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秋、ひかりこぼれる


朝目覚めて、窓を開けると少しひんやりする。

すこしずつ秋が深まってゆくのだ。

透明な空気を吸い込む。

澄んだ空の青がまぶたの内側へと広がってゆく。

秋になると、ひもとくのは

八木重吉の詩。

 

 ひかりがこぼれてくる

 秋のひかりは地におちてひろがる

 (ここで遊ぼうかしら)

 このひかりのなかで遊ぼう


『八木重吉詩画集』(童話屋)より「秋のひかり」


ひかえめな短いフレーズの中に

広やかな沈黙が慎ましく眠る。

敬虔なキリスト教信者であった重吉の詩は

雨のしずくが、柔らかな大地へとしみ込んでゆくように

優しい祈りに充ちている。

決して表立たない呼吸のリズムで。

ひとの「生きる」という日々に寄り添う。




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