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歌集「遠ざかる情景」#4


人生には、断片的に悲劇が転がっている。目を背けて生きようとも、人が感覚というものを頼って生きる限り、それは私たちの前に現れ、心をかき乱していく。突然降る雨のように心を濡らし、閉ざされた悲しみの世界に引きずり落とす。
生きるとは、幸福を感じながらも、その裏側にある残酷を乗り越えていかなければならない……。それが、人生なのか?

朝の市 仔を孕みたる 鮫の母 血を流したる コンクリの床
仔を孕み 膨れたる腹の 母鮫血流し 横たわる床
仔をなせど 網にかかりて 母ざめが コンクリの床 血みどろの市   
網かかり 血みどろの鮫 仔を孕み 朝の市場の ただの日常
血みどろで 横たわる鮫 膨れし腹 朝の市場の 雑踏の中

泣かぬ仔も 笑わぬ子らと よその母 撫でる手よりも 褒める口のみ
泣かぬ仔も 笑わぬ子らも 逞しい なでる手よりも 褒めるが先か
泣かぬ仔も 笑わぬ子らも 世のための 支柱となれど 可愛くはなし
笑わぬ仔 泣かぬ仔は シャンと身を正し 世の支えよと 褒める他所の親
他所の親 笑わず 泣かぬ仔を 褒めし 柱であれど 撫でる手はなし

夕涼み 麦酒の苦み ほろほろと 橙の日差し 頬を焼きしは
麦酒の 苦みほろほろ 夕涼み 陽射し橙 蒸し暑きなり
橙の 日差しを浴びし 夕涼み 涼しきなりは 麦酒の冷たさ
麦酒の 冷たい飲みが 夕涼み 橙色の 陽は蒸し暑き
麦酒の 苦み ほろほろ 橙の 陽が射し込みし 夕涼み

薄闇に浮かぶ ルージュがおぞましく 鏡に映る 女の色香
鏡の中 薄闇の中の ルージュの赤 悍ましきなりは 女の色香か
薄闇が 映る鏡に映るルージュ 色気づく紅 何故悍ましき 
薄闇を 鏡が映す その内に 輝くルージュ 何故悍ましき
悍ましき 女の色や ルージュの赤 鏡の中の 闇に輝く 

夕時の 魔が差すにという その刻の 揺蕩うことに 恐れ怖れし
揺蕩うは 魔が差すという 夕刻の 持つ包丁は 殺意故かな 
魔が差す刻 揺蕩う心に 持つ包丁 命切り刻む 夕時のこと
揺蕩うは 魔が差すゆえか 夕刻や 再放送の おんなの殺意
殺意ゆえ? 握る包丁 夕時の 魔が差す時刻 心たゆたう

蝋人形 貌から足まで 精巧に されど 笑顔は 人工なりや?
人工の 笑顔振り播きし 蝋人形 白い歯見せて あくまで商業
笑顔だけ どこか人工の 蝋人形 滑稽なるは 私ゆえかな? 
人工の 笑顔で嗤う 蝋人形 作りし誰かを からかいおるか
蝋人形 造り笑顔は 本人で あるわたくしを 笑うが故か

兎馬 飛び乗るは 痩せた 新米の 遍歴の騎士 ドン・キホーテなり
飛び乗りし 貧相なるは 彼と同じ 兎馬かな ドン・キホーテよ
後の世の 露西亜の人が 褒めておる 浪漫の人よ 遍歴の騎士
騎士道を 嗤うがゆえに 書かれども スペインに咲く 浪漫の騎士よ
貧相な 驢馬に乗る人を 笑う人々も 浪漫の輝き 

総評
全体的に言葉がくどくなっている。もう少し、すっきりさせたい。
また、歌全体のテーマに纏まりがなく、散漫な印象がある。

コメントお待ちしてます。時にキツーい質問などは、大歓迎です!

覚悟してるぞ。

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