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【実施レポート!】興福寺で文化財を応援!オンラインツアー【前編】

こんにちは、ミサワです。

凸版印刷という少し大きめな印刷会社ではたらく2年目社員です。

文化事業推進本部(通称:ブンジ)では11月15日に興福寺にて

「文化財応援オンラインツアー」を実施しました!

その名も

「興福寺と知られざる奈良に会う旅!文化財応援オンラインツアー」


本日はそのレポートをさせていただきましたので、ぜひ読んでいただけますと幸いです。

その前に、「文化財応援オンラインツアー」とはなんぞ?というところですよね。

◆ニュースリリース

先日リリースされた、「しあわせ文化財プロジェクト」の一環として、

オンラインツアーに参加し、地域の特産品を購入したり、文化財を鑑賞することで対象の文化財を応援したり、地域をPRすることにつながる。

といった企画です。

今回は、日本中の素敵な人に出会う旅、あうたび合同会社(以下あうたび)と文化財VRや文化財ホルダーさんとのコネクションを持つブンジで共同企画致しました!

オンラインツアーの内容としては、

興福寺と、興福寺にまつわる周辺地域にスポットを当てて、興福寺中金堂をリモート参拝したり、現地の方々のお話を楽しみながら事前に送られてきた周辺地域の美味しいお酒や食べ物をいただく、というようなものです。

◆ダイジェスト映像

ちなみに事前に送られてくるセットはこんな感じ。

セットA

◆文化財応援Aセット スタンダードセット(9品 10,000円)

・春鹿 純米吟醸生原酒 零下二百十日熟成720ml(今西清兵衛商店)

・春鹿 燻製奈良漬 (瓜) (今西清兵衛商店)

・奈良県産 新米 3合(地域活性局)
・十色の大和茶シリーズ ティーバッグ 2g×3個入(健一自然農園)
・ビーフカレー(クラシック)(奈良ホテル)
・香り遊び 手作り匂袋(山田松香木店)

・阿修羅像手ぬぐい(興福寺)

・興福寺精進ふりかけ あを/丹/よし から1種類(興福寺)

・興福寺×コトノハ スケジュールシール(興福寺)
・リモート拝観料

+各種パンフレット等

この豪華なセットがツアーに申し込むことによって、あらかじめ自宅に送られてくるわけです。(加えてB:満喫セット S:ノンアルセットがあります)

ツアー当日には普段お話しする機会のない僧侶の方から文化財の魅力や拝観の仕方を教えていただいたり、生産者の方が商品の美味しい食べ方、現地の楽しみ方を教えてくださる、という企画がついています。

離れた土地の人とつながり、コミュニケーションを取るなんて、滅多にできる体験じゃないですよね。

◇◇◇

それではこのツアー当日、どんな方が登場し、どのようなお話を聞くことができたのか。ご紹介して行きたいと思います。

法相宗興福寺 辻明俊さん

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本ツアーでキーマンとなる興福寺の辻明俊(みょうしゅん)さん。

2009年東京国立博物館で行われた阿修羅展の企画を担当されていた敏腕のお坊さんです。

興福寺では広報も担当されており、Twitterでの発信は興福寺に対して親しみを覚えるような内容です。


辻さんには秋の興福寺と2年前に落慶したばかりの中金堂をご案内していただきます!

入場券

早速セットに同梱していただいた入場券を持ってみんなで拝観しましょう。

現地では中金堂特別公開2020が開催されており、

辻さんご案内のもと特別にオンラインでの拝観を許可していただきました!

中金堂

当日の中金堂の様子です。

良いお天気にも恵まれて、2018年に再建され新しく生まれ変わった中金堂の姿が写真映えします。あをによし、とはこう言う風景を言うのかもしれません。

そして中金堂に入場してみると、なんとお花がいっぱい!

献花式2

ちょうど11月14~15日にフラワーロスを支援する献花式が行われていたそうで、

百花繚乱の中金堂を皆さんにお届けすることができました!

何とタイミングが良いのでしょう!

