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16話 ぜんぶほったらかす

移住先から大阪に戻ってきたわたしは、何もする気になれなかった。仮押さえをしていた部屋も一旦、契約を解除した。本当は、不動産屋さんからメールがあり保証人の情報を書いたりしなければならなかったのだが、連絡のやり取りするのも面倒くさく感じていた。退去日も差し迫ってきているのにもかかわらず、まだ転居先が決まっていないというのは、自分でもどうかしていると思うが、このまま突き進めていくのは、自分の意に反するように思われ、一度立ち止まりたかったのだと思う。

引っ越しのためにすることはたくさんある。前回の引っ越しは、実家から賃貸の引っ越しだったため、新たな家具を買いそろえたり、賃貸の契約が少しあるだけで、そんなに苦労を感じなかった。その時は、平日に仕事を行いながらだったので、その点ではハードなスケジュールではあったが。

引っ越し業者の見積もり、プロバイダーの解約、どの家具を持っていくか、捨てるか、譲るか。あと、新たに車を買うのも進めなくてはいけなかった。そして、仕事をどうするかも考えなくてはいけなかった。わたしは、同時進行でタスクを行うことが苦手で、気づかぬうちにキャパシティがオーバーしてしまう。今回も考えることが多すぎて軽くパニックになってしまったので、エクセルで全てのスケジュールを列挙し整理することにした。
引っ越しまでにしておくことを調べた。簡単にネットでそういった情報は手に入る。それをもとに、退去までのスケジュールを午前、昼、夕方に分けて、埋めていく。車の購入や、仕事の面接などのスケジュールも今のところでわかる範囲で記していく。そうすることで、安心できた。キャパオーバーしやすい人は、こうやって視覚化することが大事だと思う。表にするのもいいし、ノートに箇条書きにするのもいいし、とにかく頭の中のごちゃごちゃを見える形にして、整理するのがいい。

ただ、ここで致命的な事件が起こる。部屋のインターネットがつながらない事件だ。
テレビやブルーレイレコーダーを売るつもりだったので(少し変更があり、人に譲ることになった)、テレビの裏の掃除をしていた。配線がごちゃごちゃになっていたため、コンセントを抜いた。その後、しばらくして、パソコン、携帯端末のネットがつながらない状態になっていると気づき、コンセントを抜いたことが原因なのは明らかだった。

その後、ネットに出ていた情報を頼りに、モデム、ルーター(この言葉すら、よくわかっていないところからスタート)の線を抜き差しするが、現状は変わらず。ちょうど、翌日にプロバイダーの解約の手続きのための連絡の折り返しがあったため、ついでにインターネットがつながっていないという連絡もした。

翌々日、ネット配信の点検にこられて原因はルーターの故障だということがわかった。これまでずっと電源をさしているので、いきなりコンセントを抜くと故障することもあるらしいとのこと。新しいルーターを買うことを勧められた。その日の夜に、すぐにルーターを注文。応急処置として、有線での接続の仕方を教えてもらえたので、パソコンは使えるようになった。(今使っているMacは差込口がないため、以前使っていたVAIOのパソコンを使用)

合計四日間、インターネットがつながらず、調べたいことも調べることができず、かなり厳しい状態だった。
ただ、これからのことを何も考えたくなかったわたしにとっては、好都合だったのかもしれない。その間、友達と車の下見に行ったり、一日中遊んでいたり、引っ越し業者が見積もりにやってきたり、いろいろあったが、それ以外はほぼ寝ていた。これをふて寝というのかもしれない。

何も考えたくなかった。でも、どうしたら、どんな状況でも楽しめるか。どうしたら、自分の気持ちを大切にできるのか。祈るようにそれだけをゆるく考えていた。


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