マガジンのカバー画像

徒然なるビート

98
自分の人生を振り返って大切なものを考えたり考えなかったりするブログです。
運営しているクリエイター

2023年2月の記事一覧

不健康は冬に置いてきた

[1]失って気づくもの
 失って気づくもの。ここ最近立て続けに著名なドラマーが亡くなり、全然著名でも何でもない16ビートはやおも、何故か居ても立ってもいられずそわそわしていた。
 体調は悪くないものの咳が止まらなくなり声が出なくなっていたので流石に体力も削られてしまい、なんだか人間って強くないなぁ、特にドラマー、なんて思いながら咳をしても一人、毎夜寝床でもがいていた。睡眠時間は突発的な咳で短くぶつ

もっとみる

春の亡霊

[1]修了できない
 修了できない。大学院の修士論文が完成せず、提出できない夢を毎年この時期に見る。夢の中で夏から半年放置した論文を睨みつけて絶望している自分がいる。
 目が覚めると社会人で良かった(良くない)と思うが、実際のところ大学院の頃の僕はどうだったかを振り返ってみると、修士論文を書いている記憶がほとんどない。
 というのも大学院2年生の夏、僕はもう「負けた」と思っていた。「負けた」のは自

もっとみる

忘れられるということ

[1]後世に残るには
 ゆっくり、忘れ去られていく。10代からずっと全然死ぬ気もないのに「死ぬこと」に囚われている僕は、「人の記憶に強く残る」ことで、自分が死んだ後にも形を変えて人の脳内で生きようとしていた。
 それが小説であろうと、研究であろうと、音楽であろうと、なにか自分が死んだ後に人の記憶に残るものを作っておきたいと、手を替え品を替え夢を替えて、結局何も残らぬサラリーマンとなり稼ぎを得て生活

もっとみる

楔か、呪いか

[1]楔か、呪いか
 それは楔か、支えか、幸せか、呪いか。「もう自分の為に生きていたらこんなつまらない仕事なんてとっくに辞めてるよ。身内の為と思っていないと生きていけない」と、久々に会った友人は言っていた。
 それは時に家族であり、子どもであり、配偶者、総じて「大切な人」であるだろう。しばらく会わない間に彼は「自分の人生」が「大切な人のための人生」になっていた。自分の人生の中心に、自分がいない人生

もっとみる