本日は興福寺特別公開2020のメインとして木造吉祥天倚像(厨子入り)がご開帳されていたので、お参りさせていただきました。

※撮影禁止エリアのため許可を頂いています。

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興福寺は1300年もの歴史を持つ古刹ですが、過去にはなんと100回以上の火災に見舞われ、中金堂は7回も焼失。現在のお堂は8代目となります。

辻さん曰く「お寺の歴史は被災と再建の繰り返し」なんだそうです。

また、再建に当たって守ってきたことが3つ。

一つ目は、創建時と同じ大きさを目指すこと。

二つ目は、場所を変えないこと。

三つ目は、どれだけ技術や技法が変化しても、創建時と同じ手法で再建をすること。

お寺が本来の姿を保ちながら存続するためにはこの3つを守っていくことが何よりも大切なのですね。

五重塔

近い将来、修理が予定される五重塔は室町時代の再建。現在の建物は6代目です。5度の焼失のうち4回は落雷が原因です。現在は避雷針の設置でその心配はないそうです。

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また、皆様には弊社製作の中金堂VRをご覧いただきました。こちらは2009年に興福寺さんの協力のもと朝日新聞社と共同製作したものです。

このVRを見ると中金堂の周りを四角く囲っている建物がありますが、これは回廊と言います。

中金堂は2018年に再建の落慶法要を終えましたが、実は周囲にある回廊は復元表示に留まったままです。

VRでは創建時本来の中金堂の姿、つまり未来の中金堂をご覧いただいたのです。

回廊を実際目にすることができるのは果たして何年後になるのでしょうか。ちょっぴり楽しみですね。

辻さんにはふらっと足を運んだだけでは知り得ない情報をたっぷりとお話しいただきました。

現地に行った際は是非この話を思い出しながら、ご自分の目でお確かめくださいね。

◇◇◇

辻さんとはいったんお別れをし、周辺の奈良町へ足を伸ばしてみましょう。

続いてお伺いしたのは・・・

今西清兵衛商店 今西清隆さん

今西さん

今西清兵衛商店は日本酒発祥の地とも言われる奈良で130年以上もの歴史がある大きな酒蔵です。

今西さんは5代目蔵元として伝統の継承と革新を織り交ぜながらこだわりの品質で皆様に清酒をお届けしています。

今西清兵衛商店

今西清兵衛商店は興福寺から徒歩10分くらいの福智院町という場所に位置しています。古い木造建築が長い年月を物語っていますね。

それでは中に入って恒例の・・・

みんなで「乾杯〜!」

乾杯

自宅に届いた春鹿のお酒や、ノンアルセットの方は奈良サイダーで乾杯をしました!

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当日は日曜日で酒蔵はお休みでしたので、仕込みの様子を記録映像を用いて丁寧に教えていただいたり、今西さん直伝の美味しい飲み方、食事との合わせ方を伝授していただきました。

またセットに同梱されているおつまみは今西清兵衛商店の燻製奈良漬です。

奈良漬

(撮影:参加者の中野さんより)

スモーキーなお漬物がクリームチーズによく合うんだとか。

お話上手の今西さんと春鹿を味わいながら素敵な時間を過ごさせていただきました。

ほろ酔い気分になったところで、次にお伺いしたのは・・・

奈良町情報館 藤丸正明さん

会うたび19

藤丸さんは株式会社 地域活性局の代表で、

奈良町情報館といういわゆる観光案内所を運営していらっしゃいます。

奈良町情報館

奈良町情報館は興福寺から猿沢池の脇を通り、ならまち大通りの交差点に位置しています。

この施設は藤丸さんが、大学3年生の時に起業されたんだそう。。

ちなみにご自身は福岡県太宰府市の出身で、歴史好きが高じて奈良大学に進学されたそうですよ。

そんな奈良の歴史に詳しい藤丸さんに本日お話しいただくのは

ツアータイトルにもあります「興福寺と知られざる奈良」のお話。

興福寺と、興福寺のおひざもとだった奈良町についての歴史を紐解きながら街歩きをして頂きました。

まずは御霊神社からスタート!

御霊神社

奈良時代には御霊信仰というものがありました。

平安京で疫病が流行した際に桓武天皇が怨霊の仕業とし、造営した社のうちの1つが早良親王を祀っているこの御霊神社だそうです。元々はこの近くにある元興寺南大門前にあったと言われています。まずはここでお参りをして行きましょう。

この時の藤丸さんの願掛けは

「(このツアーが)うまく行きますように」でした。笑

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奈良町にある菊岡漢方薬局。こちらは1184年、藤原氏の時代から漢方を扱ってきたお店ですが、屋根の上にちょこんと乗っているものにお気づきですか?ちょっと小さいので見えづらいですが

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これは「鍾馗瓦(しょうきがわら)」という鬼の飾りで魔除けの意味があるそうです。

道教では魔物は直進しかできないとされているので、

「鍾馗瓦」は路地の突き当たりに置かれ、魔物が家の中に入ってこないようにしているそうです。

小さくてちょっと可愛い感じがしますね!


