格闘ヲタ一代④
続いては帰国後、大学に入ってからのお話。
大学に入ってから私は色んな部活を視野に入れていました。最初が武術だったので、ずっとグローブ技術しかやってないゆえに素手の技術が欲しくなって来たのです。 これまた恐るべき格ヲタ。ライセンスとか取ってプロになる気はなかったのかと思われるでしょうが、ボクシングのトレーナーに「目が悪いからライセンス無理やで。視力引っかかるから」と言われて諦めました。
当時はレーシックなんて一般的では無かったし、まだタイガーウッズとかもしてなかったと思うので、誰も知りませんでした。 実際は、視力検査の時だけコンタクト着けてる人がたくさんいるらしいんですけど、そんな裏技、伊東家も誰も教えてくれなかったし… ただ、当時はキックは団体によってはライセンスがなく「試合に出ればプロ」とされると聞いてキックでプロになりたいと思っていました。 実際高校まではそう思っていたんですけど、サッカーも一緒にやっていたせいもあってか、身に振る火の粉もあってか、まぁそもそも子供時代はディオ・ブランドーでなくても貧弱ゥッといいたくなるような子だったので、怪我しやすかったのか、ちょいちょい色んな怪我はあったように思います。もっともこの後大学に入ってから拳は二回骨折するし、怪我はさらに多くなりますが。
そしてこの頃の私は「ライセンスが取れないなら、黒帯欲しいなぁ」と思い始めるのです。
先程も言ったように素手の技術が欲しいなぁと思い始めたのもあっての事です。 素手の技術って具体的に言うと、鉄槌、裏拳、手刀打ち、熊手、掌打、一本拳、平拳、抜手、一歩抜手、目突き、目打ち、弧拳等々…気になったら調べて下さい(笑)
攻撃だけじゃないですよ、受け手も含めて。
それで空手部に入ろうと思ったんですよ。
でも私、先程挙げた技法を見て分かる通り古流の空手がやりたいのです。
現代の空手は、寸止め空手、フルコンタクト空手、防具空手、グローブ空手に分類されるが、結局どれも型と組み手は別部門みたくなっていて、もしとても偉い人が「いや、正直どれも空手じゃないよね。型関係ないし」と言ってしまうと終わっちゃうぐらい、型の動きと組手の動き、試合用の練習は全然別物。上記にある、手首から先の動きはほぼ使わないで、みんな試合では拳ばかり使う。
防具空手は総合格闘技のような路上ファイトのような要素が一番残っているんですが、日本拳法との明確な違いを述べよと言われると「一応、型の稽古はあります」という感じで「型の変手や分解を使って戦っています!」と胸張って言える流派はほとんどないと思う。
じゃあ逆に型を練って、型の分解を主にやっている空手の流派は競技化をしない。ここのジレンマどうにかならないのかなとずっと思っていたが、当時はどうにもならなかった。
私の武術の先生も当時は「リングファイトに強くなりたい、結果を出したいならリングファイトの練習をしなさい。喧嘩においてもある程度は強くなる、でも弱くもなる。ルールにない攻撃や動きに対して鈍くなるし、ルールにしかない動きをする人は読みやすい。例えばジャブぐらいもらっていい。軽いインローならもらっていい。そう思っていたら、それが目突きで金的だったらどうする。何気なく伸ばした手が髪の毛を掴んだら? 剣道家は下手な剣術家より全然強い。でも、そもそも剣術というのは後ろに回ったり、刃を滑らせて指を切ったり、足を斬ったりする。剣道ではポイントにならない動きだからとそれを無視してたら死んでしまう。とはいえ、武術の動きばかりを極めて行くとリングファイトでは勝てなくなる。自分がどうしたいのか考えなさい」と言っていた。ここにおけるリングファイトとは、競技化された空手やキックボクシングの事でした。
