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日本人が苦手なお金と資本主義が産んだ大量消費

TAKA(@Murakami_Japan)です。この度、素敵なご縁があって初の著書を出版(祥伝社9/30発売)させて頂きます。5回連載(今回が2回目)を通じて簡単な紹介をさせてください(本書の抜粋より)。

お金にまつわる話が苦手な日本人

日本人は世界的に見て、金融リテラシー(理解・活用力)が低いことが度々指摘されています。個人資産はほとんど銀行預金で、大して運用もされていないことはこの十年間で度々指摘され、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)など資産運用を促進するような施策が多く実施されています。

他方、海外では株式投資を中心とした資産運用が当たり前で、日本はその点においては明確な後進国です。

また、ファイナンス(企業価値の最大化を目指し、財務数値等を活用し、未来の企業経営を考えること)の知識を有した人材が極めて少なく、ビジネスを「売上」という損益計算書(PL)や、「プロダクト」というアイデアや技術で評価する傾向が強く、ファイナンスや経営を軸に価値提供を行なう投資銀行のようなビジネスが国内に根付くのが、長らく妨げられてきたように思います。

近年、上場会社はコーポレートガバナンス(企業統治)の強化の必要性が叫ばれるようになりました。その流れを受けて、日本でも徐々に株主を意識した経営の重要性が理解されつつあります。

同時に、世界の潮流であるステークホルダー(利害関係者)全体を意識した経営にも目が 向けられるようになりました。ただ、会社の存在意義(パーパス)やファイナンス、資本主義といったお金にまつわる基本的なことを学ぶ場が限られているため、資産運用一つとってもお金にまつわる話はどうも苦手な国になってしまっているのが実態のように思います。

私は、日本人はもっとお金や投資に詳しくなったほうが良いと考えています。 ファイナンスや資本市場、資本主義に対して興味がなかったり、苦手意識を持ったりする方が多くいます。私自身も昔は全く畑違いのことをしていたため、知識も経験もゼロでした。必要だということが全く理解できていなかったのです。

しかし現実として、個人レベルで資本主義を理解し、ファイナンスや投資の考え方を活用し、ライフプランニングを行なっていくことの意義や重要性は高まってきています

私自身、宇宙開発という畑違いの門外漢から、ファイナンスや資本主義の世界の飛び込んだ身としては、テクノロジーを理解することと同じか、それ以上にお金や資本主義のことを理解しておく意義を実感として強く感じているのです。

本書で私が提唱している「サステナブル資本主義」を社会実装していくためには、一人ひとりが単にお金を稼ぎ消費するだけに留まるのではなく、投資や資産性、時間的価値を伴わない短期のフローベース(一定期間の流量)の時間とお金の使い方から脱却していくことも重要になってきます。

資本主義が産んだ大量生産&大量消費

1970年代生まれの私にとって、この40数年を総括する言葉は色々とありますが、 一つは「大量消費」の時代であったということだと思います。

高度経済成長期前は「モノ」は大変貴重でした。しかし、私が生まれた頃を境に「モノ」 よりも「お金」が重要になったように感じています。 「モノ」はコモディティ化(一般的になり競争優位性に繫がらない)し、大量に生産され、大
量に廃棄され、大量に消費されるということが当たり前の時代の幕開けだったのだと思います。

「大量消費」という価値観は今も脈々と幅を利かせている時代が続いています。 「お金」で「モノ」がなんでも買えてしまうことで、「モノ」という価値ある存在が、「お金」という価値に置き換わりました

元々通貨は、「モノ」との等価性により利便性を提供 していたわけですが、いつのまにか利便性を超えて「モノ」の価値を規定してしまう存在として、人の心に無意識に浸透していったのです。

本来、「モノ」やそこから生み出される経験には多様な価値観があるはずです。にもかかわらず、「お金」という単一の基準で、さもそれが当然かのように、資本主義がその価値観 を支配してしまったのです。

資本主義のルールにより規定された価値を唯一の価値として受け入れてしまっている状況なのです。

企業経営の観点で見れば、資本主義の仕組みが「大量消費」を前提とした戦略を後押ししたと思います。「モノ」がない時代には大量に生産することで原価を低減し、コスト競争 力を武器に大量に販売することで利益を生み出そうとしたのです。

この仕組みは一定の再現性があったため、資本主義の仕組みを通じて多くのお金が流れ、 1980年代の「Japan as No.1」や「Made in Japan」と言われた時代までは最も成功した企業経営のモデルとなっていました。

近年、この違和感にようやく多くの人が気づき始めたことも、「持続可能な社会」を目指すことになったきっかけだと思います。私よりも上の世代は皆、「大量消費」が当たり前の時代です。世代ごとに価値観が異なるのは当然です。

一つ前向きなデータがあるとすると、それは人口構成比です。今、世界の44歳以下の人口は70%を占めています(2019年、国連推計)。最も高齢化が進んでいる日本ですら、44歳以下の人口は44%を占めています(2021年7月概算数、総務省)。

つまり、あと十年もすれば「大量消費」後の世代が過半数を占める時代がやってくるということです。大量消費に違和感を持つ世代が過半数を占めることは「サステナブル資本主義」が浸透する上で大きな原動力となると考えています。


初の著書「サステナブル資本主義」祥伝社9月30日発売、絶賛予約受付中

www.amazon.co.jp/dp/4396617658

最後に、以下は本書をきっかけの一つとなったnoteです。是非合わせて読んでもらえると嬉しいです。

↑上記は本稿の前のパート①です。まだ読んでない方はこちらも是非。

追伸)noteのカバーの写真は大好きな新緑の時期の写真です。新緑は新しい季節の幕開けで、目にも匂いにも新鮮な気分を運んでくれます。あと数年後に社会にも新緑のような息吹が吹き込まれることでしょう。

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