東京百一景(ブライト・ライツ、ビッグ・シティ) 川柳101句
(2023年5月20日−22日、東京に滞在。最終日、22日の早朝より句作開始。復路のバスまでで119句書く。以下はそのうちより、101句。写真川柳は昨日発表したゆえ、省く)
1.ドローンを撫でる
壇蜜に折句あらざるだお戦記
神として茶漬を容れる茶漬箱
双方がイカ天だった靴を買う
現世をちなみに言っているやずや
うどん屋と幾たび記すカフカ伝
虫の死ぬ場所にカツオがやって来た
花屋から東尋坊につづく道
アフリカの映画で解る渡月橋
針落ちるうつ病漫画描くあいだ
芋を断ち永井荷風の全世界
ストロング小林と行く虚数村
カラオケに陸海空の空がある
旅に出てたっぷりと在るボールペン
私信だがうろたえている錦糸町
夏時間から導いた短歌会
異次元で鼻毛を抜いている週は
廃刊誌ひたすら茄子で埋めつくす
釣り人の時計まわしている時間
ダムの無い街で高等弁護する
薬屋が安徳帝を持つ此の世
合議所のストッキングを視て死ぬる
落ちて来た地球どちらも海老ばかり
アシモフが伝染しない大時計
バケツから酒井かがりの井を拾う
河馬を干すドン・キホーテが脳のなか
廃人に寺田ヒロオの手を見せる
浮き環から逃れたひとを記憶する
佯狂を塩水により耐えていた
人類に現在形の多い村
永遠の納豆セルフカバーして
男尊の鞄を青梅市で造る
薬物とトートロジーの仏陀L
休日に電人Mのコマ落とし
沢蟹の止揚はじまる電車内
2.クローンへのウナ電
透脱にユーカリのほかなにもない
フラミンゴあつめ小さな咳をする
波止場から藤子不二雄のハーモニカ
宗主国自体にイクラ投げつけて
ジャイアント馬場とつくった蚕卵紙
複眼にドクター・フーの裾が無い
証明の終わる北欧純喫茶
東京の生駒大祐暗誦し
無意識を東村山市にきわめ
絶対者エヌ氏のまわす地球ゴマ
エルボーで表現される牛の舌
眼科医の日々の富士急ハイランド
猿飛の家を貸借対照す
フーコーが記さなかったまくわうり
西瓜糖部隊がいない絵画館
チャネリングあんころもちを盗み出せ
買収に西郷札をつかい慣れ
緯度変えてむかしばなしが成り立った
酸こぼす成田空港夏景色
劣情の犀そのものに募金して
沼夫人からはじまった教会派
かたちなすパンダコパンダ型の鯉
童貞がふたつの茄子を考えた
青海苔をプロモーターを刻みあう
驚愕の野にかがやいた茶巾寿司
パックマン二名と過ごす山岳部
ユッケ無き三角形が在る世界
康一のすけとうだらの狂いかた
探偵がさみしい夜の句会追う
うさぎ追うとき破れざるパラフィン紙
縞を塗るコバルト文庫浄化され
骨盤を失くしもやしを買い占める
トマソンを信じていない楯の会
靴ずれの時間旅行者との噺
噺家がまだ四次元を想う窓
逆光に東海林さだおのねじまわし
味噌屋へと溶連菌を割って足す
フロリダの服へさとりがひらけるか
テネシーの温泉街に貸す便所
3.ハヌマーンと踊る
ちりぬるをトミーズ雅をあらわして
呪師と行くピン・ポン・パンの大遺跡
現実の多摩川として読む祝詞
おっぱいとサブカルで言う霧の中
さりげなくスタン・ハンセン色の貨車
支那竹のアド・バルーンに死を想え
琴座からこそあどを取れ短い夜
月面に三島由紀夫の脚絆縫う
パーマ屋の安山岩が砕ける日
ドナルドとドレミの歌の先を行く
孤独なる群衆と彫るボブ・ディラン
モイスチャーミルク以上に黙示され
首塚と叫んだだけのパチスロ屋
東京をあらわしもせず茶器並ぶ
戦争を演じた神の名のドリフ
東京の子午線役を演じわけ
焼肉屋ところどころに無が在った
無敵なりスペイン風邪のフィギュア貸す
クルーゾー警部と建てる貸本屋
トランプをちぎっていると海が在る
神死んで今日も不在の材木屋
ぼくたちの格ゲーで見た地平線
膝と肉セロハンテープ買い忘れ
セコハンを呉一郎にパクられた
ゲーマーの部屋に忍びが居るごとく
すっぽんをすっぽんと呼ぶスターリン
大都会誰もが拾う磁鉄鉱
ケロイドが三つも多い新宿区
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