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神泉 薫 Kaoru Shinsen 詩人・作家
2021年1月6日 11:55
2021年、新しい年が始まった。毎朝、窓の向こうにオレンジ色に輝く朝陽がのぼる。日々、わけへだてなく世界を照らす、その光に手のひらを合わせる。そっと、自分の手のひら、一本一本のゆびをみつめていると、ゆっくりとある詩のことばたちが思い浮かんだ。 ひざの うえに てを ひろげてみるたびに むねが つまる ちいさな ゆびたちが わたしに さいた わたしの はなの
2020年9月21日 16:00
朝目覚めて、窓を開けると少しひんやりする。すこしずつ秋が深まってゆくのだ。透明な空気を吸い込む。澄んだ空の青がまぶたの内側へと広がってゆく。秋になると、ひもとくのは八木重吉の詩。 ひかりがこぼれてくる 秋のひかりは地におちてひろがる (ここで遊ぼうかしら) このひかりのなかで遊ぼう『八木重吉詩画集』(童話屋)より「秋のひかり」ひかえめな短いフレーズ
2020年5月6日 14:28
春分の日に、お引越しをして一ヶ月半。 仕事の資料をダンボールの城から探し出すのに、日々、迷い子のよう。 探し出してきた本はイギリスの詩人、T・S・エリオットの『荒地』。 混迷する時代状況をうたった詩「荒地」の有名な一行目が4月中、ずっと心に響いていた。 「四月は最も残酷な月」 時代が異なっても、詩の言葉は、ときに「今」を映し出すときがある。 だからこそ、支え