教科横断型学習とは?
他教科との連携
近年、教科横断型学習と言う言葉が良く使われています。その名の通り「理科×英語」「社会×美術」「音楽×国語」など教科で学んだ事をつなぎ合わせながら学習を行う学習の事を指します。
「そうした授業って大切だよね・・・」と思いつつも教員からすると「でも他教科の実情とか良く分からないから連携するのは難しい」「連携授業と言っても単元は何を扱うの?」「自分の教科の予習で手一杯なのに他教科と連動して授業を行うなんて・・・正直無理!!」と思う人も多いのではないでしょうか?確かに単元を合わせて他教科の先生と協働してTeam teachingを行うと考えるとかなりハードルが高いと思いますが、私は見方や考え方を少し変えてるだけで、もう少し気軽に教科横断型学習に取り組むことができるのではないかと考えています。
そもそも教科横断型学習を行う意義は何?
教科横断型学習はなぜ必要なのか?文科省の資料には次のように書かれています。
この文から考えるに「変化の激しい時代において教科横断の視点を持つことで社会における必要な資質能力を育成することが大切」と言ったところでしょうか?高校生までの学びは国語や数学などの「教科」があり、そこで問われた課題に対して回答し正解を導き出すことの大切さを学びます。しかし、社会人になって実際に課題に直面した時には何かの教科ができていれば解決できる問いはほとんど存在しません。要素が複雑に重なっており、その場面における状況を整理し情報を集め、最適解を提案することが重要になります。
我々教員の例で考えてみましょう。面談の際に進路に迷っている生徒に対してどのような指導を行うでしょうか?
①まず、生徒が何と迷っているのかを確認。(大学?就職?)
②将来の夢は?
③大学進学の道を進めるのであればその子の学習成績や模試の成績を分析し、生徒の状況に適した大学を提案する。
④保護者の理解は得られそうか?
などが考えられるのではないでしょうか?さて、この指導の中で必要となる教科は何でしょう。生徒の心情を理解しコミュニケーションを取る力を身に付けるのは国語や英語でしょうか?情報を集め分析する力は数学や情報でしょうか・・・?一概に「この教科の学習が必要である」と言い切ることは難しいですが、さまざまな教科で学んだ内容(もしくは学校行事や部活動などで学んだ内容)がこの課題解決には含まれているということは言えそうです。そうした視点から考えると社会における実践はさまざまな教科で身に付けた内容を総合的に活用した教科横断型の実践と言えます。
高校生の中には就職をする生徒も多くおり、学習段階としては社会に出ていく一歩手前の状態にいると言えるでしょう。そうしたことを考えると社会を生き抜いていく力を身に着ける為にも教科横断型の学習を行うことはとても重要です。
気負わずできる教科横断型学習
とは言え教科横断型学習を実践のために新しいことをするとなるとかなり難しいですよね。できれば、私たちが日ごろ実践している授業をすこしマイナーチェンジするだけで教科横断型学習を進めたいところです。ではどこを変えるのか・・・と言うより、よくよく考えてみると我々が行っている授業に教科横断型学習が行えそうな場面があるのではないでしょうか?
私は美術の教員なので美術で考えていきます。美術の単元に「色彩学」と言うものがあります。おそらく皆さん中学校でやりましたよね?明度とか彩度とか色の三原色、光の三原色、色相環、色立体、、、あれです!!この単元では色彩の分類や効果について学ぶのですが、この授業を行うに当たって私は必ず話す内容があります。それは「なぜ、色が見えるのか?」と言った内容です。人間が色を認識するには光が必要です。光は電磁波の一種であり、人間は光が物体に当たって反射した光を目で感知し、脳で色彩を判断します。人間の目が光として認識できる電磁波の波長は約350~830nmと言われておりこの波長の光の事を可視光線と言います。
・・・これって美術の内容でもありますが、理科の物理ですよね?目で光を感知する仕組みを説明すると生物かもしれません。こうして考えると私たちの日々の授業の中にも教科横断型学習のヒントになる物はあるのではないでしょうか?例えばこうした授業の場面で先生が生徒に対して「色彩をもっと理解するためには物理を学ぶことが大切だ」と説明し板書してあげると生徒は美術と物理とのつながりを感じることができるはずです。
美術以外の教科でも国語で読んだ文章の内容が歴史的な内容であれば地歴とつなげることができると思いますし、数学と理科もつながる点が多いのではと感じています。(理数教育なんて言葉もありますし)もちろん相性の良い教科もあれば悪い教科もあるでしょう。また、他教科の領域について無責任に説明できないとお考えの先生もいらっしゃるかもしれません。確かに私は物理の教員ではないので詳細について質問を受けると答えることはできませんが、生徒から質問が出た場合は「先生は物理の先生じゃないから詳しくは分からないけど物理の〇〇先生に聞いてみてまた教えるね。(または先生と〇〇先生に聞きに行こう」など理科の教員とつないであげるようにしています。また、こうした授業の前に物理の先生に質問して助言を頂く場合もあります。
各教科においてこうした指導を行うことができると、さまざまな課題に直面した生徒が教科横断的な思考を持ち、課題解決を行っていけるようになるのではないでしょうか?
まとめ
今日の教育において教科横断型学習は大変重要ですが、言葉だけを聞くと大変難しそうです。しかし、少し視点を変えて私たちの授業を見直し、ちょっとした工夫するだけでも教科横断型学習を進めることはできると思います。大きな変革は難しいけどまずは、小さな一歩を踏み出してできる事からからチャレンジしていく事が大切ですよね。
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