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毒舌寿司


死線をさまよった男が蘇生後に、寿司屋に行った。老鬼がいるが店構えは普通だ。


罪人の舌をくれ


帰れ


この場所は三途の渡し守から聞いた。閻魔に引っこ抜かれた罪人の舌を食べるとその犯罪にあわないと…


「おめぇ死にぞこないか


私に食べる資格はあるだろ


 老鬼は頷くと男の前に寿司を置いた。罪人の舌がマグロに見える。

「詐欺師の詐欺寿司だ」


うまい


「強盗犯の強盗寿司、重婚寿司、恐喝寿司、殺人寿司」


シメは何?


「毒舌寿司」


 男は満足げだ。


これで今後犯罪にもあわないし毒舌を吐かれることもない


「待て、昨日は節分だったな」



「御免、節分の日は地獄鬼も仕事を休む。賞味期限切れなので今食べたものは無効だ」

 老鬼の説明によると一生に一度だけ味わえるものなので、二度と提供できぬという。男は怒った。が、罵声を出そうにも出せぬ。己から毒舌が吐けない。老鬼が慰めた。

「一つだけでも効き目が残って良かった」

 男は良くないと泣いた。



ありがとうございます。