【実施レポート!】興福寺で文化財を応援!オンラインツアー【後編】
こんにちは、ミサワです。
凸版印刷という少し大きめな印刷会社ではたらく2年目社員です。
文化事業推進本部(通称:ブンジ)では11月15日に興福寺にて
「文化財応援オンラインツアー」を実施しました!
その名も
「興福寺と知られざる奈良に会う旅!文化財応援オンラインツアー」
本日はそのレポートの後編をご紹介します。是非読んでいただけますと幸いです。
◆ダイジェスト映像
【前編】はコチラ
さてさて、奈良町情報館を後にして
藤丸さんのご案内のもと連れて行っていただいたのはかの有名な…
奈良ホテル!
奈良ホテルは少し高い山の上にあるので裏門から階段を上がります。
奈良ホテルから奈良町を望むことができます。
先ほどお邪魔した春鹿の酒蔵が見えましたね。
そしてついにホテルの玄関前に到着しました!
どっしりとした構えがとても印象的な建物ですね。
藤丸さんとはここでお別れし、少し休憩を挟みます。
玄関から笑顔で迎えてくださったのは次の案内人です。
奈良ホテル 辻利幸さん
本日のツアーには辻さんがお二人登場されますが、こちらは奈良ホテル顧問の辻さん。早速奈良ホテルの建物内を案内していただきます!
この時ちょうど15時ごろでしたので、ホテルはチェックインの時間帯ですね。
奈良ホテルは1909年創業で、約110年の歴史があります。この奈良ホテルも実はかつて興福寺の筆頭寺院の大乗院の寺内でした。
建築は東京駅や日銀本店を設計した辰野金吾によるもので、「関西の迎賓館」とも言われています。
辻さんご自身も上皇明仁様、上皇后美智子様をおもてなしした経験があるそうです。
館内に入るとそこは明治大正時代にタイムスリップしたかのような、和洋折衷式です。
正面にある大階段は上に吹き抜けとなっており上品ながらも温かな空間が広がっています。
この階段下から写真を撮ると遠近感から足が長く見えるそう。
「私はもともと長いんですけど…」と辻さん。
ちょこちょこ挟まれる巧みなトークにクスクスと笑ってしまいます。
さすがホテルマン、お話し上手だな。
こちらは歴代の皇室の方々が奈良ホテルに泊まりに来られた際のお写真。
壁一面に飾られています。悠仁様が来られた時には許可をもらって辻さんが手持ちのカメラで撮影したのだとか。
続いては奈良ホテルのレストランを見学します。
また、レストランからの眺めも最高です。
このお席からは先ほど興福寺で見た五重塔を望むことが出来ます。
まさに奈良ならではの味わい方ですね!
私もこんなところでディナーをいただいてみたいものです。
そして今回のツアーセットには奈良ホテルレストランの定番のメニューを入れております。
それがコチラの
ビーフカレーです。缶に入っているのがまた風情がありますね。
スタンダードセットには赤いクラシック、満喫セットには黄色いトロピカルも含めた2缶セットをお送りいたしました。
レストランの見学と同時にシェフに登場いただき、このビーフカレーについてお話を伺いました。
創業時からレストランメニューとして人気であったカレーは、外販商品になってから40年ほど経つそうですが、今でも根強い人気があるそうです。
シェフの手によって缶からお皿に出していただきました。
そのままでも美味しそうですが、シェフが注ぐと一段と美味しそうに見えるのは何故でしょうか…
さっそく辻さんにご試食いただきました。
どうやらお昼ご飯にもカレーを食べてしまったそうですが…
美味しそうに食レポしていただきました。
レストランを後にしてまた玄関へ。
玄関横の柱には真っ黒な釘隠しがあります。これ実は金属ではなく、木でできているそう。昭和19年頃の金属供出により金属類はすべて国へ持ち出されてしまったので、代わりとして木で作られ、黒ペンキで塗られてるのだそうです。
古い建築は随所から歴史上の出来事の跡が見つかって来るので話を聞くととても興味深いです。
また、奈良ホテルさんから事前に
「タイムキーパーをつける予定です」と連絡をいただいておりました。
そんな裏方さんをツアー中に紹介していただくことが出来たのですが…
まさかこんな大きくて良い時計を持ったタイムキーパーさんだとは思わず。さすが奈良ホテル…(確かに大きい方が見やすいですよね)
入念な時間の書き込みにも思わず笑みが溢れてしまいました。笑
