【1$とカタチ】その3「三点支持」
このリレーコラムも3回目になりました、造形作家の長野光宏です。頭でっかちのお時間です。
前回の下田さんの寄稿を読み、「皆を巻き込んで、楽しそう・・・」と歯軋りしたワタクシ。
そもそも1$WONDERLANDの基本理念は
「新しい『面白い』の形、あなたの新しいcultureが見つかります。」
であり、このnoteの表題にもそう書いてある以上、
「新しい面白い、を提示しなきゃならないのではないか?」
と、今更ながらに思ったのです。
それはさておき、前回のピラミッド話から続いて、今回は「3」という数字について(3回目だしね)。
古くはピタゴラスの時代から、人類は「3」という数字に意味を見出してきた。
「三位一体」「三種の神器」「ボロミアン・リング」「三角形の中に置いた物は腐らない」「ハチベエとモーちゃんとハカセ」等々。
後半で話が逸れたが、揺籃期より人類は「3」という数字に惹かれてきた。
それはなぜか?僕が思うに、この数字が自然の中に存在する「安定の最小単位」だからではないだろうか。
安定したもの、というと机や椅子、自動車など4点で支持される物を想像するかも知れない。
しかし、現実には3点での支持が勝る。
その理由を簡単に考えると、以下のようになる。
平面状に任意の点を置く。
3点おいた場合、得られる面は1つだけ、4点で得られる面は4つにもなる。
三点では1つ(赤)、4点では4つ(赤、青、緑、灰)の面が出来る
さらに、出来た面の中に重心を置き、それが移動したとする。
面の中に重心(赤円)を置く
3点の中ではどれだけ重心が動いても一つの面の中にある。
しかし、4点の中で重心が動いた場合、面から面へと移動する。すなわち、「重心のいない面」が常に存在する(図中緑と赤)。
これを「脚」に置き換えてみる。
三本(三点)の場合、すべての脚に荷重がかかる。
しかし、四本(四点)の場合、上記の理由で荷重のかからない脚(図中右上)が常に存在する。
すなわち、「不要な脚」になってしまう。
がたつく机にはよく出くわすが、カメラ三脚にこれは起こらない。
世界中のテーブルが三本脚だったら、皆さんも折った紙を差し込まなくてすむのです。
自然はバランスを求め、不要を嫌う。
人体や、樹木、建築物から山脈にいたるまで。
小さな基礎が荷重に耐えられるだけの安定性を獲得すると、そこから大きな構造へと積み重なっていく。
その繰り返しで今の世界は作られ、これからも変化していく。
その起点にあるのは常に「3」という数字だということに、太古の人類は気づいていたのかもしれない。
ここで本文最初に戻りましょう。
「新しい『面白い』の形、あなたの新しいcultureが見つかります。」
日々の生活を彩るのは、いつだって「新しい視点」です。
ここは一つ、皆さんも身の回りの「3」を探してみてはどうでしょう?
思いがけない自然の作為や、建築家、デザイナーたちの努力に出会えるかも知れません。
僕の目の前にあるギタースタンドも三点支持で、と書こうとして気付きました。
これ四本足だよ。
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