河辺 理央花

ただの梅干しババア

河辺 理央花

ただの梅干しババア

最近の記事

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    • 202008 自宅飲み

      • 202304 作業場

        • 『竜とそばかすの姫』を見ました

          (2021.7 記) 行動範囲にシネコンが増えた。換わりに今まであったミニシアターや古き良き映画館は移転・閉業を余儀なくされている。今回の館もいつ取り壊しになるか分からないため、お子様連れも安心系作品が多く混む時期ではあったが一度行っておくことにした。 細田作品は「いちおうひととおり」くらいしか見ていない。ただ毎年『サマーウォーズ』がTV放映されると周囲が盛り上がるので、避けて通れない気がしたのだ。制作陣の今作への意気込みを雑誌で先にチェックしておいたのだが、期待値は思った

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          『のさりの島』を見ました

          (2021.7 記) これは以前から、見ようと思って公開を待っていた作品だ。プロデューサーの小山薫堂さんが自身のラジオ番組でことあるごとに宣伝し、タイトルが頭にすり込まれてしまったからである。ご丁寧に前売券まで購入し、日を選ばずいつでも行けるぞ思っていたら、なんと山本起也監督の舞台挨拶日にたまたま都合がついた。作品への思いの丈はもちろん、思わず笑みがこぼれる裏話もあり思わずパンフレットも購入した。 単独で特殊詐欺を働く若者が九州の寂れた街の商店街でひと仕事するはずが、電話し

          『のさりの島』を見ました

          202303 上野公園

          202303 上野公園

          ラタトゥイユになる前の夏野菜

          ラタトゥイユになる前の夏野菜

          『アメリカン・ユートピア』を観ました

          映画レビューもたまってきてしまった。本来なら「食」に特化した作品だけを観ていく予定だったが、映画ってのは予告編やロビーのパンフを目にしてしまうと次々に観たくなる罠が仕込まれているようだ。 デヴィッド・バーン。前衛的パンク?バンド「トーキング・ヘッズ」の首謀者にして、私が好きなアーティストの中でもっとも肌が白い男性だ。35年来の真っ黒かぶれゲロッパ!ババアの私がいたいけなガールだった中学生時分、ラジオから流れるTom Tom Club(トーキング・ヘッズの内部PJ)の『Wor

          『アメリカン・ユートピア』を観ました

          『朱夏を待て』(7)

          「それがやっていけなくもなくてさあ。ボトルキープも先払いで継続してくれるっていうお客様が多くてね。まあ心配事と言えば、うちの母ちゃんがエネルギーの持って行き場がなくて逆にボーッとしてることが増えたのよ、ってやっぱりはるちゃんと話すと止まらないから本題に入ってよ。」 「うん、こんな最中になんだけど、本社のちょっと気になってる人とご飯行くことになりそうなんだ」 「やぁったぁはるちゃん、モテるやん。ナンパした?された?」 「あ、でも他に二人連れてくるって。男か女かは知らない」 「

          『朱夏を待て』(7)

          『朱夏を待て』(6)

          「一度に4人までだったら良いってことなんですね。」 阿比留も、仕事を含め普段と違う日常の流れに少々疲れていた。 「店内の消毒は当然として、換気が十分なこと。大皿盛りの料理は避けること。料理に集中して会話は控えること。席は一人分ずつアクリル板で仕切ってあって…ってこれじゃ一緒にご飯の意味あんまりないですね!」 「それでも、誰かと顔を合わせて飯が食えるって貴重ですよ、出会いも何の希望もないバツイチ男には。」 「お酒飲めるならビアガーデンもありですね、昔のありきたりなおつまみし

          『朱夏を待て』(6)

          『朱夏を待て』(5)

          「帰省ラッシュのないお盆とか、初めてですよね。」 「まー私は忙しいのを口実にして、ダンナの実家に帰らなくてすむからありがたかったわよぉ、あっはっは」 「うちも子供の塾の夏期講習は例年通りだから、弁当作りだけ続いちゃってるの」 「うちのママ友も、勤め先のカラオケ屋が休業で解雇だっていうからさ、稼げるだけでもありがたいよねー」 「ただあれでしょ、バイト君、授業が休講になった分夏休み補講になってるらしいじゃん。遅番いなくて店長昨日ラストまで残ってたよね」 いくら主婦業メインのパー

          『朱夏を待て』(5)

          『朱夏を待て』(4)

          こやなぎ、こと小柳アイにも事情があるらしい。なぜ深夜のコンビニで少なくとも週5日は働いているのだろう。たしかにこの辺りは、都心からは車で一時間はかかる場所でたいした働き口もない。ただ、離婚と同時に引っ越してきてからというもの、店舗と自宅の往復で2年は費やしすり減ってしまった春哉には、もはや自分から他人に関わっていく気力は湧かなかった。 「セレステハイムって、ここから見えるあの高層ですよね。けっこういいところじゃないですか。しかも上の方の階…」 「個人情報を人前でベラベラしゃ

          『朱夏を待て』(4)

          『朱夏を待て』(3)

          パートが開店準備から午前中に2人、午後3人、遅番2人。後ろには山しかない、東京都と名乗るのもおこがましい郊外のロードサイドながら、さすがにこの人数では店のオペレーションはとうてい回らない。トイレットペーパー騒ぎは一段落したものの、マスクと消毒液は相変わらず発注制限で半分も入ってこない。ペットボトルの水も常に不足気味だし、工場が休止して生産が減った栄養食品もベビーフードも棚が空になることが多くなった。品切れをとがめるような客は店頭に立つパートやアルバイトで文句を引っ込めるタチで

          『朱夏を待て』(3)

          『朱夏を待て』(2)

          一年前の今頃は年号が変わったことで、まるでもう一度正月が来たようなお祝いムードだったはずだ。残酷にも繁華街と呼ばれた場所はすべてゴーストタウンと化し、誰もがマスクの内側でこの世の終わりを嘆いているような映像ばかりが朝の、夕のニュース番組で定点カメラに映し出される日々が始まった。 春哉は郵便受けに手を突っ込んだ。ガス代の請求書だけである。電力会社と違って、同じ関東でも場所によって管轄会社が変わるのはどうにかならないものかとため息が出る。翌日、夕飯を買うついでに払う流れと決めて

          『朱夏を待て』(2)