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(読書の秋) 十二世紀ルネサンス

今回は「読書の秋」ということで読書感想文になります。
読んだ本は「十二世紀ルネサンス」です。
1984年の講演七回シリーズの活字化だそうですが、歴史の専門家ではない私には全くもって新鮮で大変面白い内容でした。内容を要約すると、ルネサンスはイタリアでおこったんじゃない!アラブ・イスラムで始まったんだ!それがシチリアやら南スペインという他民族国家で継承され、ルネサンスに発展したんです!という感じです。

個人的なことですが、一番好きな事は「知らない事を理解すること」です。だから歴史の勉強はこの10年ほど趣味でやっております。時間を作るために小説を読むのを30歳以降ほとんど止めました(あんなに好きだったのに!ちなみに実家に1万冊ほど本持ってます。今はkindleに1000冊ほど(漫画はもっと・・))。とはいえ、せっかく欧州に住んでるので、なるべく旅行もするようにしてます。日本にいた頃は、この地名どこやねん!ってなって地図を見たり調べたりしてましたが、今では、あ~あそこね、フムフムって感じになれるので、理解力は抜群に向上していると勝手に思っております。

<対象となる読者層は?>

ルネサンスといえばフィレンツェ!
ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロでしょ!
って言っちゃう人がターゲット(読者)になります。
それなのに、えっ12世紀?なの?っていう人はもう完全にカモネギです。

また中学校の教科書には、こう書かれているそうです。

十字軍によりイスラム文化がヨーロッパに紹介され、古代の文明が再びヨーロッパに伝えられました。これをルネサンス(文芸復興)と呼びます。

このように、中世は暗黒時代輝かしいイタリアルネサンスこそが中世から近代への架け橋だ!と習ってしまった皆さんも対象です。

学校の先生も大変ですよね(同情します)。そもそも大学に4年間いたくらいのペ~ペ~の若者に世界史の授業とかムリですよ。とくに中学校の先生なんて忙しすぎて、本業の授業の準備をする時間なんてないでしょうからね。20歳から成長しないまま年をとるのが学校の先生の別名です。なんで5時に仕事が終わったほうがいいのか?って、そうしたら残りの時間を全力で未来に投資できるからですよ。
閑話休題。
フィレンツェに旅行したけど、あのすごい建築物や絵画やらは一体どいう経緯で出来たんだろう?と興味を持たれたかたも対象外です(少し視点がずれる)。南スペインに旅行して、なんかイスラム建築が一杯あって不思議・・という人には、その理由を知る機会になり得るのではないかと思います。
ただ、イスラム教って何?仏教ですか?みたいな人はちょっとツライです。
あと、ビザンツ帝国ってどこですか?っていう人もちょっとツライ。
いや~難しいですよね、こういう積み重ねのゲームは。読者になる人は狭き試練を通り抜けないといけないです。
読書は出会いなんで、そんなもんです。時期が来れば本に呼ばれます。ということで呼ばれた(と勝手に受け止めた)私が今から解説していきます。

<本の概要>

「皆さんは学校でルネサンスはイタリアで起こった文芸復興運動だって習いましたよね。フィレンツェでダ・ヴィンチとかが活躍したアレです。でもね、これ全然違うんですよ。こんな地殻変動的なイベントが何の脈絡もなく起こるわけないんですよ。ちゃんと起こるべき理由があるんですよ。そういう話を今からしていきます。」という感じで始まります。
で、一度廃れてしまったギリシア・ローマ文化の担い手は誰なのか?
その文化の継承は、いつ・どこで起こったのか?
という話が続き、その担い手は、ビザンツ帝国を追放された異端キリスト教信者であり、彼らがシリア・アラブに移動し、キリスト教の布教と共にギリシア的考え方をアラブ地方にひろめ、それを理解する土壌があったイスラム教徒がこの文化を継承し発展させました。
それが欧州に伝播した(いわゆる逆輸入)のはどこかというと、すでに他民族国家になっていたシチリアやスペインである。これを12世紀ルネサンスと呼ぶという内容です(少しはしょり過ぎですが、興味のある方はご一読あれ)。
個人的には「巨人の肩にのる」というgoogleさんの標語の元祖の話が出てきたクダリは感動でした。そして昔の大学教授は何ヶ国語操れんねん、てビツクリでした。現代の大学教授とはエライ違いだわ。。

<教

文化の担い手が、中世のキリスト教社会に胡坐をかいていた人ではなく(まぁ生活やらが安定してたら文句もないでしょうからね)、そこからはじき出された人(いわゆる移民や難民)たちであるという所は現代に生きる我々にも参考になりますよね。新しい文化に対応する必要がある人たち(現状に不満を持たざるをえない人々)こそが文化の担い手になり社会を発展させてきたというのは、身につまされますね。私の周りを見ても、皆さんだいたい二、三ヶ国語喋れるし、子どものころから色んな場所やら環境で生きてきた人たちばかりですからね。それに較べて私は土着の日本家族に育てられたから、まぁなんか負け組ですわ。
日本社会を振り返っても、女性の進出を!っていう企業のポスターに女性が誰も写ってないとか、若者は海外にでるべきだ!って言ってる経団連のおっちゃんたちがほぼ全員ひとつの会社(当然、日本にある日本の企業)しか知らないたたき上げの社長とか、もうどの口が言ってんだよ・・って感じですからね。そんなとこからイノベーションなんておこらねーよ。

ちなみに、
この本を読む前は「ノルマンコンクエスト」と「大航海時代」をテーマに読んでました。塩野七生さんの「フリードリッヒ二世」なんかをこの流れで読み直すとまた新たな発見があるんじゃないかと、現在読んでます。上巻を読み終わりましたが、いや、もうあれですね、全然違う。。何読んでたんだろう・・私・・
やはり知識の切り貼りはダメですね、心にも頭にも残らない・・と反省しきりです。改めて、読書は出会いだと感じてます。

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