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神泉 薫 Kaoru Shinsen 詩人・作家
2024年5月19日 12:40
こどもの目が、時計をまなざす。長い針と短い針。───長い針が6になったら、おやつですよ。広やかなこの世界。産声を上げてから、指折り数えるような日々を過ごすこどもにとってこの身を包む「時間」は、とても不思議な概念だろう。 おかあちゃま じかんってどこからくるの? Mammma, da dove vengono le ore? こどもよ おまへが さう たづねたとき
2021年1月6日 11:55
2021年、新しい年が始まった。毎朝、窓の向こうにオレンジ色に輝く朝陽がのぼる。日々、わけへだてなく世界を照らす、その光に手のひらを合わせる。そっと、自分の手のひら、一本一本のゆびをみつめていると、ゆっくりとある詩のことばたちが思い浮かんだ。 ひざの うえに てを ひろげてみるたびに むねが つまる ちいさな ゆびたちが わたしに さいた わたしの はなの
2020年9月21日 16:00
朝目覚めて、窓を開けると少しひんやりする。すこしずつ秋が深まってゆくのだ。透明な空気を吸い込む。澄んだ空の青がまぶたの内側へと広がってゆく。秋になると、ひもとくのは八木重吉の詩。 ひかりがこぼれてくる 秋のひかりは地におちてひろがる (ここで遊ぼうかしら) このひかりのなかで遊ぼう『八木重吉詩画集』(童話屋)より「秋のひかり」ひかえめな短いフレーズ