詩)午前三時リビングにて

パーソナルコンピューターは吹雪いている


 「どうしてあなたはここに来たの」
 ころころと文脈散在の言葉をおこす。
 資料コピーの山に黒い墨をみつめた
 乱雑な線引きが闊歩する。
 冷蔵庫のうめき声が聞こえるほど
 嫉妬深くなっているようだ
 「苦しいよ。レポート用紙が友なんて」
 デコポン剥きながら叫んでいた
 声を出さずに・・・
 言葉が言葉を失っていった
 のはいつのこと
 十六のあの子はいまもくすぶる
 がたが来る
 もどらないあの子に聞いてよ


 「どうしてあなたはここに来たの」

 ぱあそなるこんぴゅうたあは吹雪いている
 どうしてやつらの我儘がゆるされて
 わしは愛されない
 あの子の悩みはいつも音にならない
 体を限りに精一杯叫んでいた。
 けれどもお決まりの円環構造
 命ざれてもいない反省文
 五千枚だって書けるもんね!
 「ねえ」
 答えてよ。


 「どうしてあなたはここに来たの」

 日本語の研究の研究だなんて専攻外
 旧友から返らぬEメール
 帰せない物語の終焉。
 あの夏の塊、飲んでよ
 苦しいよ。
 今もまた救われない何かを
 文脈破綻にもとめていることだよ!

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