ガクチカのすゝめ

選考は面接に偏重している。
さらに新卒採用においてはガクチカがその半分を占めている。
しかしながらこのエピソードトークが弱い学生が多いように感じる。

まず、エピソードトークは面接におけるボーナスゲームである。何故なら企業側が全く情報を持ち合わせていないからである。したがって、こちらが話しやすいエピソードを話せば良い。ただ、エピソードを作る方法というのはあまり話題にならない。

学生時代に目立った体験をしていれば、それをそのまま持ち込むだけで、勝負できるかもしれない。しかし、学生の多くはそういった体験はしていない。そういった体験をせずにエピソードを作るには、創作力が必要である。創作といっても、嘘を話せというのではなく、小さな出来事から如何に魅力的なエピソードに創るかということである。

新入社員が成果発表することがある。業務内容を詳細に説明し、業績結果を報告する新入社員がいるが、非常に眠たくなってしまう。面接で例えると、研究内容を詳細に説明し、学会で表彰されたと報告するようなものである。上司はそういった発表を求めていない。面接官も同じである。では何をみているかというと、企業には重視しているコンピテンシーというものがあり、面接官はそのコンピテンシーに基づいて採点している。さて、どういったエピソードを作れば良いかみえてきただろうか。

エピソードは企業が求めているコンピテンシーに基づいて作る必要がある。企業がチームワーク力を重視しているなら、チームでの活動体験を含むエピソードを作る。対人理解力を重視しているなら、異なる立場の人と理解し合えたような体験を含むエピソードを作る。

ここで、企業が求めているコンピテンシーをどうやって知るかと疑問に思っているだろう。実は、企業が若手社員向けに行う研修は自社が求めているコンピテンシーを伸ばすことを目的としていることが多い。人事評価項目として公開しているところもあるかもしれない。要はその企業の若手社員に聞けば、簡単に仕入れることができる。実は知られていないが、企業研究やOB訪問の必要性はこの点にある。それが難しい場合は、研修を委託している企業のサイトを調べるのがよい。大手企業であれば、研修を委託していることが多く、委託していない場合も参考にしている企業は多い。

よく「エピソードはチームでの活動経験を書きましょう」などと言われているのは、多くの企業が求めているコンピテンシーはある程度共通しているからである。そういった背景を知ってエピソードを作るのと知らずに作るのでは、随分違う。

これを意識するだけで、企業が求めているコンピテンシーに基づいた評価をしている面接官の立場に立った、うまいエピソードが作れているはずだが、最後にもう少しだけ意識したいことがある。それは面接官を共感させることである。

コンピテンシーに近い話ではあるが、これにさらに感情を乗せる。toBの社員は専門外の顧客と会話するのに苦労している。toCの企業は多くの顧客からの意見をを取捨選択しなければならない。面接で苦労したことを話すときは、日々の業務で苦労している面接官が共感できるように話すことが大切である。

まとめると、エピソードは企業が求めているコンピテンシーをアピールできるように作る。エピソードでの苦労は、面接官が日々の業務で感じているそれとリンクさせる。







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