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【学び】MBAでは何を学ぶのか?

今あるプロジェクトでは、プレMBAの教育コンテンツを開発中です。
それもあり、自分が学ぶ側だったときの気持ちを振り返ってみました。
卒業から五年後の、2015-09-23 のブログより(加筆修正あり)。


“仕事ができないMBAホルダーが生まれる理由” 

この記事を一通り読みあげたら自分の昔話しを思い出し、
なぜだか少し涙がこみ上げてきた。

>私は、経営者となった今も毎日が大変ではあるが、それでも、あのときの大変さに比べれば、まだマシだと思っている。
>誤解を恐れずに言うと、実はその知識自体にはあまり価値がない。
>MBAで本当に学ぶべきことは、厳しい環境の中で戦う術であり、姿勢である。
>そしてMBAという環境は、実は学校の外のビジネスの世界とまったく同じであり、極限状態の中で優秀なライバルたちとし烈な競争を強いられる、人工的な「プレッシャーポット(圧力鍋)」なのだ。


記事を読んで、このあたりには特に共感した。
自分も卒業後にはいろんな大変なことがあったが、
「あのときの大変さに比べれば、、、」と、経験は常に支えになっている。


MBAでは

・学び方を学ぶ。
・決断の訓練の場(知識を得るのがメインの場ではない)。
とよく言われる。いずれも非常に腹落ち感がある。

あるいは、
・自分なりの戦い方を身につける場
とも表現できると思っている。


私が目標にしたこと

①全科目のオールA評価
②全科目、毎クラスの発言点オール質◎、量◎
③全科目のレポートクラス最高点


その背景には、以下のようなものがあった。

・論理思考力を鍛えようと思って転職した戦略コンサルを1年弱でドロップした。私の転職により、前職では組織変更まで引き起こして巣立っていっただけに、本当に申し訳ない気持ちだった。
・大学院開学前に通った非学位のあるクラスではD評価、つまり落第点を取った。
・初年度の大学院入試は不合格だった。
 →これらの自分に対するリベンジ。
・翌年、二度目の入試で何とか合格して入学後、並みいるクラスメート猛者、スゴイ人たちと出会い、負けるのが悔しかった。もっと自分を追い詰めないとと思った。

でも、この目標は、自分には極めて高いハードルだった。


また、特にクラスディスカッションにおいて、
クラスメートは自分よりもはるかに頭の回転が速く
そこに打ち勝たなければ、上記の目標達成はできなかった。


それどころか、相対評価の下位15%程度に割り振られるD評価
となりかねない。それが5回あると退学
そのルールが、特に最初の頃は強烈なプレッシャーだった。
でも、だからこそ、目標を課したようにも思う。


目標達成のために取り組んだこと(例)

・必ず最前列に座った。
 ※もともと目と耳が悪いことに加えて珍しい名前なので、挙手をさされるには講師に名前を覚えてもらう必要があった。
・1クラスの予習時間は、おそらく20時間くらいやった(推奨は確か約10時間)。思考の回転スピードで競争優位性を築けなかったので、引き出しを増やしておこうと思った。予習の設問の解を出すのだが、一つではなくほぼ数パターンを用意し、クラスディスカションをシミュレーションして備えた。この予習(や復習など)のため在学中は基本1日3時間睡眠で、ロングスリーパーの自分にはかなりつらかった。
懇親会は殆ど参加しなかった。クラス前の談笑時間も、ぎりぎりまで1階ロビーで予習にいそしんだ。
・このため、校内で推奨され、価値でもある、人的ネットワークの構築は諦めた。ひたすら、自分で決めた目標達成だけを目指した。
感じ悪さも、近寄りがたい雰囲気も、付き合いが悪いのも、「自分のことしか考えていない」と言われても、、、しょうがないと思った。何かを捨ててこそ得られるものがあると割り切った。自分は不器用だからしょうがない。その代わり、決めた目標だけは絶対に死守しようと思った。
・結石で救急車に運ばれた翌日も、まさに這いつくばって通学した。
・発言点も成績に加味クラスでは、とにかく手を挙げ続けた。特に最初の頃は、的を外した発言で冷笑されることも多々あったが、恥ずかしさはぐっとこらえ続けた。
・プレゼン公募の際には必ず立候補した。出来るか出来ないかではなく、どうやるかを考えた。
・また、慣れてきたらグループディスカッションは極力ファシり、代表で発表するようにした。講師に「他の人に他の人に代わって」と言われるまでやり続けた。文字通り必死だった。そのための予習も備えた。ファシリ役を確保するためにも、ホワイトボードに近い最前列を確保した。
・最後のクラスまで、「振り返り」は愚直にやり続けた。
・この目標達成のために、集中するために、結婚式を3年待っててもらった妻とは、毎クラスの結果を分かち合った。質◎、量◎の喜びも、それ以下のときの悔しさも、悲しみも。


結果

完全では無かったけれども、
ほぼそれに近い形で着地することが出来た。
そして、上位5%の成績優秀修了者の賞も受賞させて頂いたことは、
僕らの2010年度の卒業生の代から導入された
予期せぬ出来ごとだったため、なおさら嬉しかった。


振り返って思うこと

1.最後まで完走でき、そしてほぼ目標を達成できたのは、諦めてきたクラスメートからの支えに他ならなかった。不器用な自分を理解し、我慢し、見放さず、支えてくれた方々は、決して多くはないかもしれないけれど、確実に存在した。だから、在学中はゆとりがなく出来なかったけど、これからの人生を通じて、少しずつ、でも必ず、自分は恩返しをしていく。


2.MBAとは何なのか?
私としては冒頭結論の、
>・自分なりの戦い方を身につける場
であり、それを確立できた。「執着心(からの行動力)」だ。

レポートは、考える時間があったから対応できた。

ただ、クラスディスカッションは思考スピードの勝負の世界で、競争劣位だった。この戦場で生き抜くには、①ゲームのルールを変えてしまうか、②そのルールの中で自分なりの成功メカニズムを構築するかの選択肢は二つ。さすがに大学院では①は無理なので②。


で、自分は思考スピードではかなわないので、前述した、量で引き出しを増やして対応領域を広げた。そして、目標達成にひたすら執着した。その結果、なんとかサバイブできた。


感じたのは、どんなに周りが優秀でも、競争環境が厳しくても、最後は自分次第。自分の場合、「執着心(からの行動力)」だけは誰にも負けない自信がついた。それが相対的な強みであること、バリューであることに気がついた。サンダーバードにも負けず劣らずのグロービスでこの気づきと自信を得られたことが、自分にとってMBAで学んだことであり、最大の効用である。


いま非常にありがたいことに、会社では新規事業を担当させて頂いている。基本一人だし、表も裏も難所はたくさんだけど、「あのときの苦労を思えば、、、」と思えるし、何より、自分にとってMBAで身に付けた生き抜く戦い方は、非常に活きていると思う。特に、新しいことをチャレンジするのに、「執着心(からの行動力)」はとてもダイジだと思う。


>【仕事ができないMBAホルダーが生まれる理由】
自分は仕事ができるかどうかは分からないが、ある領域においてバリューを発揮できる存在でいられていて、それは、支えてくれた仲間達と、自分なりの戦い方を身につけられたことのおかげかと。MBAで何を身につけるかは、人それぞれであり、そしてそれは、本人次第だと思う。

(引用ここまで)。


教育コンテンツの開発

受講者はプレMBAで経営を体系的に学ぶのはもちろんだけど、
「あなたは何のために学ぶのか?」
そして
「あなたは何を成し遂げたいのか?」
も、みんなに問いかけていきたいと思う。

以上