぬまま、その8ヶ月後の返品対応を受け入れたのでありました。。

AfterShokz Aeropex 骨伝導ワイヤレスヘッドホン 防水bluetooth5.0 コズミックブラック

窮地に追い込まれた時の感謝は行動を生み出す

この8ヶ月の期間をどのように凌いでいたかというと、前出のAnker兄弟でした。SHOKZさんへの移り気を詫び、寂しそうに部屋の片隅に潜んでいたAnker兄弟は、昔のように私を出迎えてくれました。自分の中の勝手なストーリーですが、本当に困った時に頼りになる奴だと心から思ったのでした。

そんなある日、私はそんな大切なAnker兄弟を紛失してしまいました。いつも置いていた場所に、彼の姿が見つからず、どこに忘れたのかも思い出せない。。完全なる老化現象で、大切な相棒との突然の別れがやってきたのでした。ちょうどそのタイミングで、ハーフマラソンの大会が迫っており、練習や本番に向けてどうしてもイヤホンは欠かせないと思っていたので、私は、Anker兄弟の更なる親戚を相棒とすることを思い立ちました。もう、Anker一族から離れることはできないといったある種決心に近い動機に突き動かされた訳です。

防水性、ランニング時の装着感、そして価格から私が選んだのはAnkerのSoundcore Sport X10。重厚な佇まいの割に、軽くて快適、新しい兄弟を手に入れることが出来ました。余談ですが、結局初代のAnker兄弟が自宅から見つかり、家には本当の兄弟のように二台が常備されていますw

SHOKZさんに愛想を尽かし、購入したAnkerのSoundcore Sport X10

そして、この新しい兄弟を手にした1週間後に、SHOKZさんからの返品対応の連絡が来たのも、またまたタイミングが悪く。元さやに収まりかけた所にちょっかいを出してくる面倒な奴にも感じたのでした。。。

相手(消費者)の時間や体験を理解する事の意味

まー、全ては私個人が描いた勝手なストーリーではありますが、結局商品(ブランド)のライフスタイルへの浸透度が高まれば、高まるほど、消費者はそれらを擬人化しだし、ポジティブもネガティブも含め思い込みを塗り重ねていく事を今回の件で学んだ気がします。人は、自分の大切な時間や体験の瞬間を重要視していて、それを理解しない、邪魔する、足を引っ張るといった行為は、もちろん人間でもそうですが、物であっても許しがたくなるのです。私は主に、ランニング時のお供にワイヤレスイヤホンを多用していた訳ですが、ランニングが好きな人って、色々なギアにこだわるんですよね。そういった人は、ギアに対する愛着(時に依存)や憎悪を抱きやすいんでないかと推測しています。そういった人に向けた製品は、そういったこともしっかりと理解すべきであると強く思いました。

まとめ

ここまで、個人主観のどうでも良い出来事のお話にお付き合いいただきありがとうございます。私の性格的に気に入ったものは繰り返し愛用して、気入らないものは即刻譲るか最悪捨てるといった癖の強さはあるので、皆さんに当てはまることではないかと思いますが、物やブランドに対するこだわりが生み出すストーリーというのは無数にあるのではないかと思っています。全ては消費者の主観による後付けされた世界ではなるのですが、こういったことに耳を傾け、なぜ消費者がそのような世界を思い描いたかを理解しようとする姿勢が革新的な製品やブランド体験を生み出す秘訣なのではないかと思った次第です!


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