見出し画像

僕の大事な元カレ

今日は長女について書いておこうと思う。

この夏から地元を出て
初めて独り暮らしする長女。

といっても、もういい大人。
これまで実家に入り浸り、
何とか働きながら
自由に暮らしておりました。

大量の洗濯物を脱衣場に運び入れたり、
急に「夕飯がいる」と言い出してみたり、
真夜中にスイーツ作ってみたり、
部屋は見るも無残で、
勝手に拝借した食器やグラスが
自室のテーブルに転がってたりする。

時折、風邪をひいて倒れたりもして
扁桃腺が弱く、すぐに喉を傷めてしまう。
仕事から帰って毎晩出かけてるなぁと
思ったらWワークを始めてみたり。

酒を飲もうが、タバコを吸おうが
年齢的には問題はないので
経験して失敗して少しずつ
学んでいくだろうと
煩く言ったりはしていないのだが

妻は黙っていない

日頃の生活態度や金銭感覚、
電気をつけたままにする
施錠をしない、出しっぱなし、
だらしない行動などには遠慮なく
キーキーと特有の威嚇音を発生させる。
歴史を紐解けば、君も同じ年齢の頃は
酷い生活だったそうじゃないか

同性だからだろうか、娘も同じように
威嚇音をキーキーと発生させ、お互いに
キーキーキーキー私の脳内に精神攻撃を
しかけてくる。

私は妻も娘も両方大切にしたいが
一番は妻なので、どうしても
片方に寄ってしまう。

これは仕方がないことだ。
一緒になるときに誓ったのだから
一番大事な人だからだよ。

そして、君にもそんな大事な人が
現れる時がくると私は願っているよ。
ところでこの前の彼は、どうなったのだ?
先日出かけたのは違う名前の奴だったみたいだが
そっちはどうなっているのかね?もう、今後は
いちいち私に彼を紹介するのをやめなさい。
彼らは律儀にかしこまって挨拶にくるじゃないか
男同士ね、情ってもんが湧くのだよ
私はね歴代の男たちがね、不憫でならんよ。
今頃どうしてるのかなぁ、
気のいい奴だったなぁ、
やさしい笑顔がかわいかったなぁ、
あいつは元気でやれているかなぁ、
ってね。
これじゃ私の元カレみたいじゃないか。

そこにはかれのようなもの

独り暮らしの準備は急ピッチで進み
内見した後でもう契約してしまった。
部屋の間取り、立地、周囲の環境
家賃、防犯、etc

不安は残るものの、とりあえず
住処となる場所を確保できた。

この地には〇〇君が住んでいて
(内見の後でわざわざ挨拶しに来てくれた)
確か以前、自宅で一緒に食卓を囲んだ彼だ。
何かあれば近くに住む、○○君に頼ればいい。

私としては同棲してもかまわないし
世間知らずの長女を放り出すよりは
むしろ安心できるのだが
相手方の親御さんの許しもなく
「よろしくね☆彡」というわけにもいかず

「ひさしぶりだねー元気?」
(だ、、、よな?)
とあたりさわりのない言葉を交わし、
我々は帰還した。

彼女が独り暮らしを決意し
働き口も先に見つけて
この地に決めたのには、
確かに最初、彼の存在ありきの
話だったはずだ。

それがどうやら
最近はちと事情が違うようだ
遠距離の難しさなのか
今の男女の感覚が分からないが

親だから感じる娘の違和感。
微妙な笑顔、視線、仕草、話し方。
以前と距離感が明らかに違う。

彼の方は相変わらず明るく
手土産なんて持ってきちゃって
礼儀正しくもフランクに
人懐っこい笑顔で挨拶してくる。
親御さんに愛されて大事に
育てられたんだなぁと
しみじみ思う。

なのに娘よ
どうなんだい。

いや、君が思う幸せが
そこに無いのなら、
仕方がないのかもしれないけれど
彼もまた私の元カレリストに
入ってしまうのだろうか。

いっそ、元カレたちを集めて
皆で飲みにでも行こうか。
慰労会としてBBQなんてどうだろう。

うん、地獄だな。

おわり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?