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歌集「遠ざかる情景」

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目に見える情景の中には、時に胸を締め付け、そして、時に凍り付いた心を溶かしてくれる不思議な温かみを感じる何かがある。しかし、それは、これ見よがしに情味を見せたり、人情や温かみを押…
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#現代短歌

歌集「遠ざかる情景」#4

人生には、断片的に悲劇が転がっている。目を背けて生きようとも、人が感覚というものを頼って…

roi
3年前
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歌集「遠ざかる情景」#4 解説(前編)

朝の市 仔を孕みたる 鮫の母 血を流したる コンクリの床 仔を孕み 膨れたる腹の 母鮫血…

roi
3年前
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歌集「遠ざかる情景」#3 解説(後編)

山越えて 征く馬者に乗る 若き人 幼心も 今は捨てたか 幼顔 残した子らを 乗せる馬車 …

roi
3年前
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歌集「遠ざかる情景」#3 解説(前編)

女(ひと)を裂き 血肉飛び散る 白き貌 一人泣き濡れる 容疑者の男(ひと) 血肉裂け 泣…

roi
3年前
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歌集「遠ざかる情景」#3

闇とは何か、誰もが有し、誰もが隣り合うそれ。しかし、どこかで、その秩序が壊れるとき……、…

roi
3年前
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歌集「遠ざかる情景」#2 解説(後編)

山河鳴く 碧空を飛ぶ 雲の陣 駆け行く風は ただ優しけり  山河鳴き 流れる雲の大軍勢 …

roi
3年前
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歌集「遠ざかる情景」#2

 思い出……。もう、失ってしまった“それ“は、今も心の中に存在し、今の私の荒んだ心に冷たい水のような潤いを与える。その反面、それを失った悲しみは、私の貧弱な心臓を突き刺す。それは時に、胸に太い杭を打ち込まれていな痛みになって現れるのだ……。  目を閉じれば確かに存在している、緑あふれる田園や、夕陽の差す海辺の街並み。もし、それがなければ、あの苦しみや痛みはない。しかし、目に浮かび続ける“それ“を手放すことができない、私がいる。  引き出しから、薄汚れた宝石箱を開け、古くなり、

「遠ざかる情景」#1 解説(後編)

夕凪や 陽が差す河原 ただ一人 止まった刻は 私と似たり 夕凪や 私と似たる夕の風 ただ…

roi
3年前
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「遠ざかる情景」#1 解説(前編)

自分の詠んだ歌をあえて解説してみる。ある作家は、自分の楽屋裏を晒すのは好きじゃないと言っ…

roi
3年前
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遠ざかる情景#1

短歌の投稿です。推敲を繰り返してみました。 文明という明かりの中で生きながらも、我々は、…

roi
3年前
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