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復習のベストなタイミング

学習する間隔をどれくらい空けると記憶に良く残るのかを調べた論文があったのでメモ(1)。

過去の研究を見てみると,学習の間隔を空けることによって記憶の定着率が高まることが分かっています(分散学習,2)。具体的な例を挙げると以下のような研究があります。

・学習とテストの間隔を空けると記憶に定着する(3
・丸付けは最後にした方がテストの点数が上がる(4
・集中的な学習は記憶の定着が悪い(5

このように学習の間隔,試験を実施する感覚を空けることで記憶の定着が良いことが分かっています。

今回紹介する論文は学習の間隔をどれくらい空ければ分散学習の記憶に定着する効果が高いのかを教えてくれます。

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2008年にカルフォルニア大学のハロルド・パシュラーさんがベストな復習のタイミングについて調べるためにある実験を行いました。

実験の対象となったのは大人1,354名でした。

実験参加者をランダムに4つのグループに分け,学習の間隔を設け,一般的に知られていない32個の事実について2回記憶してもらいました。その4つのグループには2回目に記憶した後のテスト間隔に以下のような違いがあありました。

<グループ1>
7日後にテストを受ける

<グループ2>
35日目にテストを受ける

<グループ3>
70日目にテストを受ける

<グループ4>
350日目にテストを受ける

またこの5つのグループのにも1回目と2回目の学習の間隔をいくつか設け,各グループの記憶テストの成績を比較しました。

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実験の結果,試験までの期間が7日、35日後の場合、2回目の学習までの間隔を1-2日、7日だったグループが他のグループと比較して記憶テストの成績が高かった。

また試験までの期間が70日、350日後の場合、2回目の学習までの間隔を21日、35日だったグループが他のグループと比べて記憶テストの成績が高かった。

この実験では学習からテストまでの間隔が空くときに復習する間隔を空けることで,記憶した情報が長く保持されることが示されました。

これらの結果から考えると,学習と復習の間隔は初めに学習した日とテストをする予定の日を5分割したタイミングでするのがベストだと言えるでしょう。

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(1)Cepeda, N. J., Vul, E., Rohrer, D., Wixted, J. T., & Pashler, H. (2008). Spacing effects in learning: a temporal ridgeline of optimal retention. Psychological science, 19(11), 1095–1102.

(2)Cepeda, N.J., Pashler, H., Vul, E., Wixted, J.T., & Rohrer, D. (2006). Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis. Psychological Bulletin, 132, 354–380.

(3)Rohrer, D., Taylor, K., Pashler, H., Wixted, J. T., & Cepeda, N. J. (2005). The effect of overlearning on long‐term retention. Applied Cognitive Psychology, 19(3), 361-374.

(4)Butler, A., et al. (2008). Feedback enhances the positive effects and reduces the negative effects of multiple-choice testing. Memory & Cognition, 36, 604-616.

(5)Kratochwill, T., Demuth, D. M., & Conzemius, W. C. (1977). The effects of overlearning on preschool children's retention of sight vocabulary words. Reading Improvement, 14, 223-228.

■Learn Better ― 頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ/アーリック・ボーザー (著), 月谷真紀 (翻訳)

■脳はこうして学ぶ:学習の神経科学と教育の未来/スタニスラス・ドゥアンヌ (著), 松浦 俊輔 (翻訳)

■脳が認める勉強法――「学習の科学」が明かす驚きの真実!/ベネディクト・キャリー (著), 花塚 恵 (翻訳)

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