542○ 昊の物語
「昊の物語」
命には必ず終わりがあり
終わる時に流される涙と弔いは
無垢に戻った帰り道に届く
僕らは文明の渦中にあって
左へ行き右へ行き進んでは退いて
大規模な自由にも関わらず
ほんのわずかな二畳一間の生活で満たされている
青い空
蒼くなる空
焼けていく空
終わりの見えない昊
どれにしろ心奪われて
時間を捨てる瞬間が度々あるわけだ
何故かって
感じるだろう懐かしさを
感じているだろう安堵を
清々しさに涙が零れたりもしたりする
片目をつぶって手を伸ばせば届きそうな
遠い遠いあの場所は
世界の行方を見守る今までのあの人たちの
声なき声がうねる色彩
世界はここだけではなく躍動しているのだ
ありとあらゆるものが私自身だと思っても
誰も否定はしないよ
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NAKAJI
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