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「本音」を殺さないで

2ヶ月ほど前、『コンビニ人間』を読んだ。

それからというもの、わたしは、「村田沙耶香さん」という作家さんにどハマりしています。エグザイルの君に夢中〜♩状態です。

彼女が作る世界に、みるみるうちに飲み込まれる、あの感覚。いやぁ、とにかく凄いんです。彼女の作品を一言で表すと「過激」。目を背けたくなることもあるくらいに、過激なんです。

だけど、「普通ってなんだろう」「こんな世界があったらな」というように、自分の人生や、私たちが生きるこの社会について、考えるきっかけを与えてくれる作品たち。だから、好きなんです。ほんとうに。



特に、衝撃を受けた作品があります。

それは、『しろいろの街の、その骨の体温の』というものです。

これは、わたしの長年のモヤモヤをぱっと明るくしてくれた作品です。出会いに感謝です、ほんと。

「人生楽しければ、それでいいっしょ」って感じの、楽観的でノー天気なわたし。ですが、わたしにだって、モヤモヤすることくらいあります。

それは、「人間関係リセット症候群」です。



Twitterやnoteで、いつもお世話になっている、michaさんも投稿されていた、あの症候群。

わたしも、この症候群にかかっていたんです。michaさんの投稿を見て、「わたしだけじゃなかったんや」とホッとしたのを覚えています。michaさん、ありがとうございます。

小学校から中学校、中学校から高校、高校から大学。こうした区切りごとに、人間関係がリセットされる。毎日一緒にいた友達でさえ、「仲のいい友だち」から「知り合い」へと簡単にランクダウンしてしまうんです。



こうした「人間関係リセット症候群」に対するモヤモヤが、綺麗さっぱり消えてなくなるきっかけである、村田沙耶香さんの『しろいろの街の、その骨の体温の』。

この本から学んだことを、ここに残しておこうと思います。自分のためにも、同じように悩むあなたのためにも。

***

1.あらすじ

クラスでは目立たない存在である小4の結佳。女の子同士の複雑な友達関係をやり過ごしながら、習字教室が一緒の伊吹雄太と仲良くなるが、次第に伊吹を「おもちゃ」にしたいという気持ちが強まり、ある日、結佳は伊吹にキスをする。恋愛とも支配ともつかない関係を続けながら彼らは中学生へと進級するが。

少女の「性」や「欲望」を描くことで評価の高い作家が描く、女の子が少女に変化する時間を切り取り丹念に描いた、静かな衝撃作。
Amazonから引用

あらすじにもあるように、女の子独特の「複雑な友達関係」が、めちゃくちゃリアルに描かれています。



読んでて、わたしも学生時代、「女の子のドロドロした世界」に嫌気がさしてたなぁ、と思い出しました..

・「お前からおはようって言えよ。私からは絶対に言わないから」みたいなオーラをまとう、上から目線の子。
・昨日まで味方だったのに、明日には敵になってる子。
・男の子と話してるだけで、「あんた、男好きやな」と嫌味を言ってくる子。
・いじめられている子に話しかけると、お前もいじめの対象になるぞ、というあの空気感。

あぁ、怖い怖い。

こんな風に、学生時代って、「いかに上のカーストでいられるか」みたいな、「スクールカースト」に囚われている人が多かったように思います。当然、私も含めて、ね。

***

2.「人間関係リセット症候群」の原因が明らかに

主人公の結佳ちゃんやその周りの女の子たちは、「空気」を読みまくりながら、学校生活を送っています。いやぁ、わたしの中学校のときのクラスがモデルになっているのかと思うくらい、ほぼわたしの「実体験」。

