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勇者又は勇者のパーティーになれと王様に命令されたが 超絶面倒臭いので断りました 3話

     異世界に来たけれど
チュン、チュチュン、チュンチュン
 輝は目を覚した、辺りを見回すとどうやら森の中に転移された様だ「喉が渇いた」重い身体を無理矢理起こす。
輝「服はあの時の儘か···これが俺の予想通りの世界なら己のステータスとか知る方法がある筈なのだが」
 慣れない身体で少し振らついてしまった、何気なく身体を支える為に木に凭れ掛かる、すると木はミシミシと音を立てて倒れた。
輝「はぁ?ちょっと待て!!何だこの馬鹿げた力は···木が腐ってただけなのか?」
 倒れた木をまじまじと見るがとても腐っていた様には見えない、輝は思い付く限りの事をして力を抑える事を始めた、目を瞑り氣を落ち着かせてみたり、座禅を組んでみたり、意味の分からない印を結んでみたり、だがどれも効果は無かった。輝の癖の1つだろう何かあると必ず左手で頭を掻く癖があった、それが今出ている。
フサッ
輝「お?髪が···ハハハ毛量がある、でもちょっと長かったか?そっかぁ···ヤッパ転生されたんだな?」
 その時ふと左手首の白いバンドが目に入った。
輝「これって······あの人が付けた」
 白いバンドを良く見ると小さな窪みがある、本当に良く見なければ分からない程度のだ、我ながら良く気付いたと思いながらその窪みを人差し指で触れてみた。ピッっと小さな電子音がしたと思ったらブレスレットから光のモニターが浮かび上がった、画面には自身のステータスや様々なコマンドがある。
輝「名前はその儘か、年齢は15、種族ヒューマン、職業は無し?町とかに行って冒険者ギルドに登録ってパターンか?テンプレだな?」
 ブツブツ言いながら能力値と書かれた所をタップしてみた、レベルは1で他の能力値は全て15になっていた。
輝「待て待て待て!!力が15しか無いのに木が倒れるのか?···ちょっと落ち着け俺·········今までの流れを良く思い出すんだ」
 静かに目を閉じ質問の初めから思い出す事にした、どうやら質問に答えた事での能力変化は余り関係が無い様だ、次は容姿···これも関係が無いと判断した、では何故?スキル!!目を開けてスキルを確認すると希望の6個はあった、だがこのスキルで能力値が上がる要素は無い、どこか遠くを眺めながら深い溜め息を付く、そして転生前の最後の呟きを思い出した。
輝「あ、俺······最後にチートって言った様な···」
 恐らく間違いない、そう判断した輝は街や村に行く前にこの森で力の調整やスキルの確認をする事にした、輝のスキルの狙いはとんでも無いものであるからだ、上手く組み合わせればチート以上の存在になってしまう、かるく説明するのなら······感造で必要な物質をサーチする、それを魔造と創造と融合で鑑定が出来る様にる、創造と製造と融合を組み合わせれば好みの物を作る事が出来る。この様に組み合わせ次第ではどんな事でも可能なとんでもスキルであった。
 色々な物をサーチしている時にある事に気が付いた。
輝「良く見なければ分からないけど、空気中に何か混ざっている」
 すると何かを探知したらしく、ピッと電子音と共にモニターに表示された。画面にはヨクトE(エネルギー)と書かれている。
輝「ヨクト?······ん?ヨクトって確か重さの単位じゃぁ······マジカよヨクトは1番軽い単位じゃねぇか、そこまで探知出来るのかよ」
 輝はこの世界のエネルギーの元がこのヨクトエネルギーだと判断した、生前見たアニメではナノエネルギーが関係していたものがあったからだ。魔造のスキルがあると言う事は魔法は存在する、ならば魔法の原料はヨクトエネルギーと判断して問題なさそうだ、そしてそこからは魔法取得に没頭する事にした。
輝「さて、先ずはどうやってこのエネルギーを魔法に変換するかだが」

 気が付くと辺りは暗く、そして大きな音を立てて腹がなった。
輝「矢張り理論は間違っていなかった、でも上手く出せない···一旦中止するか、思ったより魔法は難しい···何とか小さな火花は出せる様になったからこれで暖と調理が···の前に狩りか」
 辺りを見回して木の棒や木の蔓等を上手く組み合わせ簡易的な武器を拵えた、この世界に来て気付いたが植物は生前の世界と変わりない、明るい時に見た鳥も生前に見た事があるものだった。
 暫く彷徨うと小さな小川を見つけた、輝は川の水を警戒しながら飲んでみて「うん」と小さく呟いた。
輝「言語は分からないが動植物は生前と変わりが無さそうだ···と言う事は猪か鹿がベストか」
 感造のスキルを活かし周囲を探索した、すると前方稍左方向から熱を探知、それと同時に走る音も聞こえてきた。
輝「お、俺に向かって来てる!!」
 武器を構え襲撃に備え待つ。
バサッ!!
 獣の叫びと共に飛び出して来たのは体型は確かに猪だが予想より大きい!!輝は身体を躱しながら武器を突き出した。
ボキッ!!
 鈍い音と共に武器は無惨にも折れてしまった、獣は方向を変え再度輝に突進して来る、鼻の両脇から伸びる鋭い牙が右脇を掠めた、赤い鮮血が舞ったが輝は左拳を獣の眉間に捻り込ませた。
ミシミシボン!!
 自身の力をまだ抑えられていない事に気付いた、だからとは言えここまでとは、そう思いながら頭部を粉砕し絶命した獣を見下ろしていた。
輝「猪に似てたけど···頭部の原形が無いから···ってか喰えんのか?これ」

 石を上手く加工してナイフを作った、獣を丁寧に捌き肉を焼いて腹に押し込んだ。
輝「とにかく身を守るものを作らなければ···力はあっても防御がヤバいな···牙で掠っただけで」
 獣に傷付けられた所を擦るが傷が無かった、服は裂け血はついている、だが傷はもう完治していたのだ。「自動回復」そう呟くも少し眠くなって来たので、火の始末をし剥ぎ取った獣の皮を干すと木の上で夜を明かす事にした。

 転生生活 一日目 を無事終えたのだった。


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