#0208【平安時代のインフルエンサー(清少納言、枕草子)】
1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。
今週は平安の女流作家特集です。
この前、明治の女流作家特集をしましたが、今回はそこから約1000年の時を超えて平安京の雅な世界へと飛び込みたいと思います。
まず「春はあけぼの」で有名な随筆集『枕草子(まくらのそうし)』を書いた清少納言(せいしょうなごん)を取り上げます。
昔の日本においては名前は呪術に用いられる可能性もあり、特に女性の本名が正式に残ることは限られています。
清少納言の本名も伝わっていませんが、彼女は清原氏の出身です。
少納言の由来については確かなことはわかっていませんが、「清」+「少納言」で、清少納言と呼ばれるようになり、今に伝わっています。
彼女は、一条天皇のお后で中宮(ちゅうぐう、天皇の正妻のこと)であった藤原定子(ていし)の身の回りの世話や遊び相手、家庭教師として仕えていました。
藤原定子など天皇に嫁した場合、正式な公文書に記録が残るため、名前が伝わっています。
藤原定子は、関白藤原道隆の娘でした。
定子はその権勢もあり、調度品や衣服も 非常に 優雅で上品であり、一条天皇もその居室を訪れることを楽しみにしていました。
そういった宮中生活を清少納言は『枕草子』に残しています。その中には、雅な宮中生活だけでなく「すさまじきもの」=「興ざめするもの」を文中で挙げています。
・昼に吠える犬
・節分で方向違い(恵方のこと)すること
・辞令にありつけなかった人
枕草子といえば、 なんといっても。「いとをかし」でしょう。
古文の授業でさんざん出てきたと思いますが、「いと」=「非常に」、「をかし」=「趣ふかい、面白みある、美しい」などのイメージです。
簡単にいえば「マジヤバい」ですね。
夏の風情を書いた文章の中に
「(蛍が)また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りてゆくもをかし」があります。
現代語訳すると、
「蛍ってちょこちょこ光っているのもイイよね~」かなと。
秋の風情を書いた文章には
「まいて雁(かり)などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。」とありますが、
現代語訳すると
「ていうか雁なんかが重なって飛んでってんのが、遠くにちょっと小さくみえるのって、マジ感動。」
簡潔な文章でありながら、端的な美を知性的に見出し評する才能は、宮廷女性の心を掴みました。日本における元祖インフルエンサーでしょうか。
TwitterやInstagramなどSNS全盛の現代であれば、さらにその才能が光ったかもしれません。
そんな清少納言ですが、定子の父や兄が失脚すると定子の地位も不安定となり、ライバル藤原彰子(しょうし、定子のいとこ。父は藤原道長(定子の伯父))が中宮となると、定子は皇后という名誉職的なポジションに追いやられてしまいます。
西暦1000年に定子が没すると、清少納言は宮仕えをやめます。その後については確かなことはわかっておらず1025年頃には亡くなったのではないかと考えられています。
以上、本日の歴史小話でした!
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