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アートは楽しい、って絶対に思える!「十和田市現代美術館」

閉館まであと45分、どうにか間に合いました!
今回の青森縄文旅の合間に訪れたのは、青森県十和田市の「十和田市現代美術館」
現代アートを分かりやすく紹介した〝体験型美術館〟として知られることから、いつかは行きたいと思っていた場所の一つです。


今回の表題は「アートは楽しい、って絶対に思える!」。
主観的なものに〝絶対はない〟といつも思っていますが、ここではあえて〝絶対〟と言い切りたい楽しさ。

それでは早速、参りましょう。


夕暮れ迫る美術館前、
もうすでにアートツアーが始まっているかのようです。

右:建物壁面
 「オクリア」 ポール・モリソン(イギリス)
りんごの木のある風景は切り絵みたいです。

エントランス前の芝生広場では、馬に合わせてポーズをとる人。
雨が降っているけれど、もちろんお構いなし。
そんなこと、気にしない。

「はじまりの果実」 鈴木康広
白い切り株で表されたのは十和田市、
青森りんごとのコントラストが目を引きます。

建物は、真っ白の大小様々な立方体の集まりをガラスの回廊が繋ぎます。
2010年に建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を受賞した、建築事務所SANAAの西島立衛の建築です。
彼の得意技の分散配置された建物とその余白が、流れるようなリズム感を作り出しています。

「フラワーホース」 チェ・ジョンファ(韓国)
今にも走り出しそうです。

巨大な蟻ロボットは、かなり攻撃的な様子。
人間への怒り?何かの忠告?

「アッタ」 椿昇
永世中立国の中米コスタリカに生息する
アリがモチーフのロボットを思わせる作品。


入館前に、あちらこちらに目を奪われてしまいます。
いけない、時間がない!
受付を急いで済ませます。

受付ロビーの床は、色とりどりの鮮やかなストライプ。
それぞれのストライプは幅は様々、色の配置も様々。
またまた、見入ってしまいます。

ストライプには規則性があるはずですが、
理解できない…。


個々の展示室が「アートのための家」として独立、分散させた建物へ向かう度に新たなワクワクが生まれます。

ガラスを支えるフレームはとても細く、
エッジが効いた建物の印象をより増幅させます。

そして、最初のボックスへ。

!!

もう驚きでしかない!言葉が出ない…。

「スタンディング・ウーマン 」
ロン・ミュエク(オーストラリア)

とにかく大きい、しかも超リアル!
皮膚や髪、全てが人間そのもの。

小人になった私。
何か言われそう、怖い。

何といたっら良いか…
全くわからないまま、彼女に別れを告げます。


次々と作品を見ていきます。

途中のガラス窓からの眺めは、ほっとする一コマ。
凍りついたマーモットは何しているの?。

「あっちとこっちとそっち 」 山極満博


高さ9メートルの最も大きな展示室は、天井から吊り下げられた巨大な作品が展示されています。
赤からオレンジ、そして透明へとグラデーションがなす美しいこの作品ですが…

「コーズ・アンド・エフェクト」 スゥ・ドーホー

えっ?人?
肩車している人・人・人。

数万体の樹脂製のヒト。
私たちも、実はこんな風に繋がっていると言うのでしょうか。

ガラスの外には、得体のしれないアイアンの様な物体が建物を渡り歩いています。
逃げるいるの、それとも追いかけっこを楽しんでいるの?

「フライングマン・アンド・ハンター」 森北伸
建物の配置とアートが
軽快なテンポを作り出しています。


透明の風船のようなボールが宙に浮いています。
ボールは紐で連結されていて、人が乗れる丈夫な作りです。

「オン・クラウズ」(エアーポートシティ)
トマス・サラセーノ

ボールに乗って、ボールに囲まれる。
包まれている安心感で、宙に浮いているのを忘れてしまいます。

ボールの集合体は案外心地よいです。


目に眩しい真っ青な空間。
未来へのトンネルみたいです。

「光の橋」アナ・ラウラ・アラエズ(スペイン)

未来から見た現実の風景は、こんな風であるのでしょうか。

異次元にいるみたいです。


白一色の部屋には、アザラシと一組のダイニングセット。
アザラシのぬいぐるみの柔らかさと、無機質な家具が異様な雰囲気。

「ザンプランド」栗林隆

椅子に乗って、恐々天井の上を覗くと…

そこは、水辺の世界!
アザラシがぷかりと顔を出しています。
「ザンプランド」とはドイツ語で「湿地帯」という意味だそうです。

アザラシから見ると、
こちらは水の中から顔だけ出している人間。


今度は真っ赤の世界へ。
一艘のボートから部屋中へ放される無数の赤。

「水の記憶」塩田千春

ふわふわに見えた赤は、近くで見ると〝赤い糸〟。
「水の記憶」が真っ赤で表されているのは、何故ですか?