わたしも学生時代、その見えもしない「空気」とやらを読みまくりながら、自分の「本音」を殺して生きていました。「本音」なんて出せたもんじゃありませんよ、ほんと。



そんな私の、心の中はこうでした。

「ぼっち回避」のために、とりあえず一緒にいよう
・いわゆる「隠キャ」と関わりを持たないことが、我が身のため
・運動部に入っていれば、とりあえず「隠キャ」回避できるっしょ
・真面目ってバレるのは恥ずかしいし、「全然勉強してない」って言っとこう
・保健体育の筆記テスト(性教育の分野)はわざと間違えておこう(100点なんて取ったら、「エロッ!」ってちゃかされるしな...)
・全然可愛くないけど、敵に回すと怖いし、「かわいい」って媚びとこう(ごますりすり...)
・ほんとは合唱コンクールが大好きだけど、みんなダルそうにやってるし、「真顔・声は小さく・体は揺らさず」でなるべく浮かないようにしよう
・別にお手洗い行きたくないけど、ついて行こう(「トイレはみんなで行くもの」やからな...)

弱っちいなぁ、自分。

わたしも、主人公の結佳ちゃんも、「こんなことしたら、人にこう思われるから...」と、常に「他人軸」で生きていたんですよね。

今思えば、もっと「自分軸」で生きればいいのに、って。だけど、当時は学校生活が「全て」でしたから。学校で居場所がないなんて、生きる場所がないに等しい感覚でしたから。「本音」を隠し、みんなに合わせることでいっぱいいっぱいだったんです。



ここで本題に戻りましょう。「人間関係リセット症候群」です。

わたしは学生時代、常に「他人の顔色」を窺いながら、自分の「本音」を殺して生きてきた。つまり、「自分軸」ではなく、「他人軸」で生きてきた。

これが、「人間関係リセット症候群」の原因ではないか。そう確信したんです。

極端に言えば、わたしの学生時代のほとんどの友達関係は、「ぼっち」にならないためだけに仲良くしていた関係。

だから、「卒業」と同時に、友達でいることの意味がなくなる。

つまり、わたしにとって、「卒業」と「人間関係のリセット」はセットだったんです。



だって本来、「友達」っていうのは、

・趣味が合うから
・本音で話せるから
・一緒にいて楽しいから

など、「居心地の良い関係」であるはず。

けれど、わたしの学生時代の「友達」は、

・ぼっちを回避したいから
・いじめられたくないから
・陽キャでいたいから

という「仲良しごっこの関係」だったんです。



こうして、「人間関係リセット症候群」の原因が明らかになって、なんだがホッとしています。

「友達」が少ないことを恥じる必要はないんだな、と。今も、2人の友人と「友達」でいられてるってことは、自分の「本音」を大切にできている証拠なんだな、と。

***

3.『Habit』も言ってるんだから

2022年、レコード大賞に輝いた「SEKAI NO OWARI」の『Habit』という曲。

皆さん、ご存知ですか。

めちゃくちゃ流行ってましたよね。なんなら、まだ流行中。癖になるダンスや音楽。一度、マネして踊ってみたら、家族みんなで大笑いでした。チックショーーー!(※ただ今、お笑い芸人の「コウメ太夫」さんの音声が誤作動により、流れてしまいました。心より、お詫び申し上げます)



ところで、歌詞に注目したことがありますか。

君たちったら何でもかんでも
分類、区別、ジャンル分けしたがる

ヒトはなぜか分類したがる習性があるとかないとか



隠キャ陽キャ?
君らは分類しないとどうにも落ち着かない



俺たちだって動物
故に持ち得るOriginalな習性
自分で自分を分類するなよ
壊して見せろよ そのBad Habit

ほらね、『Habit』も訴えています。

自分を分類せず、自分は「自分自身」でいろ。「本音」で生きろ。って。

***

4.おわりに

こんな真面目に(ん?さっき、コウメ太夫出てきたけど...)、長ったらしく語るわたしに、長時間お付き合いいただき、ほんとにありがとうございます。

1冊の本から、人生の生き方を学べるなんて。読書って、これだから楽しい。まさに、やめられない止まらない〜♩です。

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