丁寧にご準備いただいてありがたい限りです。
◇◇◇
奈良ホテルでのおもてなしをたっぷりと体験した後は、
少し足を伸ばして京都に繋ぎます。
山田松香木店 大杉直司さん
京都に本店を構える老舗の山田松香木店。日本の香りの源泉ともいえるお香を取り扱っており、大杉さんは営業部長を担当されています。
今回は主に奈良の企画となっておりますが、興福寺さんとの繋がりでありがたいことにご参加いただきました。
興福寺で取り扱っているお香やお線香は山田松香木店のものだそうですよ。
早速お邪魔しましょう。上品な構えから少し緊張してしまいますね。
普段滅多に入ることがないお香専門店、一体どんな感じなんでしょうか。
一番目についたのはこの壁一面にある薬棚!
思わず「千と千尋の鎌爺の部屋みたい!」と言ってしまいました。
この引き出し一つ一つにお香が入っていて、手前の机でご案内やお香の調合をしたりします。
お香についてもう少し知るべく、大杉さんに代表的なものをご紹介していただきました。
例えば左手前のものは桂皮。みなさんがよく知っている名称で言うと「シナモン」にあたります。
右手前のものは丁字と言って蕾がついています。殺菌・防虫作用があるそうです。
また真ん中の大茴香(ダイウイキョウ)なんかは形がとても可愛らしいですね。古くから中華料理にも使われるようなもので杏仁豆腐のような香りがするそうです。
今回はみなさんにお香の体験を是非していただきたいと思い、セットの中にお香の体験ができる匂い袋作りのキットを入れさせていただきました!
お香体験は普段は馴染みがなかったり、敷居が高かったりしてあまり体験することはないのではないでしょうか?
この機会に是非大杉さんからレクチャーしていただきましょう。
まずは先ほどの香木や香原料などの特徴を知るところから。
その香木が持つ効果や歴史などを教えていただきます。香りの好みももちろん重要です。
自分に合った香りを調合できるようにしましょう。
体験キット付きセットの皆様には匂い袋を作っていただき、そうでない方にもご見学いただきました。
みなさん集中していらっしゃる様子。どんな香りになりましたか?
匂い袋は靴箱や、洋服ダンス、洗面所においても効果的です。
お好きな場所に香りをつけて楽しんでくださいね。
貴重な体験をさせていただいた大杉さんにお礼を言い、そろそろ興福寺へ戻ります。
◇◇◇
そろそろ太陽が西に傾いてきました。
興福寺の辻さんと再会して、今度は興福寺の国宝館をご案内いただきます。
国宝館では所蔵されている代表的な仏像を辻さんにご紹介いただきながら、ご覧いただきます。
まず入り口付近にある興福寺の伽藍模型を見てみましょう。
先ほど見学した中金堂は左にある大きな御堂です。回廊の跡が復元表示されていますね。
そして今いる国宝館は辻さんの指の下にあります。
元々は食堂(じきどう)と言って僧侶が食事を取る場所でした。現在は興福寺が所蔵する仏像・絵画など収蔵安置(国宝館)する役割を果たしています。
この時間の国宝館は少し混み合っていましたが、中を案内していただくことにしました。
※撮影禁止エリアのため許可をいただいております。
こちらが本尊の国宝・木造千手観音菩薩立像です。
国宝館の真ん中に安置されています。
鎌倉時代に寄木造で造られ、像高は約5メートルにもおよびます。
千手観音菩薩像の手は四十二手。千じゃないの?と思うかもしれませんが、
真ん中で合掌をしている二手を除く四十手が仏教の二十五有世界の生き物を救うとされているところから、四十に二十五をかけて千手、と言われるそうです。
正直千本手があるのだと思っていましたが、仏教世界が25に分かれているのですね、知りませんでした。
みんなで千手観音菩薩像に手を合わせて、後ろを振り返ると
そこにはかの有名な国宝・阿修羅像がいるわけです。
阿修羅像は奈良時代に造像された脱活乾漆造の像で三面六臂(さんめんろっぴ、3つの顔と6本の腕を一身に備えている様)の状態です。宗教によっては全く異なる解釈を持つ神ですが、仏教では釈迦(仏法)を守護する神として崇められています。
阿修羅は乾漆八部衆立像の1体として横並びに安置されています。
阿修羅様にも手を合わせて拝みましょう。
◇◇◇
拝観後は、国宝館のショップに立ち寄ることをおススメします!
