見出し画像

今日会いに行きたい!気になる土偶#075国立歴史民俗博物館

ごくありふれた日常の風景に、小さな子供を連れた男性の姿がよく見られます。父親であったり、祖父であったりするのかもしれませんね。
まだまだ根強いジェンダー・バイアスはあるものの、少しづつ、でも確実に、そのバイアスは薄れていると感じることが多くなりました。

子ども抱くのは母親、そんな無意識に浮かんでくる画は変わりつつありますが、今日のこの小さな子どもを抱いているのは、母親と考えられるようです。

「子を抱く土偶」

東京都八王子市で出土した、約5000年前の高さ7.1㎝の小さな土偶。
赤ちゃんと思える土偶と、その赤ちゃんを両腕で抱えている「頭部が欠けた」親と考えられる土偶です。

縄文時代中期 / 宮田遺跡出土 / 国立歴史民俗博物館

しっかりと腕をまわし赤ちゃんを抱き、赤ちゃんの顔は母親の乳房の胸近くにあるようです。

背中を大きく丸め、横座りで子どもを抱きかかえる姿は、あたかも子どもあやしながら授乳をしているようにも見えるますね。

顔のない土偶はやはり母親と考えられるようです。

お母さんの膝は渦巻文様

子どもの手足の表現が見られないのは、「おくるみ」のようなもので覆われているからなのでしょうか。

抱かれている子どもは、この時代の山梨・長野の特徴的土偶の顔で知られる、眉と鼻がつながった「いっちゃん」に似ているようです。

早くオッパイが欲しい~

この土偶が生まれた約5000年前は、山梨・長野を中心に縄文文化が繁栄し、人口もかなり増えた時期でした。
比較的食べ物も豊富でしたが、当時の主な食料は木の実や獣や魚といったもので、母乳にかわるようなものは少なかった推測できるようです。

母乳が出なければ、赤ちゃんは生きられない。命に直接関わる重大な問題であったはずです。

安産や子どもの成長を祈ったとされる、「大きなお腹」の土偶や「出産のシーン」を思わせる土偶は多く見かけますが、「母と子」が一緒に表されている土偶は大変珍しいものです。

あえて母親と子どもを一緒に土偶にしたことには、「母親が健康で母乳が出ることで子どもが健やかに成長する」ということを、前面に強く表したかったのかもしれませんね。

参考図書 / 土偶美術館 平凡社

最後までお読みくださり有難うございました☆彡


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?