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59.気持ちをほぐすゆったりエッセイ

気持ちが疲れていたり心が重い時、読書が進まなくなる時がある。物語の途中でも、目で文字を追っているだけで、なかなか内容が入ってこなかったり、本を開く頻度が減ってきたり、読書を通じて自分のコンディションがわかりやすい。

そんな時、気分をほぐしてくれる短編エッセイがとても味方になってくれる。読みたいだけ読んで、短編なのでさっと読み切れることも嬉しい。著者の人間味や感情に共感したり、考え方に気持ちが救われることもある。今回は無理をしない、のんびり読書におすすめの作品をご紹介。

東京日記|川上弘美

『東京日記』は、全六シリーズの展開。「ウェブ平凡」の連載から生まれた作品で、川上さんのごく日常的な日記として構成されている。冷蔵庫が壊れて、新しい冷蔵庫がやってくるまでの話、実家に電話をする話、日常の何気ないことが綴られ、その生活感や時折起きる不思議な出来事に、気持ちがホッと落ち着いたり、日常がちょっと輝かしく思えたりする作品。

今日の人生|益田ミリ

『今日の人生』は、1・2と二冊展開の単行本。二作共、グラフィックデザイナーの大島依提亜さんが手掛けた装丁がポップで可愛らしく、表紙を開く前から気持ちがわくわく。「日々」という単位で切り取られた人生の話は、あるある!と共感したり、ふふっと笑ったり、ちょっと寂しい気持ちになったり、心の動きをよく感じられる作品。四コマ漫画なので、びっちり活字をちょっとお休みという時にも最適。

アジフライを有楽町で|平松洋子

平松洋子さんの食エッセイを読んでいると、ついお腹がぐぅぅ、と鳴る。「おいしい」という言葉以外で、そのメニューの魅力や、食事そもそもの愉しさを伝えられる表現力に驚かされる。生きていくことに直結する「食べる」、ということが、より豊かになる作品。『すき焼きを浅草で』や、『肉まんを新大阪で』など、同シリーズも多数展開されている。

わたしを空腹にしないほうがいい|くどうれいん

俳句をタイトルにした食にまつわるエッセイ集。六月の一ヶ月間を日記形式に綴り、その主題として描かれるのは、やはり「食」。くどうさんの真っ直ぐな表現が、日々の、毎日の食事を瑞々しく表されている。「元気がない日でも食事を作る」、きっと大丈夫なんだ、と思わせてくれる、読後とても気持ちのいい作品。

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今回ご紹介したエッセイたちは、私が実際に読んでいて、同じ気持ちや感情、あるいは出来事に共感した作品。日々の生活の延長線上に、同じ気持ちを感じていたり、人によっては全く違う視点で世界を見つめていたり、本当に様々。共通することは、同じ「時間」を生きていること。そう思うと、心がちょっと軽くなる。

おわり

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