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第20回・文豪っぽいことをしてみた成果

大きな窓の外には海。
目の前に江ノ島も見える。

1泊16000円の部屋だが、一度くらいそんな文豪みたいなことをしてみたくて、3泊4日の日程で海沿いの宿を取った。
普段と違う環境に身を置いて、そんな景色を見ながら書き物をしたら、どれだけ捗ることだろう、なんて思っていたが、それは単なる理想に過ぎなかったようだ。

今まさに私はその環境にいて、そんな景色を見ながらキーボードに指を添えているが、「はて…何を書こうか…」と悩んでいる真っ最中である。しかも、今は3日目の夜だ。

なんとなく思いついたことは、常にネタ帳に書き留めてはいるので、別にネタが無いわけではないが、それらを表現する言葉も浮かばないし、浮かんでも続かないし、繋がっていかないし。
全然思っていた状況とは違うことになっている。

せっかくまとまった時間も取れて、集中出来そうな環境も用意したのに、成果は今のところほぼ無い状態だ。
もうお手上げ状態だったので、ありのままをそのまま書いてしまえとなっているのである。

例えば、『せっかく旅行に来たのだから』と、そんな理由で地元の名所を回って観光したり、地のモノを食べたり、土産を買ったり。
それが『旅』の代表的なセオリーになっているのかもしれないが、まさにその感覚と似たようなことだ。

『せっかく文豪っぽい環境なのだから』と、きっと何かヒントやインスピレーションが得られるはず、見逃しているだけだ、と勝手に期待していただけなのだ。

もっと言うと、今この場所だからこそ見つけられるネタだってあるはず、なんてことも思っていたのだと思う。
その感覚に固執し、信じ込んでしまった結果、逆に書けなくなっているのだから、もう笑い話にするしかない。

だが、今回の目的は『文豪っぽいことをしてみたい』であったから、目的は果たせているので、それ以上は望まない。
確かに、沢山書き上げることが出来たら、なおさら嬉しかったが、それは副産物に過ぎないので良いのだ。

3泊4日で48000円。
交通費や食事代も入れると、70000円ほどかかっている。

何かの価値を表す時、すぐにお金で換算することに、実は抵抗があるのだが、今回はわざと僕の中のセオリーを冒頭から破ってみた。
これもある意味では副産物。
この金額を高いと思うか安いと思うかはそれぞれだが、私は満足している。

実は、昼間に一度かなり凄い大雨が降った。
そのおかげでご自慢の大きな窓には雨が勢いよく打ち付けられ、目の前の海も江ノ島も見えなくなり、もう何処にいても同じ状態になった。
だが、その滑稽な状況が可笑しくて、なんとなく何か浮かびそうな気もしたが、その予感は雨と共に止んでしまった。
むしろ止まない方が良かったのかもしれない。

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