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「今」のわたしへの「贈り物」


 5月連休明けから、突発的に起きる事柄が続いていて、毎日バタバタしている。今週、ようやく、バタバタが収まる兆しが見えてきた。ホッとしたら、どっと疲れを感じた。がんばらなくていいから、具体的に、やれることを少しずつしていこう。とはいえ、身体が思うように動かない。休んだ方がいいね、「今」は。

 自分の本棚を眺めていて、ふと、思いついて、一冊の本を手に取った。

 『Your present red 』青山美恵子作 U-ku(ゆーく)絵 PHP出版

 目を閉じて、「ここだ!」と思ったページを開く。

 42ページと43ページ。

熱くて冷たくて怖くて嬉しくて痛くて幸せで悲しく 
て楽しくて辛くて苦しくて安らかで、ああ、なんて気持 
ちがいい。何も持っていないように見えるだろうけ
れど、必要なものはすべて備わっている。むしろ、
これからひとつずつ捨てていくのだ。そして足
りないものを誰かと分かち合っていくのだ。
一見わかりにくく、絡み合うように仕組
まれた複雑で愉快な出会いが、この先
の道中、あちらこちらで待ってい
る。楽とはいえない長旅になる
だろうけど、あせらず探し
ていこう。まずは、大き
な声で懸命に泣くと
ころから始めなく
ては。最初の
誰かを呼ぶ
ために。

Your present red p42-43

 この言葉たちが、左から右へ、そして、上から下へ、右から左へ、下から上へ、こうやって、四角く、また中心へ向かって、書かれている。ぐるぐると。正直、読みにくい。けれど、形が美しく、また、斬新でもある。そうだよね。いつも決まった形に、言葉を並べなくたっていいものね。

 声に出して、読む。

 何回か、この本を読んでいるのに、読むたびに、いつも新鮮な気持ちになる。「今」のわたしの中で、このときに受け取った言葉たちが響いていく。「過去」のわたしとは、その響きが違うんだろうな。

 このたびは、するすると途中まで読んで、最後で、「えっ」となった。「泣いて呼ぶ」って、そんなことしてもいいの?

 けれど、そういえば、泣いていないけど、わたし、「どうしても」のときには、夫や友達たちに、「助けて」って言っているなと、気がついた。そうか。息子のことを相談できるようになって、それが自分のことでも、できるようになってきたんだ。いつのまにか。

 そうして、また、本を眺めていたら、この言葉たちのタイトルが目に入った。

「産」

 ああ、「産」まれたんだね。だから、「泣いて呼ぶ」んだ。だから、ぐるぐるなんだ。そうか。想像したのと、違ってた。

 でも、生まれてからだって、それこそ、そうしたければ、きっと何度だって、「産」まれることはできるんじゃないかな。すごいことだ。面白いことだ。

 それから、この絵。宇宙のような、花のような、血潮のような。あたたかで、脈打っている感じ。生きているもの。まさに、「産」だ。

 調べてみたら、青山さんはU-kuさんの絵からインスピレーションを得て、この言葉たちを「産」み出されたらしい。おふたりのコラボレーションで、この本が出来上がってるんだ。読むたびに、そのときどきに、心に響く言葉と絵を、プレゼントされるみたい。題名通りに。

 絵から言葉が「産」まれ、それを本にするって、面白い試みだなぁ。きっと青山さんの言葉たちは、U-kuさんがイメージしたものと、ちょっとは違っているよね。そうして、読んだ受け手の人たちの中で「産」れるイメージも、また違うものになるのだろう。こうやって、広がっていくものがあるんだなと想像して、うっとりした。

 わたしは、昨年あたりから、人生の「第二章」を生きてるように感じている。「産」だ。まさに、「産」まれ変わったみたい。そこにまたつながって、うれしい気持ちが、胸いっぱいに広がっていく。ありがたいな。そっと、本をなでる。

 そうか。修行みたいな毎日だけど、このバタバタを乗り越えたなら、きっと何がが「産」まれてくる。そう思ったら、ちょっとだけ、気持ちが軽くなった。楽しみにもなってきた。さて、何が「産」れてくるだろう、わたしの中から。

 もう一度、本を手にして、気がついた。本のそでに、Presentの意味が書いてある。

 Present
 《意味》
 1.現在、今
 2.贈り物

 なんとなく、作り手の方々の意図と、わたしの受け取り方が重なったように感じた。

 うん。こうやって、本をパッと開いて、その言葉たちを味わうのがいいんだ。それは、「今」のわたしのための言葉たちで、「今」のわたしへの「贈り物」なのだから。


青山美智子さんの本は、以下のKaoriさんのnoteの記事で、初めて出会いました。Kaoriさんの想いのこもった言葉たちから、「この本を読んでみたい!」と強く思いました。読んでみたら、とても励まされました!以来、青山さんの本のファンです。

Kaoriさん、きっかけをありがとうございます♪



わたしも、この本の感想文を書きました。よろしかったら。



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