ここではセットに入っている興福寺オリジナルグッズや辻さんが自ら企画された商品のご紹介をしていただきました。
興福寺の精進ふりかけ あを/丹/よし は「ゆかり」で有名な三島食品さんと共同開発されたふりかけだそうで、国際味覚審査機構で世界で初めて三ツ星を獲得した商品です!
「あを」は赤しそと大豆フレーク、わさび葉、梅
「丹」はトマトフレークがポイント
「よし」は十二神将にちなんで12の素材をブレンドしたものになっています。
このふりかけはただご飯にかけるだけではなく、シーズニングとして
お豆腐やパスタ、またはバニラアイスにかけても美味しく味わえるんだとか。
ここで新しいゲストお二人に登場していただきました。
奈良女子大学の3回生上野さん(左)と4回生中能さん(右)
奈良の魅力を発信するコトノハというフリーペーパーサークルでご活動されています。
インスタグラムでは辻さんのかばんの中身を特集されていました!
彼女たちは辻さんと「お寺から若い人に向けた商品を作りたい」という思いからこのスケジュールシールの開発をされたそうです。
四天王立像をモチーフに作られたこのシール、後ろの光背部分が透けていて、大事な日にはこれを数字の部分に貼って目立たせます。
イラストは上野さんがご担当されたそうですよ!強くて可愛い四天王立像たちが魅力です!
◇◇◇
国宝館の見学も終わり、そろそろ日が西へ沈んでいきます。
中金堂をお参りしたときとは雰囲気が随分違って見えますね。
これも興福寺を楽しむ1つのポイントかもしれません。
今はどうしてもコロナの影響で現地には行けないという状況で、このようにオンラインツアーという形で参加してくださった方々には感謝しかありません。
辻さんの感謝の合掌を持ってツアーは一旦終了になります。
◇◇◇
これからは懇親会として今日出演してくださった皆様とお酒を飲みながら直接お話をしていただく時間を設けておりますので
よろしければここから先も読んでいただけますと幸いです。^^
◇◇◇
次の目的地はワインとベルギービールの専門店。
そちらで懇親会をさせていただきましょう。興福寺からは約6分ほど歩いて行きます。
奈良女子大のお二人と一緒に鹿を探しながら向かいます。
この日はGo toトラベルで観光客が多かったせいか、奈良公園に鹿が全然いませんでした。いつもは人と同じくらいいるのですが…
やっと鹿を1匹発見!雄鹿が落ち葉を探っていました。
中能さんによると奈良女子大の敷地内にやってくる鹿はみんな雄鹿だそう。
喧嘩で疲れた体を癒すために平穏な奈良女子大学に来るそうですよ。
奈良の鹿はちゃっかりしてますね〜
さてさてそんなことより懇親会場に急がなくては…!
