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ラガー箚記(24)ラグビーW杯フランス大会 勝手にレビュー その12(準決勝、決勝)

ようやく1ヶ月遅れですが、最後まで来ました。準決勝以降の主役は南アフリカになりました。各種話題を提供してくれましたが、なんといっても、イングランド戦で見せた、ポラードの逆転キックは、今大会のハイライト、といっていいのではないでしょうか。そこまでの、彼と南アフリカのストーリーも含めて。

南アとNZ。この2チームがラグビーを引っ張っているのだと思うのとともに、北半球では、ここに残ったイングランドよりも、ベスト8で散った、アイルランドとフランスが、新しいラグビーのリーダーのように見えます。

いずれにしても、日本大会以上に、各試合の密度の濃いワールドカップだったと思っています。


準決勝:NZ 44ー6 アルゼンチン

アルゼンチンは、1つ1つのアタックでは、ちゃんと前進するけれど、それはNZが前に出ずに網かけているからで、攻めさせられている、という感じ。そして、ターンオーバーからは確実にスコアまで持っていかれる。。NZはクレバーな前半の戦い。

NZは前半の反則が3?これだけボール持たれて攻められているのだけど、規律もしっかり守られていて、余裕すら感じさせる。ただ、ハイボールコンテストは、アルゼンチンの方に有利に働いているように見えました。

勝負の分かれ目は、前半最後のプレーでのトライと、後半最初、スクラムからのアーロン・スミスのトライ。この前後半の切り替えどころで14点引き離したところが、NZのソツのなさを感じさせます。

終わってみれば、NZが完勝。ディフェンスが固い。アルゼンチンは前半で攻め疲れてしまった印象。また、スクラムでNZが完勝するとは。。ここに来て、チームが完成の域に近づいているNZ。実はフォスターさんのピークマネジメントは最高だったのか!!??


準決勝:南アフリカ  16ー15 イングランド

出だしは完全にイングランドペース。ハイボールは競り勝ち、ラインアウトはプレッシャーをかけ、南アフリカのアタックは、完全にゲインライン前で止め、モールもしっかり止め、PGで点を重ねる。雨もあって南アフリカはやりたいことはできていない感じ。

ハーフがキックして、ごちゃごちゃと揉み合って、ペナルティをした方が得点を取られるだけの試合。ラグビーというより、単なる肉弾戦の前半で、これがラグビーと言われると、コアなファンしか楽しめない内容といえば、そういう内容。

そんな、雨で思うような展開ができない南アフリカを救ったのは、スクラム。そして、ポラード。普通は負け試合だと思うところを、後半は、何回スクラムでペナルティ取っただろう。劇的な試合。みているだけで疲れた。。

イングランドは、天からの恵みの雨。キックとチェイス、そしてハンドリング厳しい状況とはいえ、ディフェンスは完璧で、南アフリカに何もさせなかった。ただ、スクラムで後半完敗したいのは想定していなかったでしょうね。。

そして、勝負を決めた、後半37分のポラード。代表メンバーから外れながら、マークスの怪我で巡ってきたチャンス。それを、準々決勝から、要所でしっかりキックを蹴り込み、最後は、劇的な逆転PG。50m近くを、顔色ひとつかえず、全くいつもと同じルーティーンで蹴り込んできた。これが、世界のスコアラーなのだという姿を、まざまざと見せつけてくれた。


3位決定戦: イングランド 26ー23 アルゼンチン

試合としては痺れる展開でしたが、お互いキックとチェイスに終始した試合で、決勝に行く2チームとは違うんだなと感じました。僕は、サンチェスの、キック後のプレーの勇敢さに感銘を受けました。同点ゴールを外した後に、真っ先に後ろに戻り、キックケアをしに行っている。顔色ひとつ変えないで。なんというか、男前。心の中は、烈火のように自責に燃えているだろうに。

イングランドは、大会通じてとにかくディフェンスが素晴らしかった。ディフェンスの硬さは、アイルランド、南アフリカ、イングランドが素晴らしかった。ただ、アタックは、タレントはいるのにキッキングゲームのみ。これではトップは取れない、と思ってほしい。

あと、マテオ!78分の独走シーン、当たらずに、後ろに転がせばトライになったのではないだろうか・・・



決勝:南アフリカ 12ー11 NZ

ラグビーの内容はNZの勝ち。ただ、レッドカードと、ポラードの有無で南アフリカが勝利を拾った。この2チームのラグビーは面白い。点数は入らなくても、見ていて面白い。ファンタスティック。

別に今日の南アフリカの出来は良くないと思うけど、だからと言って下手にキックゲームに走らず、とにかく、隙さえあれば、トライを取ろうという姿勢が貫かれていて、昔と違い、見ていて楽しい。こういう姿勢は、多くのプレーヤーが日本に来た影響はあるのでは?とか思ってしまう。

別に今日の南アフリカの出来は良くないと思うけど、だからと言って下手にキックゲームに走らず、とにかく、隙さえあれば、トライを取ろうという姿勢が貫かれていて、昔と違い、見ていて楽しい。こういう姿勢は、多くのプレーヤーが日本に来た影響はあるのでは?とか思ってしまう。

南アフリカは、アタックも多彩、FWはもちろん強い、ポラードはキックを決める。だけど、今年のチームの最大のストロングポイントは、全員が献身的なタックルを仕切る、その持続性だと思う。素晴らしい。

この2チームの試合を見ていると、プレースピードがとにかく速い。よく、日本が速い展開、と言われるけれど、この2チームの方が断然速い。アイルランドやフランスも、いい攻撃の時は速い。日本は、そこに世界トップレベルでは優位性がないことを自覚しないと。

ラグビーは変わっている。北半球の競合は素晴らしい力があるが、時代の最先端ではなかった。フランスとアイルランドは、NZと南アに伍する力がったのは間違いないけれど、つまりは、常に戦っている相手が、イングランド以下の旧タイプのチームだったということで、南半球から起こってきている、新しいラグビーの潮流は、シックスネーションズではない、ということ。日本は、今の路線でいいと思う。無理にヨーロッパを試行しなくて良いと思う。その代わり、NZ、南ア、オーストラリア、アイランダーのトップ選手をガンガン日本に引っ張ってきて、リーグワンが、非ヨーロッパの先端リーグになるぐらいの取り組みをしてほしい。

当然に、それが、日本の代表の底上げにつながる。

https://youtu.be/cLDQ9xWuMCA


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