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「節分の福豆」

ちょっと早めに節分の絵。
2023年は日本の行事食の絵も増やしていきたい。

節分とは?

「季節を分ける」という意味で、各季節の始まりの前日のこと。
立春・立夏・立秋・立冬それぞれの前日の4日あるが、
現代では立春(毎年2月4日ごろ)の前日=2月3日を指す。
春 = 一年のはじまりとして特に大事な時期。

正月:現在の日本では新暦=グレゴリオ暦(太陽暦)の1月1日。
立春:太陽の運行に基づいた二十四節気での新年。
   グレゴリオ暦で2月4日ごろ。
旧正月:月の満ち欠けに基づいた太陰暦での新年。
    日本の旧暦(和暦)=太陽太陰暦での1月1日は、グレゴリオ暦の1月下旬〜2月上旬。
    中華圏の「春節」はこれにあたる。
   (外国の旧正月もいろいろ。キリスト教圏における旧暦はユリウス暦なのでまた別)

お正月を「新春」「初春」と呼ぶのは、年の初め = 春 だった名残。
旧正月より早く立春が訪れたら「年内立春」、後なら「新年立春」。
同日ならレアでおめでたい「朔旦立春」「立春正月」。
立春が訪れない「無春年」、2回訪れる「双春年」もある(珍しくはないらしい)。

立春は「昔の新年」にあたるので、立春前日の節分は「昔の大晦日」として年越し行事の一環となっている。
地域によって年中行事の時期にズレがあるのは、新暦に変わるタイミングで行事の日にちを新暦に合わせて変えるか旧暦のままにするか…という違いのためでもあるらしい。

一般的に「鬼は外、福は内」と声を出しながら「福豆」を撒き、年齢の数だけ豆を食べる事で厄除けとする。

2023年の節分は2月3日。
毎年2月3日なのかと思ってたんですが、2日や4日になる年もあるんですね〜
ちなみに2021年の節分は2日で、2日になるのは明治以来124年ぶりだったそうな。


福豆

お祓いをした煎り大豆。なぜ大豆なのかは
・大豆に穀物の霊が宿っていて悪霊を寄せ付けない
・鬼の目を打つ「魔目」、「魔滅」からきている

などの説がある。
それを入れる升も幸福が「増す」「益々めでたい」という縁起物。
地域によって(主に雪国?)は殻付きの落花生を撒く。
地面に落ちてもあとで殻を剥けばいいので衛生的。
近年では個包装の甘納豆やチョコボール、飴やあられなどを小袋のまま撒いたりもするそうで。
大豆アレルギーの子もいますし、選択肢が増えるのはいいですよね。

福茶

福豆と梅干し、昆布を入れたお茶(もしくはお湯)。
年齢の数だけ豆を食べるのは大変というお年寄りにはこちらがよい。
正月や大晦日にも飲まれる縁起の良いお茶で、特に正月の福茶を「大福茶」(元旦に初めて汲む水=「若水」を沸かした湯で淹れる)と呼ぶ。
入れる豆が大豆だったり黒豆だったり、塩昆布だったり結び昆布だったり、時期や地域によっていろいろあるらしい。

恵方巻き

鬼が出入りする「鬼門」は北東 = 丑寅(うしとら) の方角なので、鬼といえば頭に牛のツノ・下半身に虎の履き物のイメージになったのだとか。
まだ寒い時期なので青みがかった配色に…青鬼と並べて負けないような華やかさに…と考えながら塗っていたらラムちゃんカラーぽくなった?

「恵方(えほう)」
  = その年の福徳を司る歳徳神(年神様)がいる方角
  = 縁起の良い方角
を向いて無言で一本の海苔巻きを食べ切る風習。
食べている途中で喋ると福が逃げるとされている。
恵方は毎年変わる。2023年は南南東。


やいかがし

今回は兵庫・八正寺の赤鬼&青鬼の面を参考にしました(そのままではないけれど)。
赤鬼が「阿」、青鬼が「吽」の口の形をしています。
この鬼たちは疫病を祓った不動明王・愛染明王の化身だそうです。
本来は悪い鬼ではないのでなんだか気の毒な図になってしまった。

「柊鰯(ひいらぎいわし)」とも呼ぶ。
焼いたイワシの頭をヒイラギの小枝に刺し、家の軒下や門に飾る。
ヒイラギの棘は鬼の目を刺し、イワシの悪臭は鬼を追い払う(もしくはイワシの匂いに釣られた鬼の目をヒイラギが刺す)とされる。

「鰯の頭も信心から」という諺もある。
「イワシの頭(=つまらないもの)でも、信じている人にとってはありがたいものだ」という意味。「何かを頑なに信じすぎる」人を揶揄する時にも使われる。
…やっぱり昔からこういう魔除けに疑問を感じる人もいたんだな?


