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辞世の句 別れ際の最後のセリフ

みなさん、ちゃんと遺書は書いてますか?

人間、いつ何時、何が起こるかわかりません。コロナで意識上に浮上している「死」ですが、死神さんは、コロナに関係なく、あちこちで出番待ちしています。

で、遺書、というとけっこう重ためのボールなので、わたしは辞世の句を定期的につくって、その時、しかるべき人に渡しています。わたしになにかあったら、これを公開してくれと。

辞世の句とは、文字通り「世の中を辞する時の句」。つまり、別れ際の言葉を意味します。和歌の形式を取ることが多く(俳句も人気!)、文字数が31音に制限されるため、メッセージに粘質性があまり生まれません。サバサバした感じです。

で、コロナ第一波、初夏の時に詠んだ、わたしの辞世の句は下記でした。

[辞世の句]
たびはての 道に青薙ぐ 風にのり
こころは遠く 空となりけり

記事冒頭写真にあるような、曽爾村の写真の上に白文字で、上記和歌をしたためて、兄Aに託しました(兄Aは下記記事参照)。

で、この和歌は最終形態なのですけど、完成する前に推敲された歌があります。最初に文字に起こした辞世の句は下記。

[辞世の句 ver.1]
たびもはて いきかう道に 見あぐれば
風に吹かれて いくぞめでたし

「見あぐれば(ぐっと首を突き出して上を見る)」という言葉がまず先に閃いて、次に、人生の執着を意味する「たびもはて(旅も果て)」を連想。それ以外の部分を補強しました。が、全体的に浮ついている。修正だ!

[辞世の句 ver.2]
たびもはて ここがしまいと 見あぐれば
流るる雲の 空に溶けつる

ここで、見上げた後の視点に着目しました。空には何が浮かんでいるのか。自分を雲と見立てて、雲が空に溶けていく=梵我一如、を表現したかった。で、空に溶けていく、というのはとても良いなと思い、最終版が完成しました。

[辞世の句 ver.3]
たびはての 道に青薙ぐ 風にのり
こころは遠く 空となりけり

なんかスッキリしてませんか?

こんな感じで、日々、和歌を詠んでいます。まずは核になる単語を主軸に、なぜその言葉が天から降ってきたかを、丁寧に右脳で因数分解すると、和歌の全体像が見えてきます。

さあ、みんなも辞世の句を作りましょう!


ごちそうさまです。


(写真は写真ACより、acworksさん)

まさかお金が振り込まれることはあるまい、と高を括っているので、サポートされたら、とりあえず「ふぁ!」って叫びます。