61.愛してやまない雑貨たち

初めて入る店で、いつも行きつけの雑貨店で、過去旅先の店で、運命的に出会ったもの。昔から私は雑貨、特にオブジェのような置き物に目がないのだ。陶器や木材、スチール、プラスチック、珊瑚、素材を問わず、特に動物モチーフのものは大好き。衝撃的な出会いは、突然びびび、とやってくる。

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ちょうど一年前、初めて入る雑貨店でのこと。
沢山の雑貨が揃えられた店内をぐるぐる回る。お気に入りに出会うため、棚から棚へ隈なく目を配る。真夜中、獲物探しに目を光らせるフクロウのようになりながら。店内徘徊を繰り返しているその内に、獲物、いえ、素敵な雑貨と出会うことになる。

びびび、を感じたのは木製の鳥のオブジェ。
なかなかの存在感を放つ彼。木製という材質で、鳥の丸みがよく表現されている。重量感があるのに、シンプルな着色でお部屋に馴染んでくれそう。しばらく悩む理由になったのは、7,200円という価格。衝動買いにしてはちょっと高いかな……、更に数十分悩み、半ば我慢という形で、その木製鳥とお別れすることに。(店内にはまだ何体かいたので、またいつか迎えにくるね、という気持ちで)

それから、一年経ったのが先日のこと。
久しぶりにその雑貨店に足を運び、心惹かれた木製鳥を見に行くと、やや埃を被りながらも、一年前とまったく同じ場所に佇んでいるではないか!駆け寄ってプライスカードを見ると、「50%OFF」のシールが貼られていた。他の何体かは値引きされていない様子。店員さんに値引き理由を伺うと、口ばしの先が少し欠けているという。二度目の対面、口ばしの欠けなどまったく気が付かなかった。むしろ、一年前と同じ場所にいながら、口ばしが欠け、埃を被り、そんな木製鳥を家に迎えない訳にはいかないような気がした。

意外と大きいので、元ある雑貨と調和してくれるか気になったものの、心配ご無用!といった感じで、いい感じに馴染んでくれたのだ。

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このように、その時の気持ちや状況が加わると、とりわけ愛着が湧く。今はもう閉店してしまった吉祥寺の雑貨店で買った羊の置き物、開演前の興奮した気持ちの中スピッツのツアーで購入したスノードーム、北欧雑貨への憧れでやっと注文した白くま貯金箱。どれも大切なひとつひとつ。

好きな女優さんの一人である、石田ゆり子さん。
彼女のエッセイを読むことが多く、中でも『Lily—日々のカケラ—』では、文章と共に写真でお部屋やお洋服、愛犬愛猫との生活などライフスタイルが綴られている。

こちらで掲載されているような、彼女の部屋や雑貨のレイアウトにとても憧れている。物がとても多いのだけど、いい意味でカオス、混沌とした並べ方がとてもお洒落で、きらきらしたおもちゃ箱を覗いた時のような、豊かな気持ちになるのだ。自分の好きなものだけで形成されるお部屋というものは、幸せの場所。私もきっといつまでも、雑貨探しはやめられないし、これからもお気に入りを増やしていくことが待ち遠しい。

おわり

いつも #1ニチ1エッセイ を読んでいただき、ありがとうございます。さらに、「スキ」を押していただいたり、フォローしてくださる皆様、コメントをいただけること、心より感謝です。今後共、よろしくお願いいたします。

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