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最近の記事

出会わない系人間が出会った人の話(2)

2 隣町の医師、Y先生 人生の折れ線グラフで幸福度を表す方法で、現時点までで一番底であろう時期の話である。しかしこの時期に出会った人たちは粒ぞろいの宝石で、今でもココロの中で燦然と輝いている。 Y先生は著名人で、仮名を使っては逆に失礼なのでイニシャル表記にする。大手芸能事務所とマネジメント契約を結び、メディアへの出演も少なくなかった。最初の一冊がどれだったかはもう覚えていないが、この土地に住む前に購入したエッセイ本の著者、そして「風邪から花粉症、虫刺されまで何でも診ますの

    • 出会わない系人間が出会った人の話

      1 美容師のナガオさん 中学卒業までは自宅近くのおばちゃん御用達系美容室に通っていた。 高校は電車で通学する距離にあったので、数ヶ月に一回ではあるが帰り道に自分で選んだサロンに通う、ということもできた。ただし親からもらった予算でなんとかするしかない。当時は美容室に置いてあるトリートメントもたいした種類がなく、ましてや地方の未成年がそこまで念入りにケアをする時代でもなかった。 大学も自宅から通えるところに決めた。市内中心部ではないが、そこそこの都会である。しかも高校時代とは

      • タロット占いに行ってきた

        ねぇ、連載は?「序」だけで止め? 読者がいないとヤル気出ないんすよぉ。と言うのは冗談で、ネタはちゃんと50名分揃っているはずです。いや改めて、まとまった文章を書くというのは体力も精神力も消耗するものなんですね。職業にしている人尊敬するわ。 「元井さん (@motoarai)」によるタロット占いに行ってまいりました。平日は会社員として働くかたわら、「哲学対話」「つながるワークショップ」など趣向の異なるイベントを複数開催しておられます。そのすべてに共通するのが、友達を作りたい、

        • 出会わない系人間が出会った人の話(序)

          華がない上に悪目立ちする人間だった。 授業で差されたくない時に限って先生と目が合ってしまう。何かの代表として称賛を得ることはできず、面倒な役回りはお似合いと思われて推薦される。買い物中に店員と間違えられて他の客に質問される。チラシ配りは他の通行人を無視してでも私にチラシを押し付け、駆け込み乗車する奴はだいたい私に向かって突進してくる。そのくせパーティーでは風景。 とくに男性の99.9%には私の姿が不可視らしく、合コンでは空気、ナンパスポットでは石ころ。居酒屋のキャッチには認識

        出会わない系人間が出会った人の話(2)

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          202403 作業場

          202403 作業場

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          202008 自宅飲み

          202008 自宅飲み

          202304 作業場

          202304 作業場

          『竜とそばかすの姫』を見ました

          (2021.7 記) 行動範囲にシネコンが増えた。換わりに今まであったミニシアターや古き良き映画館は移転・閉業を余儀なくされている。今回の館もいつ取り壊しになるか分からないため、お子様連れも安心系作品が多く混む時期ではあったが一度行っておくことにした。 細田作品は「いちおうひととおり」くらいしか見ていない。ただ毎年『サマーウォーズ』がTV放映されると周囲が盛り上がるので、避けて通れない気がしたのだ。制作陣の今作への意気込みを雑誌で先にチェックしておいたのだが、期待値は思った

          『竜とそばかすの姫』を見ました

          『のさりの島』を見ました

          (2021.7 記) これは以前から、見ようと思って公開を待っていた作品だ。プロデューサーの小山薫堂さんが自身のラジオ番組でことあるごとに宣伝し、タイトルが頭にすり込まれてしまったからである。ご丁寧に前売券まで購入し、日を選ばずいつでも行けるぞ思っていたら、なんと山本起也監督の舞台挨拶日にたまたま都合がついた。作品への思いの丈はもちろん、思わず笑みがこぼれる裏話もあり思わずパンフレットも購入した。 単独で特殊詐欺を働く若者が九州の寂れた街の商店街でひと仕事するはずが、電話し

          『のさりの島』を見ました

          202303 上野公園

          202303 上野公園

          202303 隅田川

          202303 隅田川

          ラタトゥイユになる前の夏野菜

          ラタトゥイユになる前の夏野菜

          『アメリカン・ユートピア』を観ました

          映画レビューもたまってきてしまった。本来なら「食」に特化した作品だけを観ていく予定だったが、映画ってのは予告編やロビーのパンフを目にしてしまうと次々に観たくなる罠が仕込まれているようだ。 デヴィッド・バーン。前衛的パンク?バンド「トーキング・ヘッズ」の首謀者にして、私が好きなアーティストの中でもっとも肌が白い男性だ。35年来の真っ黒かぶれゲロッパ!ババアの私がいたいけなガールだった中学生時分、ラジオから流れるTom Tom Club(トーキング・ヘッズの内部PJ)の『Wor

          『アメリカン・ユートピア』を観ました

          『朱夏を待て』(7)

          「それがやっていけなくもなくてさあ。ボトルキープも先払いで継続してくれるっていうお客様が多くてね。まあ心配事と言えば、うちの母ちゃんがエネルギーの持って行き場がなくて逆にボーッとしてることが増えたのよ、ってやっぱりはるちゃんと話すと止まらないから本題に入ってよ。」 「うん、こんな最中になんだけど、本社のちょっと気になってる人とご飯行くことになりそうなんだ」 「やぁったぁはるちゃん、モテるやん。ナンパした?された?」 「あ、でも他に二人連れてくるって。男か女かは知らない」 「

          『朱夏を待て』(7)

          『朱夏を待て』(6)

          「一度に4人までだったら良いってことなんですね。」 阿比留も、仕事を含め普段と違う日常の流れに少々疲れていた。 「店内の消毒は当然として、換気が十分なこと。大皿盛りの料理は避けること。料理に集中して会話は控えること。席は一人分ずつアクリル板で仕切ってあって…ってこれじゃ一緒にご飯の意味あんまりないですね!」 「それでも、誰かと顔を合わせて飯が食えるって貴重ですよ、出会いも何の希望もないバツイチ男には。」 「お酒飲めるならビアガーデンもありですね、昔のありきたりなおつまみし

          『朱夏を待て』(6)