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「物語」でブランディングを強化する

共感を生み出すプロセスをていねいに設計する

日々増産される膨大な情報のすべてを知ることは不可能だ。 僕たちは無意識のうちに、自分が共感を覚える情報のみを選択している。当然、発信側に求められるのは「共感を生み出すプロセスをていねいに設計する」ことだ。

よく見かける「こだわりの食材を使っています」からは共感は生まれない。 なぜならば、他も同じようなことを発信しているからだ。機能や価格を超えた価値ある違いを発信する必要がある。それは「物語を伝える」ことだ。

そういっても「ウチには物語なんかないよ」「同じようなことを提供する会社がたくさんあるからなあ」。しかし、仕事についての考えや仕事で体験したことが同じわけではない。だから「考えや体験の物語」が成り立つのだ。

「創り手の物語」「選び手の物語」「使い手の物語」を伝える

物語はわかるけど、企業の発信なので好き勝手には書けない」、これもよく耳にする。でも、プレスリリース的な匂いが強いと硬い印象になりがちだ。発信者の顔も出せないので、 個人の持つおもしろさも伝わりにくい。

企業アカウントで「物語を伝える」にはどうしたら良いのか。僕はこう思う。「仕事を通じて得られた経験や学びで、商品やサービスを包み、個人の言葉として発信する」。経験や学びに物語の種が潜んでいる。

僕が小売店の情報発信で使ってきた3つの物語を紹介する。それは先ほどの「考えや体験の物語」をベースにした「創り手の物語」「選び手の物語」「使い手の物語」だ。 この3つの物語を活用した事例を紹介する。

イーダーオーバーシュタインの中心部の広場

ドイツのイーダーオーバーシュタインの宝石研磨会社

2006 年にドイツのフランクフルトから南西に約130キロ、車でも電車でも1時間半ほどのところにある「イーダーオーバーシュタイン」という街を訪れた。旅の同行者は宝石専門店の社長と通訳の女性だ。

宝石研磨会社「ムーンシュタイナー」

旅の目的は「ムーンシュタイナー」という研磨会社で宝石の仕入れをすることだった。当時、ジュエリーのプロモーションの仕事が多かったので、宝石の産地や会社をたびたび訪問したが、ここは独特の世界観を持っていた。

整理整頓された研磨工房

物語を伝えることで自社のブランディングが強化される

詳細は割愛するが、独特の研磨が施された宝石に感動し、8 点を購入した社長からこういわれた。「来月の展示会でお披露目したいので、企画を考えて欲しい」。製品になる前の宝石をどのように紹介したらいいのか・・・?

落ち着いたクリエイティブ環境

思いついたのは物語を伝えることだった。訪独の理由、研磨の魅力、カッターとの出会い、街の雰囲気などを「イーダーオーバーシュタイン紀行」というDMにし、顧客に送った。すると開催前に予約が入り、完売した。

もちろん、店への信頼があってこその成約だが、「紀行がおもしろかった」という顧客の声から、「物語は共感を生み出す」ことを実感した。この物語は口コミで広がり、同店のブランド力を高めるきっかけにもつながった。

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