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6/9 作品における禰豆子の存在

以前、こんな記事を書きました。

「週刊少年ジャンプ」と名前のついた漫画誌でも、昨今は少女の読者が増え始めていると。もはや週刊”少年少女”ジャンプだなと。そう考え始めると色々と思い当たるところがあって、それを深掘りしていこうと思い始めました。

少し話が横道にそれますが、最近宇野常寛さんの「リトル・ピープルの時代」を読み返していて、それに触発されて平成ライダーシリーズを観直しています。「仮面ライダークウガ」から(先は長いよ)

仮面ライダーは悪を蹴散らす正義のヒーローではありますが、元は悪の組織ショッカーが造った改造人間であり、その出自は”悪”に当たります(以下の記事を参考にして頂けると幸いです)

仮面ライダーは言わずと知れた男の子のヒーローですが、哀しい境遇(背景)を抱えたヒーローでもありました。それを踏まえて「鬼滅の刃」のことを考えると、正義は鬼殺隊にあり、悪は鬼という構図ですね。しかし、炭治郎の妹である禰豆子は鬼、つまり悪の存在にされてしまいました。本篇序盤の柱合会議において冨岡義勇以外の柱全員が鬼である禰豆子の滅殺を望む流れもありましたし。その場で不死川の挑発にものらず、その後上弦の鬼たちとの死闘の中で柱たちから徐々に認められていくという過程を経て、鬼である禰豆子も鬼殺隊の一員として認められていきました。最終的には正義に属する鬼になったという訳です。

私はその構図が仮面ライダーのそれと重なってみえました。よくあるシナリオと言ってしまえばそれまでですが、それが女性キャラクターで行われたことに1つのエポックメイキングがあると考えます。しかも、週刊少年ジャンプも女性読者が増え始めているという背景もある。今後のジャンプにおいては女性キャラの立ち位置や存在感というのが際立ってくるのかもしれません。

ちなみに、鬼滅の刃の主人公は炭治郎でありますが、ある意味では鬼殺隊員や鬼を含む多数のキャラクターの群像劇にも思えます。読み進めるうちに鬼殺隊に感情移入する人がいれば、鬼の側に感情移入する人も中にはいるでしょう。鬼が完全な悪に思えない理由として、禰豆子の存在があるように思います。今や正義と悪の単純な二項対立の物語を探す方が大変ですが、鬼滅の刃も単純に鬼だから悪だと言い切れない、少し後味の悪さを残す物語ではなかったでしょうか?後日、改めてその点を深堀りしてみたいと思います。

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