装丁の想定 『人間椅子』
noteでご紹介する作品第1号は、2016年作のこちら。
『人間椅子』 著:江戸川乱歩
要するに、椅子の中に潜む人間のお話。
乱歩の中でもお気に入りです。まー気色の悪いお話なんですが、語り口調がテンポよく読みやすい。そしてオチが清々しく、意外と読後感が爽やか。
乱歩初心者にもよいのではないかなーと個人的には思います。
直観でゾワッと、気持ち悪い!と思ってもらえたら嬉しいなぁと思いながら描きました。グロいのではなく、上品ながらもおぞましい、触感に訴えかけるものにできたらいいなと。
『江戸川乱歩の迷宮(RAMPO EDOGAWA)』
最近、このイラストが
母校・宝塚大学の東京メディア芸術学部イラストレーション領域の作品集に掲載されました。
講師主導のもと学生も編集作業に携わったこの作品集は、東京メディア芸術学部で開催されるオープンキャンパスや、進学相談会などで無料配布されるそうです。
この装丁がとってもかっこいい!
そして作品を掲載されている作家さんがとっても豪華。球体関節人形など、立体作品も見応えがあります。
いつもお世話になっている 北見隆 先生や、高田美苗 先生。
それに、面識はないけれどネットで知ってファンになった 深瀬優子 さんが参加されているのが嬉しかったです。
私の掲載ページはこんなかんじ。
もともとはコンペ応募用に描いた作品でした。
応募はできずに終わってしまったのですが作品自体は気に入っております。
『人間椅子』を読んだきっかけは、ネットでジャンプコミックスの二次創作漫画を描いている人が「今まで読んだ中で一番好きな小説は『人間椅子』」と表明し、そのタイトルをもじった作品を発表していたことだったように思います。当時の自分は中学生かそこらでしょうか。
のちに実際に『人間椅子』を読んでみて、なるほどこれはおもしろいな、と感じました。
さらにその数年後、ヤン・シュヴァンクマイエルがイラスト(コラージュ)を担当した『人間椅子』の本が発売されました。
それを見て、「昭和に亡くなった日本人の小説が、現代を生きるチェコ人に影響を与えたのか」とハッとしました。
「そういえば、江戸川乱歩のペンネームはアメリカのエドガー・アラン・ポーに由来しているのだったっけ」
世界は繋がっているのだなぁと思いました。
これがまた素晴らしくキモくて素敵な本なのです。
せっかくなので江戸川乱歩の装丁を想定した作品をもうひとつ。
『黒蜥蜴』
明智小五郎と美貌の女盗賊・黒蜥蜴の対決のお話。
2016年作、こちらもコンペ応募用。
(応募はできたけど受賞はならなかった…)
けれどこの絵を描いた後に舞台で『黒蜥蜴』を観る機会をいただけまして、それがとてもおもしろかったのでいつかまた描き直してみたいなーと思っています。
ちなみに乱歩で一番好きなのは『芋虫』です。
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