◇◇◇
それでは到着したワインとベルギービールの専門店の代表をご紹介します。
ワインの王子様 粂宏明さん
懇親会よりご参加いただいた粂さん。お店を急遽休みにしてまで場所を貸してくださいました!ありがとうございます。
ワインの王子様、というのは2012年にオープンした店名ですが、街の人々からは「王子」の愛称で親しまれているのだとか。
それゆえか店内のスタッフさんも「執事」「侍女」という設定になっているそうです。笑
粂さんご本人は日本ソムリエ協会認定のソムリエだったり、日本ベルギービール・プロフェッショナル協会の認定講師というすごい方だったりします。
ワインの王子様は奈良町の北側、通称きたまちにお店があります。
(近鉄奈良駅から北側の地域を指します。)
興福寺や奈良ホテルがあり、観光客で賑わうならまち(南側)とは反対側に位置しますが、このきたまちも実はたくさんのお店があります。
奈良女子大学もきたまちにあるんですよ。
(奈良に訪れる際はぜひきたまちにも足を運んでみてくださいね!)
◇◇◇
そして今回ノンアルセットに入れさせていただいたのはこのワインの王子様で取り扱っている奈良サイダー!
ラベルは興福寺コラボのもので中金堂、東金堂、五重塔、そして阿修羅…のような雲が描かれていますね!
到着した上野さんと中能さんはこの奈良サイダーで乾杯!おしゃれなグラスに入れてもらって素敵ですね〜!昔懐かしい味わいが魅力です。
懇親会ですが少しだけワインの王子様の店内を見学させていただきました。
店内は至る所にワインやベルギービール、グラス、それにまつわる本や雑誌が置かれています。ワインやビールはラベルのデザインが素敵なものが多く、それに伴い店内も華やかな印象です。
こちらは試飲スペース。お客さんのご要望に合わせてここでテイスティングをします。
試飲用のワインが並んでいますね。ご希望の方は是非予約をしてみてください。
お店の奥にはワインセラーもあります。(※執事の方が開けてくれています)王子様のキャラクターも可愛らしいですね。
もちろんベルギービールもいろんな種類が置いてあります!
私自身ビールやお酒のラベルデザインが大好きなので、まじまじと見せていただきました。ありがとうございます。
◇◇◇
ワインの王子様の店内を見学させていただいたところで、zoomのディスカッション機能を使って懇親会をしました!
みなさん各部屋で様々なことをお話しされていらっしゃいました。
地域活性局の藤丸さんが奈良町情報館を起業したきっかけや、奈良ホテルに宿泊のご予約をされた方もいらっしゃったようです。
皆様お仕事の合間に参加していただき、誠にありがとうございました。
そして最後に
お忙しい中、興福寺から懇親会に顔を出してくださった興福寺の辻さん。
夜の興福寺をご案内していただきました。
五重塔は日没から22時くらいまでライトアップされているそうです。
普段あまりみることのない興福寺の夜。奈良の人が日頃見ている景色は私たちの目には非常に新鮮に映ります。
◇◇◇
懇親会は18時を持って終了。
オンラインツアーは弊社としても初めての取り組みだったので、慣れない部分もありましたが、皆様から「楽しかった」「奈良の意外な一面を見れた」「実際に足を運びたくなった」というお声をいただいたのは非常にありがたいことです。あうたび代表・唐沢さんの進行力が大いに起因していると思います。
また、このオンラインツアーがその街の人にとって大切なものやゆかりのあるもの知り、離れた人と人を繋ぐきっかけになったのは、私にとっても大変嬉しいことでした。
このレポートもそろそろ終盤です。
次に奈良へ足を運ぶ際はどうか今日のツアーを思い出して、奈良の魅力を肌で感じていただきたいと思います。
参加者の皆様、出演者の皆様、またご協力いただいたあうたびのお二人、
本当にありがとうございました!
ミサワ
◇◇◇
編集後記
ツアー終了後、緊張した身体を解してくれたのはワインの王子様のベルギービールでした。最近飲んだビールの中で一番美味しかったです。
可愛らしいデザインのコースターもたくさん頂きました。
粂さんありがとうございました。
泣けるほどうまいビール↑
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