NEW HORIZON 川柳52句
鶴嘴を芋屋模型につかう神
お茶の水博士と壊す蟻の塔
無自覚にパークホテルを煮炊きする
ゴムの樹を四たび育てる治療院
東京の容器に保冷剤が在り
肝炎の研究つづく犬神家
地下道を万句合に向け走る
地政学者とまるめ合うきび団子
巨視眼がふさがっている塔の地図
電話網中島梓ただよえり
薬局の旗信号の挨拶句
湖池屋の修道院に水中花
ギャル曽根を忘れたままのえかきうた
あざらしの町の論理が破綻せず
狂人の遺書にかならずハクビシン
山狩りに折られたままのリコーダー
墓捨ててデコトラばかり陽があたる
群集が一平ちゃんを演技して
血ぬられてアシモフ賞を辞退の日
保護色の木村佳乃の釘を抜く
猿山にどくろマークが余った日
内宇宙志穂美悦子を念慮する
そばがきが無い邸宅を念写して
富士山に傍点が降るだけの歌
うつくしい肺呼吸するシーボルト
盲牌に広すぎている野球場
タンドリーチキンの店の螺子みつめ
地図通り止まって相撲文具店
地母神をみんなわかっているヤマハ
ボクサーの桂小枝が渡る川
ヤクルトの社史に載らないへびつかい
東京のたまり醤油に見える牛
十字路に舎人の居ない呪いされ
くるまれて三角形と呼べるもの
いか焼を超探偵が偽装する
はりつけの父子のコインランドリー
棍棒が明治大学だと痛い
いろいろな異父兄弟へレントゲン
無酸素でみたした茶室ごと壊す
夕焼けに向かってくじらみどり色
サボテンを退職前の刑事買う
光速であらゆる団子坂にゆく
序文なし全毛細血管伝
扉をあけておまえの敵が滝だった
韻文に適応性があった騎馬
焼野原モスバーガーに居る社員
寝台に三葉虫の影を焼き
つくば市が半村良の義歯である
充ち殖えてソ連にやって来る兜太
ナボコフの必殺技につつが無い
夕焼けにかさねターザン後藤の血
血のいろに時間が成っていた樹と木
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