万能の天才レオナルド.ダ.ビンチの光と陰
モナリザは世界で一番有名な絵画と言っても過言ではないと思います。ですが、どうしてこれほど人を惹きつけるのでしょうか?あのなんともいえない微笑みと謎の背景を、多くの人々が考察して来ましたが答えは出ていません。
映画ダビンチコードでは絵のモデルはマグダラのマリアという考えですが、みなさんはどう思いますか?レオナルドに聞けば分かるのですが、そうゆうわけにもいきません。だから謎が謎をよんで余計に神秘的に見えますね。
彼の絵画はどれも綺麗だけれど、どこか陰があるような気がします。それは幼少期の闇があるのではないかと思います。父親は公証人で母親は奴隷でした。母親が引き取ると身分が低い奴隷になってしまうので、父親が引き取り母親と幼い頃に引き裂かれてしまいます。不遇の幼少期でまともな教育を受ける事が出来ない中、独学で絵を描いています。それだけではなく、解剖学、航空力学、天文学、建築学などに精通していて、正に天才です。
その後、ベロッキオに師事します。「キリストの洗礼」という絵を共作するのですが、弟子のレオナルドの方がうますぎてベロッキオが筆を折るのです。20歳でマスター資格を受け独立します。師匠が舌を巻くほど才能がある彼をメディチ家が目をつけプラトンアカデミーに入りました。貴族の依頼で絵を描きますが、完璧主義者過ぎて納期が遅いので、平たく言うとクビなります。解剖学的な事を絵に表現したため貴族には不評だったのです。レオナルドの絵画作品は13点しか残っていません。売るために描いたのではないにしても少なすぎると思います。これは自分で気に入らない絵画を処分したのだそうです。
キリスト教が支配している時代において真実を追求しようとするレオナルドのやり方は、受け入れられるものではないのです。特にキリスト教会から依頼される宗教画は、キリストや聖人たちを特別に描く事を求められるので真実を描いてはいけないのです。
私が好きな絵画に「岩窟の聖母」という作品があるのですが、ほぼ同じ構図で2枚の絵画が存在しています。ルーブル版とロンドン版です。最初にルーブル版を描きましたが、教会が受け取らなかったといいます。ロンドン版はマリアの着ている服の色が鮮やかだったり、天使の羽が鮮明に描かれています。後輪もはっきり描かれていてこちらの方が宗教画的に神聖な感じがしますが、私はルーブル版の方が好きです。こちらは色味が暗く、後輪が描かれていません。天使の羽もはっきりしないためおそらくわざとこう描いたのかなと思います。宗教画には布教を目的としているため誰にでもわかりやすく描かなくてはいけませんでした。レオナルドは真逆のことをしていたので教会は怒り受け取らなかったのでしょう。彼は恐らく反キリストだったといわれています。キリスト教の教えの矛盾に気がついていたのでしょう。ですが当時、このことをあからさまにはできません、だから絵画に自分の思想を描き込んだのかもしれません。
「最後の晩餐」も有名な作品ですが、世界で一番損傷の激しい絵画です。ミラノのサンタ.マリア.デッレ.グラツィエ修道院の食堂の壁画として描かれその後何度も修復されてレオナルドの描いたものは全体の2割程度しか残っていないそうです。彼の絵画には暗号が仕掛けられているらしいので、オリジナルの作品を見た時、今とはまた別の解釈が出来るのではないかと思います。