大人の歴史講座 「土偶」の魅力!
こんにちは!たーぼうです。
今回は、「大人の歴史講座ページ」で紹介させて頂いた記事を抜粋してまとめたものです。facebookページだけでなく、noteでも発信したいと思います。良ければご覧ください。
【土偶レポート No.1】
ー「土偶スーパースター」がいるのを知っていますか?ー
歴史の最初の分野で学ぶ「土偶」。(よく隅という字を書いてしまう人が多いのですが、人間なのでニンベンです。)
実はかなり奥が深い存在です。不明な点も多いです。
土偶というと、宇宙人みたいなやつを想像するかもしれませんが、基本的に「女性を象ったもの」です。女性らしい曲線美が多いのですが、結構角ばったものもあります。
少し珍しい土偶が結構あるので、まずは入門編ということで紹介します。ぜひ下記ページから1番有名な国宝5体(通称:土偶スーパースター)をご覧ください!
特に珍しいのは【合掌土偶】です。青森県の八戸市にある「風張1遺跡」から出土しました。
合掌しているのは、豊穣祈願や安産祈願が目的ではないかと考えられています。一方、体育座りの姿勢は民俗例にみられる座産の出産姿勢と関連づける説もあります。
学説では上記のように言われていますが、「合掌土偶に吹き出しでセリフを入れてみたら、どのような言葉を入れますか?」
考えてみたら面白そうですね。
土偶女子:譽田亜紀子さんの解説
「この土偶もやっぱり、お腹の部分が薄いので、男性っぽく見えるんですけど、しっかり真ん中に女性器も表現されているのでこれも女性だろうなと。この土偶のチャームポイントは、口だと思うんですよ。なんだか、しゃべりそうじゃないですか。漫画の吹き出しが浮かんでますよね(笑)」
【土偶レポート No.2】
ー母性ハンパない!「子抱き土偶」を知っていますか!?ー
こちらも特徴的な土偶です。その名も「子抱き土偶」です。文字通り、子どもを抱いた土偶です。東京都八王子市の宮田遺跡より発掘されました。
土偶は女性を象った「抽象的なもの」と言われております。
しかし、これは、生活の一場面を土偶とした「具体的で写実的」なものです。
今も昔も変わらない「母の子育て」の姿が土偶になっています。(現代だったらイクメン土偶もありですね)膝にも渦巻き文様があるというリアルっぷり。
ちなみに、キリスト教文化圏にも「ピエタ像」という作品ジャンルがあります。母と子がテーマですね。
(※ピエタ:死せるイエス・キリストを膝に抱いて嘆き悲しむ聖母マリアの像。ミケランジェロやボッティリェリなどの作品などが有名)
人間の子孫を残そうとする姿は、キリスト教世界でも、縄文時代でも、ずっと受け継がれてきた姿と言えそうですね。
子抱き土偶の紹介
お母さんは横座りをしており、単に子どもを抱いているというよりも、あたかも授乳をしているようにも見える。
お母さんの方には、沈線で様々な文様が描かれており、特に膝の部分の渦巻きが印象的である。赤ちゃんの方には目や口の表現の他、縄文時代中期前半期の土偶に特徴的なカモメ状の文様が眉間に刺突文で描かれている。しかしながら手足の表現がないところから、この赤ちゃんは何かで包まれていたのかもしれない。
当時の日常生活の一光景をうかがわせる逸品である。
【土偶レポート No.3】
ーそもそも、土偶は「何のために」作られたの!?ー
さて、これまで土偶を見てきて、こんな疑問が出てきたのではないでしょうか?
【そもそも土偶は「何のために」作られたのでしょうか?】
その答えは不明なのですが、研究者の中では、「3つの有力な説」があります。それは、①食料確保の成功・②病気治癒・③生命の再生と言われています。(ちなみに真相は不明です!)
さて、今回は【②病気治癒】に注目したいと思います。
土偶は、ほとんど欠けた状態で発掘されます。なぜ欠けているのかと言うと、「病気や厄災を土偶に身代わりになってもらうために故意に壊した」のではないかという説があります。
これは「形代(かたしろ)」と言われる古来からある風習の1つで、人形に災いを転嫁するという考え方です。
現代の「ひな人形」もこの1つと言われており、人形を病気や厄災の身代わりにして、子どもの健康を祈るとされています。(現代に通ずるものがあると言えるでしょう。)
「痛いの痛いの飛んでいけー!」の矛先が、もしかしたら「土偶」だったのかもしれませんね。
『はじめての土偶』より、土偶がつくられた理由について抜粋。
バラバラに壊れている土偶は、その破片を大地に撒いて自然の恵みが豊かになることを祈ったのではないか、病気の箇所を壊すことで身代わりになってもらったのではないかなど、たくさんの説があり断定することができません。そこが土偶の面白さなのです。
【おまけ話】
ページへの投稿に対してご意見や質問などがありましたのでこちらもお答えしておきます。
Q:土偶は日本だけの文化なのか?
A:日本だけではないようです。世界的にもこのような女性を象ったものは多いようです。やはり、出産など生命の誕生に対する畏敬の念などは世界的にあったのだろうと考えられます。(謎が多そうですね。)
例としては、次のようなものがあります。
最古の土偶はチェコスロバキアのドルニ・ベストニツェ遺跡から出土した旧石器時代のものです。
さて、ここまで土偶について記事をいくつか書きましたが、今回ご紹介ししたのは、まだまだ土偶の一部分に過ぎません。
これ以外にも、「遮光器土偶」・「ハート型土偶」、「ミミズク土偶」、「動物土偶」など様々な土偶があります。ぜひ面白いので見てみてください!
入門編では、こちらの本がおすすめです。
連載をしているページはこちらになります!次回からはしばらく「歴史×音楽」の特集をしています。どうぞご覧ください。
◆参考文献
・武藤康弘『はじめての土偶』(世界文化社、2014年)
・歴史系総合誌「歴博」第179号
・設楽博美『副葬される土偶』(国立歴史民俗博物館研究起要第68号、1996年)
・八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館 ホームページ
・神奈川県 平塚市博物館ホームページ
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