他にもこんな着眼点がありました

道に面した左右の建物に注目。違いにお気づきでしょうか?

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2階にご注目ください。

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2階の窓(格子窓?高窓?)の大きさが全然違いますよね。

なぜかというと1枚目の大きい窓は身分の高い方が上から街の様子を見下ろせるように大きく設計されているのだそうです。

つまり、2階の窓を見るだけでその家の身分がわかってしまうのです。

新しい発見でした。


鍾馗瓦の話も格子窓の話も、これを知っているだけで奈良の街歩きがグッと楽しくなりますよね!

◇◇◇

ようやく奈良町情報館に到着です。

奈良町情報館2

情報館は観光案内所に加えて物産館の役割も果たしております。

とまとじゅーす

ノンアルセットに入っている生搾りのトマトジュース。

トマトそのものを食べているかのようなしっかりとした濃さです。

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こちらは全てのセットに入っている健一自然農園の十色の大和茶シリーズです。

十色なのに20種類もあります!皆様にはランダムで1種類お送りいたしました。どの種類のお茶が入っていたでしょうか?

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パッケージの絵柄も全て異なっているのでみんなで見せ合って盛り上がりましたね!水彩風の絵がとっても素敵!

そして今回この健一自然農園の代表、伊川健一さんから動画にてメッセージをいただきました!

健一自然農園 伊川健一さん

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背景はご自身の茶畑から!

伊川さんは奈良の大和高原の耕地を開拓し、自然と共生する茶園として、2001年19歳の時に健一自然農園を立ち上げられました。

その理由は地球規模の環境破壊に人類の根本的課題を伊川さんご自身が感じており、「人と自然が調和する社会のひな型」を作る、ということを人生の目標に定めたのがきっかけだそうです。

なので皆さんに届いている十色の大和茶シリーズは農薬・肥料を一切使わない自然栽培で作られたお茶なんですよ。

心身ともになんだかホッとしますよね。

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これは参加者さんのお宅で淹れた特上ほうじ茶。

私はしょうが和紅茶をいただいたのですが、手で砕いた生姜がティーバックに大きめに入っていて、生姜の香りがふんわりと広がってとっても癒されます。

まだ見ぬ大和高原の地を思い浮かべながら一瞬、自然に帰ったような心地にしていただきました。

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(写真はツアー終了後、奈良町情報館の方から贈っていただいたもの。とっても嬉しかったです!)

◇◇◇

そして藤丸さんとの街歩きでは、途中にある「清水通り」という道を紹介しました。

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なぜ清水通りを紹介したのか、それは今回のツアーのテーマを語るのに必要な導入だったからです。

奈良市の「清水通り」が何を表すのか 読んで字の如くですが

奈良はもともと水が綺麗なことで有名だったのだそうです。

春日山を源流とし、奈良市街地を貫く率川(いさがわ)は万葉集にも和歌があるほど古くから奈良の人々に親しまれ、農業用水としても利用されていました。

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今でも2軒に1軒は家の中に井戸が残っているそうです。現在使用されているのは主に水道水ですが、水撒きやちょっとしたモノを洗う際に使用されているんだとか。

そのような所以があり、実は今回のセットは知られざる奈良として”水”というテーマをもとにセットの内容を企画しておりました。

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主に清酒・新米・大和茶 が該当します。

どれも水が綺麗であったら奈良だからこそ古くから発展してきた食の文化なのですね。

そのような理由もあってか興福寺やその末寺では、平安時代から「僧坊酒」と言って一般大衆に販売するためのお酒を作っていたそうですよ。

歴史的に深い文化を持つ奈良ですが、その風土から生まれる食文化まではあまり知られていないのではないでしょうか?

藤丸さんのお話を聞いて、

「食べ物がより美味しく感じる!」

「商品を食べながら文化を知るのはおもしろい!」

と感じていただけていたらこの企画は大成功です。


さてさて、ツアーは後半へと向かって行きます。

次に訪れるのはあの有名なホテルです。お楽しみに!

会うたび22

【後編】ヘ続く。



☆関連書籍情報

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