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さよなら妖精 ネタバレ含みます。

今日は米澤穂信さんのさよなら妖精を読みました。
ここ2、3年で私の中でブームになっているミステリ作家さんです。
この間直木賞を受賞されましたが、まだそちらは未読です。(Kindleで購入はしました)

この話では実際にあったユーゴスラビアの紛争などが描かれていますが、私自身は2004年生まれのため、あまり詳しくはありませんでした。
ただ、ユーゴスラビアが無くなり、それぞれ国として独立したことは知っていました。

舞台は1990~1992年。
高校生が主人公の作品です。
メインは、守屋と太刀洗と白河。それとユーゴスラビアから来たというマーヤという女の子です。

マーヤはとても博識で、自分の国にこれから何が起ころうといているのかをとてもよくわかっている女の子でした。
6つの国から成り立っているユーゴスラビアにとって、経済はそれぞれでやっているが税金はユーゴスラビア全体でやっているので、裕福な北の国にとって南の貧しい国はお荷物になっている。
北の国では南の国を“自分たちが養っている”という人も少なくなかった。

「人間は殺されたお父さんのことは忘れても、奪われたお金のことは忘れません」


結局、故郷のユーゴスラビアに帰ったマーヤは亡くなってしまいました。
マーヤは全て分かった上で、故郷のためにできることを探し、世界を飛び回っていました。しかしそんなマーヤも戦争を前には無力でした。

米澤穂信の作品に多くあるビターエンド。
あれだけキラキラしていて、志のあるマーヤの死に直面すると、矢張り心にくるものがあります。
そして、守屋たちにマーヤの帰国は絶対に止めることはできなかった。マーヤの確固たる意志。守屋たちにできることは何もなく、マーヤにすらできることはなかった。

もともとは古典部シリーズになる予定だったそうですが、もし古典部シリーズだと、守屋であるところの奉太郎はどんなに落ち込んだだろうと考えてしまいます。
入須先輩に手の上で踊らされた時よりも落ち込んだかもしれません。


かなり暗い話の今作ですが、私はかなり好きです。
今作では太刀洗の活躍は少ないですが、太刀洗が主人公のベルーフシリーズもあるのでそちらも楽しみたいと思います。



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