「認識のズレのオンパレード」で組織は弱体化する
仲良くなるのは、コミュニケーションの結果の一つです
先日、取引先の社員さんに向けて、オンラインで15分ほど語る機会があった。テーマは「ビジネスコミュニケーション」についてだ。話しながら、「これはチームづくりの大事なポイントだ」と感じたのでnoteにも書く。
コミュニケーションとは「お互いの考えや気持ちや価値観を伝え合う行為」だ。当然、コミュニ ケーションを「仲良くなること」ととらえている人は、家族、 親戚、友人、知人などを相手として想定しているのだと思う。
仲良くなるのは、コミュニケーションの結果に過ぎない。しかし、ビジネスでこれが目的になると少々厄介だ。人間関係を重視した仲良しクラブになりかねないからだ。その先にあるのは「努力に逃げて成果に甘い」組織だ。
「わかったつもりになっている」ことから認識のズレが生じる
僕は「コミュニケーションとは違いをはっきりさせること」だと思っている。自分を主語にして「自分の考えはこうだ」「私はこう思う」と語ることがコミュニケーション だ。もちろん、違いだけでなく、同意もその一つだ。
「違いをはっきりさせる」をビジネスコミュニケーション の視点で考えるとどうなるのか。情報共有や一体感も大事だが、最優先は「認識のズレの修正」だ。同じ対象を見て、話し合っても、解釈はそれぞれに異なる。
考え方の認識のズレ、事業目的の認識のズレ、仕事の内容やスケジュールの認識のズレ・・・仕事を見渡せば、認識のズレのオンパレードだ。しかも、 厄介なのは、それぞれが理解した(された)つもりになっていることだ。
「まあいいか文化」が蔓延するとチームは弱体化する
「認識の違いはよくあることだし、それほど気にする必要はない」、本当にそうなのだろうか。角度が1度違っただけでも、1m先では約1.8cm、1km 先では約17.45mのズレになる。違う世界で仕事をしているようなものだ。
すべての仕事は「誰かを何とかしたい」という「おせっか い」から始まっている。ところが、仕事の現場には「自分のことはやるけれども、それ以外は踏み込まない、踏み込んで欲しくない」といった雰囲気が漂っている。
違和感を感じても「自分の仕事じゃないから口を挟まない」「一生懸命やっているし、いうほどのことでもない」「いいづらそうな人だから黙っておこう」ということが多い。この「まあいいか文化」から認識のズレは生じる。
どんな小さなことでも、気づいたことは、その瞬間に伝える
3月に開催されたWBCでの日本チー ムの優勝は素晴らしかった。翌日の毎日新聞のオンラインニュースで興味深い記事が目に止まった。タイトルは「短期間で結束、WBC 頂点に駆け上がった侍ジャパン特有のある能力」だ。
日本とアメリカに拠点を置き、所属チームも異なる選手たちが、短期間でまとまるのは簡単ではない。結束できた要因は何だろうか?ダルビッシュ投手の「日本チームは人と人との距離が近かった」という言葉にヒントがある。
会社も同様だ。自分のことだけではなく、いっしょに仕事をしている仲間にも気持ち向けよう。気づいたことがあれば、すぐに口に出して伝えよう。認識のズレをすり合わせ、修正することで、強いチームが生まれてくる。