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日出処の天子(ハイ・イメージ論)  川柳84句


一、論理がパーコーメン


外傷の三浦半島失えば

タンメンに影ひとつない巨大蟹

ごぼ天が三島由紀夫の側にある

碁会所に世界と書いている執事

霧噴きと関連づける松本市

セメントの単位を探す大正期

氷河期のパーコーメンのあかるさよ

現実の黄帝液へなわばしご

稲垣が原型質を投げてくる

犬小舎のマス・オーヤマへ麻酔薬

風が吹く入場曲もト短調

胡椒しか無い異次元を覗く家

卓球の球威に対し比喩の蕎麦

穴掘れば骨のみつかるメニエル氏

ひよこ屋の裏が信長ステーション

王冠を隠して舞台恐怖症

空に青フィリピンパブの点字打つ

羊毛のバレ句がいかに成り立つか

栄冠に盛り込んでいたところてん

流れ星あき竹城の帰り道

超人のジャングルジムににわか雨

樽を買う法医学者をせんじつめ

タバスコが形容詞へと堕ちる昼

串を刺す映画監督たちの村

発狂のため濁らせる揚子江

衛星が落ちてくる日のブルドッグ

池田湖のさとりをひらく一輪車

ヨーヨーが無い家を出て家を建て

民間のおたまじゃくしを黙読す

朗読家たちの抜き打ちテスト中

美しい星で治したやじろべえ

レディオ・ガ・ガ明日も人形劇の日々

盗まれた父の手紙にごんぎつね

ハワイアンショーの発句を縫いつける

焦点に新潟県のささみ肉

誰とでも消失点で切る切り絵

メンタルがダイオウイカのまま帰る

すばらしい新世界での赤いムヒ


二、痕跡のアディダス——写真川柳7題


鑑真が居ないこの世の釘を抜け



戦争があった跡ブラタモリ跡


𠮷牛の人間狩りがつづいても


科学者をさらに産卵する昼間


微笑みの影の内閣動き出す


アディダスに関し幻想文学史


異母兄に言葉と物があり過ぎる


三、正確なイセキトラクタ


作曲家あつめビーズを拾わせる

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