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謎の鍵となるのは毒⁉

今年も残り2週間余り、お陰様でこの一年は数多くの遺跡や博物館を訪問でき、たくさんの縄文時代の遺物を見ることができました。

知れば知るほど謎だらけの縄文時代ですが、その一つに、東北各地で見つかっているイモガイ形土製品石製品があります。

イモガイを写実的に表現した土製品・石製品で、巻貝のクルクルとした描写が実に精巧に表されています。
土偶と同じく祭祀の道具とも言われていますが、
あら、なぜイモガイ?と今更ながら疑問に思いはじめました。

イモガイ形土製品/是川縄文館蔵

縄文時代の貝塚からはアサリや牡蠣、シジミなど、今でも私達が食べる貝が多く見つかっていますが、イモガイは見たことがありません。
またイモガイは暖かい海域の貝であるそうなので、東北の海には当然いなかったと思われます

確かにイモガイは美しい形をしていますが、他にも同じような貝はたくさんありますよね。

以前にも紹介したイモガイ形石製品(下)とイモガイ(上)
じょーもぴあ宮畑蔵

そこで(またもや今更ながらですが)調べてみたら、を持っていて食用にはならない貝であることを知りました。

と、言うことは、
身近にない、しかも食べられない貝をわざわざ石や土で作って、祭祀の道具にしたということになります。

そこで、はたと気がついたのですが、
少し前に紹介した、キノコ形土製品のモデルのキノコがある可能性の多いものですよね。

食用になる自然の恵みが数多くある中、
イモガイやキノコがあえて選ばれた理由はなんであったのか?と考えた時、

〝ひょっとするとが何か関係しているのかも!〟と思い始めました。

祭祀などで供えるモノで、今も身近にあるを持っているものとしては、しきみがあります。
葬儀やお墓詣りでお馴染みですが、実は毒を持っていて「邪気を払う」「死者を悪霊から守る」とされ、葬儀やお墓に欠かせないものとなったようです。

ちょっと独特な香りもしますよね。
まだ日本でも土葬が行われていた頃は、その香りで獣などから遺体を守るために墓の近くに樒を植えた、と聞いたことがあります。

を供えることが、守ることに繋がっていたのですね。

縄文時代の貝塚からは、フグの骨が多く見つかっています。食料としてフグが用いられていたことを表していますが、きっとフグの毒で多くの命が失われたのことでしょう。
縄文人はそのような体験を通して、の恐ろしさに気がついたと思われます。

このイモガイキノコに毒があることを知った人々は、それが何であるか分からず、恐れを抱いたのではないでしょうか。

そして土や石で精巧に模して祭祀の道具とし、
〝災いがおきないように〟
〝死者の遺体が獣などに襲われないように〟
などと祈ったのかもしれません。

イモガイキノコもそのがあったことで、祭祀の道具のモデルとなり、今こうして土製品や石製品として私達が愛でることができているのかもしれませんね。

当分の間は、貝とキノコが食卓に上るたびに、この謎が頭に浮かんできそうです。

お読みいただきありがとうございました☆彡

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