ここ最近になって菊野さんや堀口さんのような人間が総合格闘技MMAに参加し出してようやく、伝統空手家の本当の実戦に近いモノが観れるようになったと思って凄くワクワクしています。もっと中国武術家や古流空手家、古流柔術家などが総合に入って来て欲しい。もちろんMMA用にカスタマイズする事にはなるし、その練習もするだろうけど、読めない動きを持ってる分面白い気がする。カポエイラを使うマーカス・アウレリオという選手は、本気でカポエイラの動きでKOする。過去「カポエイラ使い」という触れ込みで出て来て普通の戦い方をするのを見てガッカリした方もYouTubeで調べて見て欲しい。本当に格ゲーばりにカポエイラを使うので(笑)今、パンクラスにSMAの後輩で「インド武術使い」のタイガーデイトという選手がいて、独特のサイドキック使いなので是非観てあげて欲しい。武術家はどんどんMMAに出るべきだ。もちろん、目突きや金的はないものの、肘も膝も関節蹴りも脛蹴りもあるんだから。頸動脈を手刀で打ったっていい、平拳で喉を打ったっていい、寝技で肋骨の間に指突っ込めるんだし(笑)
そういう意味では、あんなに私から見てジレンマの塊だった空手が、今やMMAという場での実戦性において他の古流、伝統武術達にかなり先んじていると言える。そう考えると今までどうやったら、実戦に近い形のルールになるのか長年試行錯誤して来た事が華開いたと思う。
話が逸れましたが、部活の話。そんなわけで次は立ち関節や投げの宝庫、合気に目星をつけます。
打撃だけだとダメだし、かと言って柔道部は強い柔道部で、もう推薦で入った人間達の化物の巣窟でしたし、ここは合気だと思っていたのですが、そこの先輩が「合気道って不思議な力じゃないよ。関節が痛いから倒れるんだよ」と言ってるのを聞いて「何言ってんだ。それはお前の合気が下手だからだろ」と思ったので辞めました…実際本当に上手い人のは痛くないですからね。「引っ張った」とか「押された」とか感じると人は筋反射で抵抗しますけど「気がついたら倒れる」というのがちゃんと崩される事なんで、痛いのは力でやってるという事なんです。反射的に抵抗したのを力と痛みでねじ伏せただけ。それはデカイ外国人とかだとかからないですからね。実際かからなかった事何度もあるし……
そこから日本拳法を見学しますが、同好会で部室も道場もなく、体育館のロビーでやっていたのでやめました。
なぜなら私は軍隊のような体育会に入りたかったのです!だってゴリゴリにやりたかったから。高校のサッカー部が熱過ぎて、日本に帰ってバイトしてサークル入ってチャラチャラしたくなかったんです。熱い熱い部活を学生の時はやりたい!という謎の欲望が抑えられなかったのです。涙なしでは読めない青春サッカー部の話はまた書きますね
そもそも少年漫画やカンフー映画で育ち、イジメを修業で跳ね返した単細胞の私は「修業」「特訓」みたいなのが大好きです。
そこで少林寺拳法部にスカウトされます。少林寺拳法は打撃、関節、投げがあり、とても合理的でした。一番良かったのは意外にも演武の大会がある事。一人で型をやる空手のような部門もあるんですが、組演武といって二人組もしくは1対2とかで戦う演武を魅せるというもの。なぜこれに惹かれたかと言うと、正直、乱捕り(少林寺では組手を乱捕りという)は防具をつけたポイント制で、立ち関節からの投げを使う人もおらず、少林寺最大の特徴である目打ち、金的も使わない。みんな突き蹴りでポイントを争うので空手とそんなに差はないです。 ところが、演武はちゃんと型通りの動きを使ってやらなければいけないので、自然に実戦のスピードで型を使う体の動きを覚えられる。実際に使えるかどうかに関しては実戦を経験してないメンタルでは難しいかもしれないが、組演武の大会が盛り上がっている事で、型と実戦がギリ分離していないようにその時の私には見えたのだ。
そして、私は少林寺拳法部に入部する事になった。
ちなみにスカウトされた時、乱捕りで有名なOBが来て体をあちこち触り「何かやってた?」「え、キックです」「うん、君、未来の主将やな」と言われるというマジで格闘漫画みたいな事が起きました。
おっと、これは長くなりそうなので大学体育会少林寺拳法部編はこれを序章とします。
本編は明日から
今日はこの辺で
一丁
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