モーター音が消えた日。
飼っていたメダカの最後の一匹が、先日虹の橋を渡っていった。
書こうかどうか悩んだが、あれだけメダカゴリ押し記事を書いておいて、最後は何もなし、というのも気が引けたので、書いてみることにした。
わたしたちのアクアリウムのはじまりは、2020年の6月だった。
緊急事態宣言が発令されるなど、世界はステイホームと称してすべてが止まったあの時。
自宅待機中の彼の一声で、アクアリウム計画がスタートした。
最初は、「ミナミヌマエビ」という小さなエビからスタートしたアクアリウム生活。
はじめての水の生き物でわからないことだらけで、当時のnoteを見返すとあたふたしている様子が感じ取れる。
それから徐々に生き物と暮らす、ということが楽しめるようになってきて、自身の成長を感じ取れるようになった。
カラフルなエビをお迎えしてみたり。
メダカもお迎えしてみたり。
初心者なりに調べたりして頑張ってはいましたが、寿命なのか病気なのか、すぐに死んでしまうので、毎日頭を悩ませながら飼育していた。
そして、引っ越しの時にはメダカが1匹に。この子で最後、と決めていた矢先のこと。
ここにきて、またメダカ水槽の復活。
心身ともに不調だったが、たゆたう彼らの姿を見ていると、心が安らぐのは確かだった。
それは、彼も同じだったようで。
意見が一致したわたしたちは、再びエビとメダカを追加でお迎えし、楽しく暮らしていた。
思わぬ形で繁殖が成功していたり。
メダカの治療をおこなったり、ゾウリムシを導入したり。
大変だけど、楽しくメダカライフを送っていた。
最後に投稿したのはこちらの記事。
それからもなかなかうまくいかず、仕事が立て込んでいたのもありわざわざ記事にするほどではない、と彼らの様子を書くことも減っていった。
そして、残り1匹となった。
この子もそう長くはないだろう、との見立てで、あまり手をかけずに自然に近い状態で飼育をおこなっていた。
それが功を奏したのか、それともたまたまその子が強い個体だったのか。
なんと、約2年の命を全うしたのである。
(家にいた期間は1年半だが、お迎え時には既に生体だったため、おそらく約2年生きている)
最期も老衰だろう、という様子で、エサには貪欲に食らいつく様子から、体調を崩しているわけでもなさそうだ、と判断した。
看取る覚悟をしながら、身体の負担にならないよう慎重にエサやりをし、刺激しないようにできるだけ水槽の前で何かをすることをやめて数日。
最後までエサをねだるように、いつもわたしたちにアピールする位置で眠るように亡くなっていた。
ほんとうに、よくがんばったね。
今まで、わたしたちを癒してくれてありがとう。
彼は相当ショックだったのか、モーターを止める覚悟ができない、とつぶやいた。
モーターを止めたら、いないことを認めなくてはいけなくなってしまう。
モーターの音が聞こえるうちは、まだそこにメダカがいるんじゃないかと錯覚できるから、止めたくないのだろう。
彼の気持ちが痛いほど伝わり、たまらずわたしも涙をこぼした。
数日後、水槽にまつわる用品もすべて処分し、水槽の解体作業をおこなった。
水槽の掃除をしてくれた彼の心情は計り知れないが、とてもつらかっただろうと思う。
こうして、モーター音のないリビングになった。
水槽があったそこは、がらんと空いたまま。
また、いつか家族が増えることがあるのだろうか。
今はまだ、自分のことで精いっぱいだから、お迎えする余裕はないけれど。
いつかまた、小さなお友達がおうちに来る日まで。
さようなら、たくさんのメダカたち。
たくさんの学びと癒しを、ありがとう。