黄鶯睍睆(うぐいすなく)

立春を過ぎた頃、ウグイスが鳴き始める季節。
美しく調和したものの例えで「梅に鶯」なんて言葉がありますが、実際に梅の枝によく留まるのは花や果実を食べるメジロ。昆虫を食べるウグイスは警戒心が強いのであまり人の目がある所へは現れないそうです。

節分の時期に咲く「節分草」という花もあるそうで。上品で可愛い


立春大吉の立春大福

年始の巫女バイト中、「立春大吉」というお札を扱いました。
季節の変わり目には邪鬼が発生するので、このお札を玄関などに貼る風習があるのだそうです。「立春大吉」という文字は左右対称なので、玄関から入ってきた鬼が家の外から見たのと同じ形の字を見て「まだ家の外だったのか」と勘違いして出て行くのだとか。
この時期に食べる除災招福の和菓子を「立春大吉」「立春大福」と呼びます。
特にこれを食べる、と決まっているわけではなく春を感じる和菓子をいただくかんじっぽい?

ちなみに和菓子ではなく豆腐を食べる「立春大吉豆腐」というのもある。
白い豆腐も邪気を払う食べ物だそうです。

2/3は「鬼除け鬼まんじゅうの日」

「鬼まんじゅう」は岐阜県・愛知県を中心とした中部地方のソウルフード。鬼の金棒のように表面がゴツゴツしているこの「鬼まんじゅう」を全国の人々に知ってもらうことを目的として、岐阜県の「美濃廣庵 満開堂」が制定。二十四節気で定めたわけではないので毎年2月3日です。
寒さがピークを迎える頃の節分に温かい蒸したての「鬼まんじゅう」を食べて、厄除けをしてもらいたいとのこと。

このサイト、いろんな郷土料理がジャンルや地域ごとに検索できて楽しい…
ついお菓子で検索してしまう…


現在の節分のもととなった「追儺(ついな)」「鬼遣(おにやらい)」「鬼会(おにえ)」もおもしろいから描きたかったんだけど収集つかなくなりそうだったので自粛。
病鬼を追い払う「方相氏(ほうそうし)」も各地でほんとおもしろいビジュアルしてるんですよねー。

鬼はもともと神々の使いだったからと、鬼に向かって豆を撒かない節分もあるんですよね。気になる…

今年は開催されるのかしら。


2/4追記

重要無形民俗文化財に指定されている
兵庫県・長田神社の「古式追儺式」に行きました

「一番太郎鬼」
中の人は15年以上やってるベテランさんらしい。舞っている時間が特に長くて大変そうだった

七匹の鬼が舞う、トータル6時間越え(前日の禊とか入れるとさらにそれ以上)の長丁場の式です。
こちらの神社の鬼さんは松明の炎で災いを焼き(その灰を被ることで参拝者は祓を受けたことになるらしい)、無病息災・家内安全を願い舞います。
悪い鬼ではないので豆をぶつけられたりはしません。

この寒い中で裸足です。
舞も常時腿上げ・スクワットってかんじの動きで、式が終わるまでは休憩中も腕を下げてはいけないらしく。合間で肝煎り(黒い着物の世話人)さん達に腕を支えられたりしていました。終わったらみんな放心しているのだとか。過酷がすぎる…

わりとひょうきんな動きなので参拝客から「なんかかわいい…」という声が漏れていたり、小さい子から「がんばぇー!」という声援が上がっていたりで微笑ましかったです。同じ動作が延々繰り返されるので子供はすぐ飽きるんじゃないかと思ったんですが、幼稚園くらいの子は意外と見入っちゃうのかも。
尋常ならざることを成し遂げることで見ている人も励まされるというかんじなのでしょうか。
無病息災を祈る行事ではあるんですが、これを全部見届けていたら普通に体を壊す(寒すぎる)と思うので興味のある方は5匹の鬼が揃う頃(15時前後らしい?)に行くのがいいと思う。折り畳み式の脚立に登って後ろの方から眺めてる人もいました。

「赤鬼」
それぞれの鬼は燃える松明を参拝客の方に向かってパンッと叩いて灰を舞わせたり。鬼自身にも燃え滓が落ちてくるので肝煎りさんが時々払ってあげてました。

私は式の初めからいたわけではないけど最前列に行けたので、なんとなくずっと見てしまいました。
舞台の向かって右側。鬼たちが登場するところはよく見えるけど5人揃って舞うところは基本後ろ姿になっちゃったりするので、移動しながら見ればよかったなぁと思います。
(人混みに慣れてないので動けなくなってしまった)
一番太郎鬼はなんかお相撲さんぽさがあったり、緑色の青鬼さんは軽快な動きだなぁとか、大矛を持った尻くじり鬼は矛と足音を踏み鳴らしながら威圧的に動くなぁとか、個性があっておもしろかったです。こちらの記事がわかりやすい👇


こちらの神社ではミカンを刺した餅花を飾っているとのことで、それがすごく見たかったのですが一般人は立ち入れないエリアだった…残念。
(参拝客用の餅花は300円でもらえるけどね)
餅花や禊の様子(見てるだけで震える)が綴られたブログ👇

帰宅してから、韓国料理屋さんのキンパ(キムパプ/韓国風海苔巻き)を食べました。
酢飯でなくごま油のごはん。
辛いものや刺激臭が苦手なので、ふだんは中華や韓国料理屋に入ることがないのですが。参拝や巫女バイトのように、今までやったことないことをちょこちょこやってみようかと。
…でもやっぱ酢飯の方が落ち着くかなというオチでも。



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