無数の糸は複雑に繋がっています。


廊下のガラス越しには、
一目で〝奈良美智〟さんの作品と分かる女の子。
ヤンキー言葉の少女は、粋がりたい年頃ですね。

「夜露死苦ガール2012」奈良美智


静かに部屋に佇むのは、シカを使った彫刻。
〝動物の剥製を無数のガラスビーズで覆った〟作品シリーズの中の一つ。

「PixCell-Deer#52」 名和晃平

ガラスビーズ輝きの中に見る〝シカ〟は、ただ美しいというだけでない、命の重さや尊さを感じます。

彼の作品には〝シカ〟が多く登場しています。


今度は一旦外へ出て、独立している展示室へ入ります。
雨に濡れて移動するのもナンカ楽しい気分です。

鉄骨造の建物は、
それぞれの作品に合わせて作られています。


1軒のアパートメント、人が貼りついている、立っている!
えっ?どういう事?

明かりが灯るアパートは本物のように見えます。

なんと、手前の床の様子が鏡によって壁に映しだされている〝トリックアート〟。
老いも若きも、色々なポーズをとって楽しんでいます。

「建物ーブエノスアイレス」
レアンドロ・エルリッヒ(アルゼンチン)


トリックアートにすっかり引き込まれたところで、時間切れ、閉館時間となりました。
急ぎに急いで見て廻りましたが、3割ほどはチラ見しか出来ず残念。

天井の高いカフェでお茶もしたかった…。

外に赤い屋根の奇妙な家が…後ほど正体が判明します。


でも、これだけで終わりではありません。

美術館を出て、今度は道路を挟んで対面にあるアート広場を見に行きます。

先ほどの人、人、人は、
ラグジュアリーなオブジェに見えますね。
あの人はまだこちらを見ています。


「まちなか常設展示」としてのアート広場は、だれでも24時間無料で楽しむことができる開かれた空間です。

現代アートがいつも身近にある街、
素敵ですね。

ニョロニョロのおばけと白いボックスは、絵本の世界みたいです。
白いボックスはなんと公衆トイレ。

「ゴースト」「アンノウン・マス」
インゲス・イデー(ドイツ)

大きな窓からは光が漏れていますが、使用できるのは17時まで。

窓の中を覗いているのは、犬?


水玉とカボチャと言えば、やっぱり草間彌生さん。
空を仰いでいる少女は、このアート溢れる街、十和田市に明るい未来を呼び込んでくれそうです。

「愛はとこしえ+十和田でうたう」
草間彌生
口の中も水玉なのね。


先ほどカフェから見えた家は、かなり肥満気味。
車もブクブクで走れそうもありません。

「ファット・ハウス」「ファット・カー」
エルヴィン・ヴルグ(オーストリア)

正面から見ると、太っちょの家お化け!

花壇の花に導かれ、おじゃますることに。

中に入ると、壁が肥大していて真っ暗。
家として機能が失われている?っていう事かしら。

ぶよぶよの建物から見る外の世界は、
あたかも健全であるかのよう。

まだまだ街中にアート作品が点在しているそうですが、今回は欲張らずにここまでに。

もうすぐ、17時半。
北国の日の入りは、東京よりも少し早いことを思いだします。

ライトアップされてた美術館は
また違う顔を見せてくれます。

雨でがよかった…と思えるこの風景。
濡れた道路もアートの一部になっているみたいに思えます。

だれもいないカフェも…すてき。


アートって楽しい、
楽しい~!と大声で叫びたくなります。

芸術家の作品も、
毎日の生活を楽しむ私たちの
ちょっとしたひと手間も、
アートはいつだってどこかで、
私たちとの出会いを待っています。


最後まで読んでいただき有難うございました。

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