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呵責液
2019年7月5日 19:52
黄金の川がある。その川の水の色は、麦よりも黄金色をしていて、薔薇の匂いがする。蜂蜜のように甘く、飲むと心の憂いが微塵も無くなり、水に入ると、体の傷がたちまち癒える。その川には、自然な流れがあり、漕がなくても下流へと運ばれる。岸辺には、金でできた葉に、螺鈿と真珠の輝きを持つ蓮の葉が生えている。そこへ、船ではなく、浮いた絨毯に乗った、白い服の青年が流されてきた。絨毯は、虹から賜ったように色
ミルク色の霧の中で、溺れかけている魚がいる。鰭を羽のように動かして、雨が降っている中を自由に動けるこの魚は、群れからはぐれて、ぼんやり辺りを漂っていた。谷に溜まった、霧に溶けた魔の花の毒が、鰓から体の中に入り、全身痺れ、動けなくなっていた。ミルク色の霧からは、毒の、砂糖のような甘い匂いがした。魚の体は、次第に灰色の石のようにひび割れて、砂のように崩れさり、鱗は、割れた硝子片のように飛び散っ
2019年7月5日 13:06
妖精が、羽を落とすのは、どんな瞬間(とき)だか分かりますかい?旦那、心が透明な玉髄のように透き通った純粋な子供が、自分ではどうしようもないこの世の不幸で、真珠玉のような目から、泪を流した時、心優しい妖精が自分の命と引き換えに羽を落とすんですよ。それでね、一つだけ奇跡を起こす力を授かるんです。この瓶の中の羽はね、ある男の子にお前さんのおっかさんが病気だよ、と嘘を言って流した泪を集めて、かぶと虫